EULARの臨床実践における結晶誘発性関節症の画像診断使用に関する推奨を知らせるための系統的文献レビュー

結晶誘発性関節症(CiAs)における画像診断の役割について、現在のエビデンスを系統的にレビューしたもの。CiAsは、関節内に結晶が沈着することで引き起こされる疾患群で、痛風、ピロリン酸カルシウム二水和物沈着症(CPPD)、塩基性リン酸カルシウム沈着症(BCPD)などが含まれる。

研究方法としては、Embase、Medline、Centralのデータベースを用いて、診断、モニタリング、重症度・治療反応の予測、処置ガイド、患者教育における画像診断の有用性について系統的に文献検索を行っている。検索で得られた文献をスクリーニングし、関連する研究を抽出、レビューしてデータを集積するとともに、バイアスリスクを評価した。

結果では、痛風、CPPD、BCPDのそれぞれについて、様々な画像診断法の有用性が評価された。

痛風では、DECTとUSが診断において高い感度と特異度を示し、CRとCTは特異度が高いものの感度は低いことが示された。また、USとDECTによる結晶沈着のモニタリング、USによる炎症のモニタリング、CRとCTによる構造的変化のモニタリングが可能であることが示唆された。

CPPDでは、CRとUSの診断能は特異度が高いものの感度は様々であり、モニタリングに関する研究は1件、予後予測に関する研究は9件と限られていた。

BCPDでは、診断研究は2件のみだったが、CRとUSによるモニタリングを評価した43件の研究で結晶沈着の減少が示された。治療反応の予測に関する12件の研究結果は一貫性に欠けていた。

患者教育におけるDECTの潜在的役割を示唆する研究が2件見つかったが、全体的にエビデンスは限られていた。

以上の結果から、CiAsにおける画像診断の役割について、いくつかの有用性が示唆されるものの、まだ十分なエビデンスが蓄積されているとは言えない状況。特にCPPDやBCPDについては、研究数自体が少なく、今後のさらなる研究が必要とされている。

一方で、痛風においてはDECTやUSが診断や経過観察に有用である可能性が高く、臨床現場での活用が期待される。ただし、それぞれの画像診断法の特性を理解し、適切に使い分けていくことが重要。

dual-energy CT (DECT)
ultrasound (US)
conventional radiographs (CR)


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