通貨取引割合

通貨取引額と経済、貿易規模。

 1.9. 現代ビジネス 韓国が今こんなにも「ウォン安→資本流出」に怯えている理由 (高安 雄一氏)に面白い数字が載っていたので、備忘録的に書いておこうと思う。

 @2019年4月 1日平均通貨取引額 6.6兆ドル(719兆円 @109.00)

 1.通貨別取引割合(通貨ペアで加算されるため、合計は200%になる)

 1位 米ドル 88.3%  2位 ユーロ 32.3% 3位 円 16.8% 4位ポンド 12.8%   5位 オーストラリアドル 6.8%  .....  12位 ウォン 2.0% ....

 2.通貨発行国・地域のGDPに対する通貨取引額の比率ワースト5

 ..... 15位 トルコリラ 9.6% 16位 韓国ウォン 8.1% 17位  ロシアルーブル4.4% 18位 インドルピー 3.9% 19位 ブラジルレアル 3.8% 20位 中国元2.0% << e.g. 米ドル24.4%、日本円24.9%

 3.通貨発行国の1日当たりの貿易額(2018年のウィークデイ平均基準)に対する通貨取引額の倍数(2,3共に通貨取引額20位内)

 .... 19位 韓国ウォン 30倍 20位 中国元 17倍 << 米ドル 371倍、日本円 199倍

 FX(外国為替証拠金取引)の浸透度の違いがあるとはいえ、こういう具体的な数字を示されるとドル円取引がいかに凄いか、改めて思い知らされる。何かとやり合っている米中や日韓も、GDPだけで比較すると対等にやり合えるような印象を持つが、通貨の流動性には未だ厳然たる差がある。この状況をひっくり返すのは容易ではない。また、高金利通貨で有名になったトルコリラやブラジルレアルも、その流動性の低さは危うさの裏返しでもある。

 流通量の少ない通貨を発行している国々は「資本流出」に神経を尖らしており、軒並み*「資本規制」を布いて国内資本の海外持出を規制している。

 韓国ウォンのように域外では差益決定先物為替取引(NDF : Non-Deliverable Forward)しか出来ない通貨も多く、自由に取引出来ない。筆者の勤めていた銀行も昨年ソウル支店を撤退したうちの1つに入っていたが、主たる原因は資本規制で収益が上がらなかったことだった。

 だから外貨投資やFXを手掛けるときは、トップ3のドル、ユーロ、円と第2グループのポンド、オーストラリアドル etc. 、そしてそれ以外の通貨(第3グループ)は全く違う意識を持って行うべきだろう。**特に第3グループについてはボラティリティー(変動率)に注意が必要だ。

 **昨年前半、韓国が話題の時に良く動いたウォン。昨日もイラク米軍基地空爆の報に一時ドル・ウォンで@1.177近辺まで売られたが今日は@1.159台まで急速に戻している。しかしこの流動性の低さではしょうがないのかも。おそらくビットコイン同様、取引の大半を一部の参加者(含. 韓国政府)に握られているため恣意的な相場形成になるのだろう。昨年は「通貨危機」を煽って多数の参加者を「餌食」にしたのかもしれないが、さすがに学習効果で参加者が減っていると推定され、より「変な動き」になっている。

 とりあえずイラクの軍事施設の攻撃で米国の死者が出なかった、との報(正しいかどうかは検証できない)を受け、一旦落ち着きを取り戻している市場だが、一部の過激派やテロ組織がどう動くか、など偶発的な事件がおきる懸念は残ったままだ。しばらくは緊張状態が続くだろう。

 特に戦争時にはドル資金の調達が難しくなる面がある。ヨーロッパや中国、ニュージーランドなどを除けば、↑ 第3グループの国々は慢性的なドル資金不足が問題になることが多いため、為替取引自体を行うかどうかは別に、波乱要因としてこれらの通貨の動きを注視していく必要はあるだろう。

 毎年1月は荒れることが多いが、2020年は随分と勢いよく飛び出したものだ。ちょっと疲れるね(笑)。


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