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2024年上半期の道路貨物自動車運送事業者の倒産状況

2024年上半期(1月から6月)における道路貨物運送業者の倒産件数は186件に達し、前年同期の133件から39.8%増加した。この増加傾向は4年連続で続いており、上半期としては2009年の218件に次いで2番目に高い件数となっている。このペースが続けば、年間最多となった2009年の374件を上回る可能性も示唆される。

負債総額と小規模業者の影響

負債総額は227億8800万円と前年同期の250億6800万円を下回った。これを1社あたりに換算すると約1億2300万円となる。興味深いことに、10億円を超える倒産は発生せず、倒産件数の54.8%は1億円未満の小規模な業者によるものであった。このことから、小規模業者が倒産件数増加の主要な要因となっていることが分かる。

倒産要因の詳細分析

倒産の主な要因として挙げられるのは、燃料価格の高騰と人手不足による人件費負担。軽油価格は燃料油価格激変緩和補助金の導入後でも1リットル155.2円(7月3日時点、資源エネルギー庁)であり、10年前の147.4円(2014年7月7日時点)に比べると7.8円も高くなっている。これにより、特に小規模事業者にとって収益確保が困難となり、荷主に対する値上げ交渉も安値を提示する同業他社に流れるリスクがあるため、継続的な交渉が難しくなっている。

さらに、時間外労働の上限規制の開始により、人手不足が深刻化している。これにより、傭車コストが増加し、営業損失の要因となっている。また、コロナ後の荷動き回復に伴い増車したものの、燃料費や部品の値上げで収益が圧迫され、車両リース料や借入返済などの金融債務が重荷となるケースも見受けられる。

小規模業者の具体的な課題

小規模業者にとって、燃料価格の高騰は特に厳しい問題だ。運送業において燃料費は大きなコスト要素であり、軽油価格の上昇は直接的な経営圧迫となる。さらに、人手不足も深刻であり、特に運転手の確保が難しくなっている。これに伴い、人件費も上昇しており、コスト増加が避けられない状況だ。

また、小規模業者は大手と比較して交渉力が弱く、荷主に対して値上げを提案することが難しい。値上げを行えば、荷主が他の安値を提示する業者に流れてしまうリスクが高く、結果的に仕事を失う可能性がある。このため、値上げ交渉が難航し、収益確保が困難な状況が続いている。

2024年下半期の見通し

年下半期も引き続き道路貨物運送業者の倒産は高水準で推移することが予想される。燃料価格の高騰や人手不足といった課題は短期間で解決する見込みがなく、特に小規模業者にとっては厳しい経営環境が続くと考えられる。また、経済全体の回復が遅れる中で、運送業界全体に対する需要も不安定であり、さらなる倒産のリスクが高まっている。

まとめ

2024年上半期における道路貨物運送業者の倒産状況は、燃料価格の高騰や人手不足といった深刻な課題に直面していることを如実に示している。特に小規模業者にとって、これらの問題は経営を圧迫し続け、倒産件数の増加を引き起こしている。今後もこれらの課題に対する対策が急務であり、業界全体の健全な発展に向けた取り組みが求められる。

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