SARS-CoV-2ワクチンと新規発症てんかんの関連性:ランダム化臨床試験のシステマティックレビューとメタアナリシス

重要性
SARS-CoV-2ワクチンの副作用としてけいれんが報告されているが、一般集団におけるけいれんとCOVID-19ワクチン接種との関連性については明らかになっていない。

目的
SARS-CoV-2ワクチン接種者とプラセボ接種者の間でけいれん発生率を評価すること。

データソース
2019年12月から2023年7月7日までのMEDLINE(PubMed経由)、Web of Science、Scopus、Cochrane Library、Google Scholar、レビュー論文、社説、編集者への手紙、会議論文、および含まれる研究の参考文献を系統的に検索した。

研究選択
SARS-CoV-2ワクチン接種によるけいれん発生率を報告したランダム化臨床試験(RCT)を対象とした。

データ抽出と統合
本研究はPRISMAフレームワークに従って報告され、Mantel-Haenszel法とランダム効果モデルおよび共通効果モデルを使用した。研究のバイアスリスクは、RCTのCochraneアセスメントツールを用いて評価した。

主要評価項目と指標
関心のある評価項目は、(1)SARS-CoV-2ワクチン接種者と(2)プラセボ接種者の間で比較した新規発症てんかん発生割合であった。

結果
6件のRCTが研究に含まれた。ワクチン/プラセボ接種後28日間のフォローアップにおける、63,521人のワクチン接種者と54,919人のプラセボ接種者の間での新規発症てんかん発生率を比較した統合解析の結果、2群間に統計学的に有意な差は認められなかった(ワクチン接種者9例[0.014%]、プラセボ接種者1例[0.002%]、オッズ比[OR] 2.70、95%CI 0.76-9.57、P=0.12、I2=0%、τ2=0、コクランQ検定 P=0.74)。同様に、接種後の全盲検期間(中央値43日以上)においても、新規発症てんかん発生率に関してワクチン群とプラセボ群の間に有意差は認められなかった(ワクチン接種者43,724人中13例[0.03%]、プラセボ接種者40,612人中5例[0.012%]、OR 2.31、95%CI 0.86-3.23、P>0.99、I2=0%、τ2=0、コクランQ検定 P=0.95)。

結論と関連性
本システマティックレビューとメタアナリシスによると、ワクチン接種者とプラセボ接種者の間で、新規発症てんかんのリスクに統計学的に有意な差は認められなかった。

SARS-CoV-2ワクチン接種と新規発症てんかんの間に明確な関連性は示されなかった。

  1. ワクチン接種後28日間および全盲検期間において、新規発症てんかんのリスクはワクチン群とプラセボ群で同等であった。

  2. ワクチン接種がてんかんを引き起こすという明確なエビデンスは得られなかった。

  3. ワクチンの安全性に関する懸念の一つが解消された。

  4. ただし、非常にまれな事象であるため、さらに大規模な研究が必要である。

  5. てんかんの既往がある患者におけるワクチン接種の安全性については、別途検討が必要である。

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