海馬尾部の灰白層 (fasciola cinereum) をてんかんの治療標的とする

難治性の内側側頭葉てんかん患者におけるてんかん発作の新たな治療標的として、海馬尾部の灰白層 (fasciola cinereum, FC) に着目したもの。

背景
薬剤抵抗性の内側側頭葉てんかんでは、前海馬を含む組織の焼灼が標準治療だが、手術後も発作が続く患者が多い。

マウスでの研究
てんかんマウスでは、遺伝学的に定義されたFC neuronが自発的発作中に高活動だった。
これらのニューロンを閉ループ式に光遺伝学的に抑制すると、発作持続時間が大幅に短縮した。

ヒトでの研究
てんかん患者6名のコホートでも、発作中にFCの顕著な関与を特定した。
ある患者では、前部内側側頭構造の焼灼後に残存した発作負荷が、FCを標的した病変形成で減少した。

結論
FCは、てんかんにおける有望な治療標的である可能性がある。

この研究は、マウスとヒトの両方で、FCがてんかん発作の重要なノードであることを示した。
これまで、てんかん外科治療では前海馬に焦点が当てられてきましたが、この研究は海馬尾部、特にFC neuronの重要性を明らかにした。この知見は、難治性てんかん患者に新たな治療選択肢をもたらす可能性を示唆している。

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