GLP-1受容体作動薬の使用と甲状腺がんのリスク:スカンジナビアコホート研究

【目的】グルカゴン様ペプチド1(GLP1)受容体作動薬の使用が甲状腺がんのリスク上昇と関連するかを調査する。

【デザイン】スカンジナビアコホート研究。

【設定】デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、2007-21年。

【参加者】GLP1受容体作動薬治療を開始した患者を、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)阻害薬治療を開始した患者と比較し、追加解析では、ナトリウムグルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬治療を開始した患者とも比較。

【主要評価項目】全国がん登録から特定された甲状腺がん。活性比較対照新規使用者研究デザインを用いて、交絡と時間関連バイアスのリスクを最小化。傾向スコア重み付けで潜在的交絡因子を調整し、Coxの回帰分析でハザード比を推定。

【結果】平均追跡期間は、GLP1受容体作動薬群で3.9年(標準偏差3.5年)、DPP4阻害薬群で5.4年(標準偏差3.5年)。GLP1受容体作動薬治療患者145,410人中76人(発生率1.33/10,000人年)、DPP4阻害薬治療患者291,667人中184人(発生率1.46/10,000人年)に甲状腺がんが発生。GLP1受容体作動薬の使用は、甲状腺がんのリスク上昇と関連しなかった(ハザード比0.93、95%信頼区間0.66-1.31;率差-0.13、95%信頼区間-0.61-0.36/10,000人年)。髄様甲状腺がんのハザード比は1.19(0.37-3.86)。GLP1受容体作動薬群とSGLT2阻害薬群の追加解析では、甲状腺がんのハザード比は1.16(0.65-2.05)。

【結論】3ヵ国の全国データを用いた大規模コホート研究で、GLP1受容体作動薬の使用は、平均3.9年の追跡期間で甲状腺がんのリスクを大幅に上昇させなかった。GLP1受容体作動薬とDPP4阻害薬の主解析では、相対リスクの増加は最大31%と一致した。


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