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「お好きなオカムラのチェアどれでもプレゼント企画」応募結果の分析レポート

先月、オカムラ日本公式Twitterで、「お好きなオカムラのチェアどれでもプレゼント企画」を開催しました。(※現在は終了しています)

オカムラが販売しているチェアであれば、どのシリーズでも、どのタイプでも、どのオプションでもOK、というものです。

ご応募条件として「キャンペーンツイートへのリプライに希望製品の型番やカラーシミュレーションのスクリーンショットを貼っていただく」という、ちょっと面倒な形式を取らせていただいたのですが、結果としては1000通を超えるご応募をいただきました!(ありがとうございます!)

実は、この企画の目的には「皆さんがご自宅にほしい椅子は、どんな機種で、どんな仕様で、どんな色なのか、が知りたい!」という思惑があったのですが、その目的は十分に達成することができました。

しかも、非常に興味深い分析結果がいくつか出てきましたので、その一部をここに「分析レポート」として皆さんと共有したいと思います。

1 企画の背景と経緯

本企画の開催直前に、社内での企画立上げの背景・経緯と社内の様子について、10連ツイートにてフォロワー様に共有しました。

2 キャンペーン概要

【実施期間】
 2021年7月16日(金) 16:00 ~ 2021年7月29日(木) 23:59
【実施媒体】
 Twitter
【応募方法】
 ①オカムラ公式アカウントのフォロー
 ②キャンペーンツイートのリツイート
 ③(以下a~cの方法のいずれか、または複数の組み合わせで)希望製品をキャンペーンツイートにリプライ
 a) 製品番号の記載
 b) 仕様詳細の記載
 c) カラーシミュレーション結果画面のスクリーンショット添付

fig.1 キャンペーンツイート(オカムラ日本公式Twitter)

3 応募結果

リプライ数:1,491
リツイート数:2,181
いいね数:772
有効応募件数(※):1,050
※ 連続リプで希望製品の詳細を書いていただいた場合はそれらをまとめて「1応募」とカウントするとともに、明らかな重複応募や、応募とは無関係のリプライ等を除いた、抽選の対象となった有効な応募件数

なお、応募の際にいただいたコメントとして、
「カラーシミュレーションが楽しかった!」
「自分でいろいろな組み合わせを試すの楽しい!」
「自分好みの椅子をみつける作業がこんなに楽しいとは!」

などの声を多数いただきました。

カラーシミュレーションツールは本格的に椅子選びをしようと思わない限り触れることのないものかもしれませんが、たくさんの方に使っていただき、また、こういった反応をいただけたことは非常に嬉しかったです!

4 応募内容分析

今回のキャンペーン企画の応募内容を分析したところ、以下の5つの視点で非常に興味深い結果が得られました。

(1) 希望シリーズ
(2) 座面タイプ
(3) 張地色
(4) ヘッドレスト有無
(5) ランバーサポート有無

4-1 希望シリーズ

有効応募の1,050件を「シリーズ別」に集計したところ、以下のような結果となりました。

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fig.2 応募結果のシリーズ別集計

第1位はオカムラのフラッグシップチェア、ContessaⅡ[コンテッサセコンダ]でした。全体の45%を占め、ぶっちぎりの第1位です!


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fig.3 ContessaⅡ[コンテッサセコンダ]

とはいえ、実は私の事前予想では「コンテッサセコンダが6~7割以上を占めるのでは・・・?」と考えていたので、オカムラの多種多様なラインナップの中からさまざまなシリーズをお選びいただけたことは非常に嬉しい結果となりました。

そして驚くべきことに、第2位に Lives Personal Chair[ライブスパーソナルチェア]が14%を占めてランクインしました!

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fig.4 Lives Personal Chair[ライブスパーソナルチェア]

この「ライブスパーソナルチェア」は、オフィスでは窓際の集中エリアなどによく用いられるものですが、ご自宅でもリラックスしながら本を読んだりスマホやタブレットをみたりするのにぴったりな椅子になりそうです。

ただ、皆さん、この椅子はけっこうデカいですよ・・・? 大丈夫ですか・・・?

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fig.5 ライブスパーソナルチェアのサイズ

上のfig.4と同じワークヴェール&肘付きタイプの場合、横幅は760mm(76cm)、奥行き690mm(69cm)、高さ1210mm(121cm)ありますので、置き場所はもちろんのこと、搬入経路となる廊下や階段を通るかどうかも要チェックです。

2位以下は、
3位 Finora[フィノラ]
4位 Sylphy[シルフィー]
5位 STRIKER SEATING EX[ストライカー EX]
6位 Baron[バロン]
7位 Choral[コーラル]
と続き、このあたりは納得の結果でした。

ちなみに、Sabrina[サブリナ]は「サブリナスタンダード」と「サブリナスマートオペレーション」をそれぞれ別機種としてカウントしているため9位・10位となりましたが、2つを合わせて1機種としてカウントすると、6位のバロンとほぼ同率となります。

4-2 座面タイプ

有効応募の1,050件のうち、座面タイプが「クッション」と「メッシュ」の2タイプから選べる「コンテッサセコンダ」・「フィノラ」・「バロン」の3機種について、「座面タイプ別」に集計したところ、以下のような結果となりました。

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fig.6 応募結果の座面タイプ別集計

この結果、実は我々にとっては少々驚きの内容でした。

というのも、BtoBでの法人向け販売では「座クッション」タイプが選ばれることが圧倒的多数のため、個人向けのニーズとして「座メッシュ」タイプがこれほど人気が高い、とは思っていなかったからです。

たしかに、常時空調が効いているオフィスでの使用の場合に比べて、蒸れが少なく涼しいメッシュ座面は個人宅ではニーズが高い、というのは納得できる結果とも言えそうですが、一方で、オカムラの「異硬度クッション」が一般的なクッション座面とはだいぶ異なる、ということが伝わっていない可能性もある気がしました。

座面の座り心地は個人の好みによるところが大きいのも確かですが、実際に座り比べていただかないとどちらがより自分好みかを判断することは難しいため、この点は私たちの課題として捉えています。

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fig.7 異硬度クッション

4-3 張地カラー

シリーズ別集計の上位5機種(1位:コンテッサセコンダ、2位:ライブスパーソナルチェア、3位:フィノラ、4位:シルフィー、5位:STRIKER SEATING EX、5機種合計で全体の76%)について、「張地カラー別」に集計したところ、以下のような結果となりました。

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fig.8 応募結果の張地カラー別集計

BtoB での販売ではブラック・ダークブルー・ミディアムブルーの3色で大半を占めるんですが、やはり個人の方が希望される張地カラーは多様な結果となりました。

特に、レッド・オレンジ・ピンク等の暖色系の色が(BtoBと比べて)多く選択されているのが特徴的です。ライブスパーソナルチェアでは「ペールピンク」が第1位、シルフィーではレッドが第4位、コンテッサセコンダでもレッドが第6位に入りました。

また、フィノラではダークブルー・セージ・パープル・ブラック・ホワイト・ミディアムグレー・ライトグレーのモノトーン系&寒色系の7色で、全体の約80%を占める結果となりました。これは製品そのもののデザイン(全体的にシンプルであり、背面パネルがメッキ・ブラック・ホワイトの3色であること)が影響しているものと思われます。

4-4 ヘッドレスト有無

有効応募の1,050件のうち、ヘッドレストのオプションを選択できる「コンテッサセコンダ」・「フィノラ」・「バロン」・「コーラル」・「シルフィー」・「サブリナスタンダード」・「サブリナスマートオペレーション」のオフィスシーティング系 7機種について、「ヘッドレスト有無」を集計したところ、以下のような結果となりました。

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fig.9 応募結果のヘッドレスト有無別集計

BtoBの販売シーンではコスト面の制約なども関係してくるため、今回のキャンペーン企画におけるヘッドレスト有無の結果をBtoBの割合と比べることはしませんが、これも興味深い結果となっています。

ヘッドレストをつけるかどうかは、体格的な個人差よりも「どんな姿勢で、どんな作業をすることが多いか」によって変わってくることが多いので、例えば「後傾姿勢で深い思考作業やリラックスするシーンが多い」場合と、「前傾姿勢で集中作業や書きものをするシーンが多い」場合とでは、ヘッドレストの必要性が変わってきます。

皆さんの応募結果を機種別にみると、「前傾機能」をもつ「サブリナスタンダード」・「シルフィー」の2機種ではヘッドレスト有りを選択した人は80%を下回っているのに対し、最大26度まで深くリクライニングが可能な「コンテッサセコンダ」では実に95%の人がヘッドレスト有りを選択しています。

もちろん、全ての方がこういったことを考えてヘッドレストオプションの有無を選択されたわけではないと思いますが、少なくとも、全体的な傾向として、「後傾姿勢メインの椅子ほどヘッドレストがほしい」「前傾姿勢も取れる椅子はヘッドレストの必要性が下がる」という点が見事に反映されたことは、ものづくりをするメーカーの立場としては非常に嬉しい結果でした。

4-5 ランバーサポート有無

有効応募の1,050件のうち、ランバーサポートのオプションを選択できるオフィスシーティングの応募件数上位7機種について、「ヘッドレスト有無」を集計したところ、以下のような結果となりました。

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fig.10 応募結果のランバーサポート有無別集計

※ランバーサポート選択不可の仕様を含む機種の場合は、ランバーサポート選択可の仕様での応募のみを集計対象としています。
(例)「シルフィー」の「背クッション」タイプはランバーサポートの選択不可のため、「背メッシュ」タイプのみを集計対象としています。

これまでBtoBでのオフィスチェア販売を多く経験してきた私たちにとって、この結果は衝撃的でした。ランバーサポートを希望される方が、「あまりにも多すぎる」のです。

「ランバーサポート」はチェアの背(下部の腰付近)に付けて、腰まわりをしっかりとホールドするためのオプションです。(下図参照)

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fig.11 ランバーサポートの例(コーラル)

この「ランバーサポート」ですが、実は人によって「合う」「合わない」がけっこうハッキリと分かれるオプションなんです。

ランバーサポートが付けられるチェアには2つのタイプがあると言えます。

1つ目は、ランバーサポート自体がチェアそのものの構造の一部になっているタイプ。椅子の背は、人間の背骨の「S字カーブ」に沿ったゆるやかな曲線を描いていることが大切ですが、ランバーサポート自体を含めてS字カーブを構成しているチェアのことです。多くの場合、背の内側(直接背中に触れる側)にランバーサポートとしてのクッション部があります。

2つ目は、椅子の背自体がもともとS字カーブをしているもので、「よりしっかりと腰を支えるため」に取り付けるオプションとして位置付けられているタイプ。この場合、椅子の背自体がS字を描いているので、基本的にはランバーサポートなしでも座る人の背中に合う形状になっていますが、それでもなお、「さらにしっかりと腰を支えたい」という方のためのものとなります。

オカムラのチェアはどの椅子でも例外なく人間工学に基づいた設計がされています。上記のタイプで言えば2つ目の方です。基本的にすべてのチェアがランバーサポートのオプションなしでも背骨のS字カーブに沿ったデザインとなっています。

ランバーサポートがあった方が座り心地がよいと感じる人は一定数いることは間違いありませんが、今回のキャンペーン企画の結果は「あまりにも多すぎ」です。

オカムラのチェアをお選びいただく際、ランバーサポートは「あってもなくてもいいけど、とりあえず付けておこう」という感じで付けるオプションではなく、「ランバー無しの座り心地よりも、ランバー有りの方が圧倒的に自分には合っている」と感じるための方向けのオプションなのです。

こちらも、実際に座り比べていただかないとなかなか実感することができない内容ですので、メーカーとしてどうやってこの点を皆さんにお伝えしていくべきか、引き続き検討していきたいと思います。

5 考察・まとめ

「お好きなオカムラのチェアどれでもプレゼント企画」として開催した今回のキャンペーンですが、通常のプレゼントキャンペーンではなかなか分からない様々な知見が得られました。

特に、BtoB と BtoC の違いとして作り手が想定できていなかったニーズや、思いもよらない課題が浮き彫りになったことは非常に大きな成果と言えそうです。

例えば「ほしい椅子」のシリーズ。応募シリーズの第2位にライブスパーソナルチェアがランクインしたことが最も象徴的ですが、それだけでなく、「ピンク色の小ぶりな椅子がほしい」という一点にかけてフルーエントをご応募いただいたり、「オカムラのゲーミングチェアがほしい」ということでSTRIKER SEATING EX をご応募いただいたりと、必ずしもハイエンドのシーティングだけが求められているわけではないことが示されたと思います。

また、先述した通り、カラーシミュレーションツールを初めて使う方もたくさんいらっしゃったようで、自分の好みに合わせて色々な仕様を試すことに「楽しかった!」というポジティブな反応を多数いただけたことも予期せぬ成果の一つでした。

一方で、「幅広いラインナップからお選びいただけた」とはいえ、ご自宅向けの家具としてオカムラが展開している「ルシェロ」や「バッソ」の応募件数が極めて少数であったことは、あらためて顕在化したプロモーション上の課題と言えそうです。

今回ご紹介した5つの分析の他にも、実はいろいろな「気付き」が得られた分析はあるんですが、それらの確証を得るためには、今回の結果だけではちょっとデータが足りなさそうです。

・・・と、いうことは。

今回とはちょっと内容・方法を変えることにはなると思いますが、「第2回」の開催の必要性が出てきました。すでに第2回に向けた具体的な企画検討を開始していますので、ぜひお楽しみに!

最後になりますが、ご応募いただいた皆さま、この場を借りて心より御礼申し上げます。ありがとうございました!