案件単価を上げるシンプルな方法
「案件単価が安すぎて、なかなか食べていけません・・・。どうやったら案件単価をあげられますか?」
フリーランスのクリエイターさんから、よくいただく相談です。うんうん、とりあえずよくわからないけど、単価が上がらなくて困っているのですよね。
ぼくも最初の案件は時給50円くらいでやってたので、気持ちはわかります。
しかし、現在では生産性の改善に取り組んでおり、成果が出てきました。自社の新人社員の生産性時給でいうとだいたい時給¥7,000〜¥12,000くらいで推移するほどの生産性をキープできています。
案件単価も改善し、新入社員でも1,000万円以上の粗利を年間で出すことができるようになってきました。
なぜそんなことができたのか、その考え方を今回のブログで惜しみなくお伝えできればと思っています。
案件単価に悩んでいるフリーランスの方に、なんかちょっとでもヒントになると嬉しいです。
なぜ大半のフリーランスは案件単価が安いのか
「受注単価が安すぎる」
「時給単価が〇〇円しかない」
「みんなが安く請け負うから自分も単価が安くなってる気がする」
これは、なぜなのでしょうか。世の発注者がみんなセコくてケチだから価格が安いのでしょうか?あなたのスキルが低いから?営業力が低いから?
それらもあるかもしれませんが、もっと根本的なお話をします。価格(案件単価)というものは需給で決まるのです。
一般に、ある商品の需要量は価格が上昇すると減少するし、逆に供給量は価格が上昇すると増加します。そして、ある商品の需要量が供給量よりも大きい場合には価格は上昇し、供給量が需要量より大きい場合には価格は下落する。
市場経済においては、価格の上がり下がりによって需要量と供給量が調整されます。
ちなみに、ちょっと難しい話を挟みますが、需要量と供給量が一致するところを均衡点といい、そのときの価格を均衡価格といいます。自由競争の結果として到達した均衡点では、資源が必要なところに必要なだけ配分されるため、不足や無駄が生じない。これを資源の効率的配分といいます。これは有形商品でも、今回のような無形商品でも基本的には同じことがいえます。
つまり、フリーランスクリエイターが多すぎるから市場全体の単価が安くなっているということです。個人差は当然あります。しかし、下請けしたいという未経験フリーランスの市場全体でいうと、完全に買い手市場になってしまっています。
WEBデザイナー
LPデザイナー
ノーコードデザイナー
WEBコーダー
動画クリエイター
このあたりの職種で仕事を探している人はけっこうハードモードです。(ハードモードなだけで無理とは言ってないです。)
これは別にぼくの見解を勝手に話していることではなく、経済の基礎知識の話です。
今はあきらかな買い手市場
あと、ぶっちゃけて言うと一部のWEBスクールが強すぎて、勉強や課題しかできないフリーランスが無限に増え続けています。なので、この傾向はこれからももう少し続いていくでしょう。
現在は明らかに買い手市場なので、WEB制作会社側からしたら「低価格で高品質なクリエイティブを発注し放題」フリーランス側からしたら「高品質で低価格でコミュニケーション能力も高く、レスが迅速で実績豊富であることが当たり前」みたいな状態になっているってことです。
ですから、それでも下請けさせてくれるところを探すのであれば、そういう市場で戦っていく必要があるってことを自覚しないと、勝ち残ることは難しいでしょう。
逆に、発注側になればいい仕事を安く発注することは比較的容易です。なので、なるべく仕事を発注する側になると得をすることが多いかもしれません。
なぜ低価格競争になるのか
なぜ価格競争になるのでしょうか。これも需給の話がわかっていれば不思議なことではありません。別に誰かが特別にHP制作を安く請け負っているからあなたに仕事がまわってこないわけじゃないのです。需給の問題なのです。
ただし、あなたが競合のフリーランスとほとんど同じサービスを提供している場合は価格競争に巻き込まれます。価格は市場が決めるので。
適正な案件単価を決めるのはお客さん
そろそろ本題、ようやく答えです。
B2Bの取引では、ほとんどの場合で商談や交渉をしてから案件単価が決まります。案件単価はあなたが決めるのではなく、発注者が決めるからです。
「わたしの時給単価が¥1,000を切っているなんて、おかしい!」
「こんな安い単価でしか受注できないなんて、発注者から搾取されている!」
「安い値段で受注する人が多いから、業界全体の水準が下がってみんなが損をするから迷惑!!」
これらは全て、ぼくからすると的外れな意見です。大変恐縮ですが、その単価を決めるのはサービス提供側ではなくお客さんです。まあ厳密に言うと価格を決めるのは提供側ですけど、それで発注するか決定をするのはお客さんです。
つまり、市場が単価を決めるのです。それが気に入らないんだったら別の市場で勝負するか、付加価値をつけて独自のサービスを展開すればいいのです。
あなたも物を買ったことがあるからわかると思いますが、同じ商品だったら安い方を購入しますよね?これは、まったく同じ条件だったら安い方を欲しくなるという当たり前の原則です。
安い物を欲するのは当たり前
別に安いものを欲するのが悪いわけじゃないんです。むしろ当たり前。それは、あなたも発注者も同じなのです。
じゃあ安いものしか売れない世の中かというと、そういうわけではありません。たとえばiPhoneを購入するときに、Apple Storeで買うものと、メルカリで中古品を買うのでは、メルカリで買う方が当然値段はやすいです。でもどちらで購入しても、同じ性能のiPhoneが手に入ります。でも、Apple Storeで買う人も多くいますよね?これは単純に値段以外の付加価値があるからです。
Apple Storeで買うことによって、新品が手に入ります。そして、偽物をつかまされることもなくなります。また、アップルの定員さんに質問したり、相談したりもできるかもしれません。もしメルカリで購入したら、偽物かもしれないという不安は残りますし、変なカスタマイズや、見えない傷があったり、電池の消耗が激しくなっていたりするかもしれません。
案件単価は付加価値で決まる
このように、付加価値があれば、同じ物でも高く売ることが可能なのです。これはiPhoneでも、デザインでも、下請けでもおなじです。商売の原理原則なので、当たり前と思うかもしれませんが、大抵のことはこういう当たり前のことが一番大切だったりします。
おまけ:下請け専門フリーランスの生存戦略
これまで厳しい現実ばかりになってしまいましたが、打ち手がないわけじゃありません。それでも下請け専門のフリーランスで頑張っていく人に向けての戦略を考えてみました。
下請け専門ってことは、WEB制作会社に対しての付加価値を提示する必要があるってこと
下請け専門のフリーランスは、WEB制作会社に対して付加価値を出さないといけません。その付加価値とはなにか?ぼくがフリーランスだったらこう考えます。
WEBデザインと合わせてオリジナルのコンセプト資料をつけてみよう
デザインチェックシートをつくって、どうやって品質管理しているかを説明しよう
コーディングのチェックシートを作成して、制作会社側の品質管理の手間を減らそう
毎日の進捗を報告し、ディレクターの方にも配慮して進めよう
「などの品質向上の施策は、たぶんどんなフリーランスでもやっているからあまり差がつかないかもしれないな。」と感じて、これらの施策は全部やった上で、ほかを考えます。
ニーズはこの2点にある
ぶっちゃけコーダーのような職種だと品質で差をつけることはけっこう難しいです。圧倒的な品質で値段が高いコーダーよりも、フロントでミスが少なくて安いコーダーの方が需要があると思います。デザイナーはまたちょっと別なんですが。
つまり、ニーズに応えるにはこの2つ(と品質)しかありません。ぼくの頭ではこの2つくらいしか思いつきません。
受注単価を下げる
納期を早める
品質を上げる(前提条件になってしまっている)
まず、『受注単価を下げる』ですが、無料にするのが一番安いので、実績がないうちは無料でやると思います。全力で。
※もし、無料でも受注ができない場合は「無料でもけっこうです」と思われている可能性が高いので、いったんスキルアップや、提案内容を見直しましょう。
案件単価が上がらないなら、納期を早める。
これが本命です。案件単価はある程度、相場くらいはもらいたいので、あとは納期で差別化します。
デザインの初稿は24時間以内に出す
10ページ程度のレスポンシブWEBデザイン(ブレイクポイント3つ設定)の納品は5日以内
フロントのコーディングだけでなくCMSの実装込みで4日以内でデモ環境の実装を完了させる
このくらいのスピード感を目指します。このスピード感だと、ちょうどうちの新人社員と同じくらいなので、発注の検討候補に入ります。
極端な話ですが、他の人の2倍早く仕事をすればいいのです。
納期が短いのは、WEB制作会社からすると、とても価値があります。緊急な案件があったときに真っ先に声をかけてもらえる存在になるでしょう。また、スピードが2倍ということは、他の人よりも2倍の仕事がこなせますので、案件単価や稼働時間がおなじでも、収益が2倍になります。
案件単価を上げるのは限界がありますが、正直スピードはもっと上げられる人が多いのではないでしょうか。
まとめ
長々と書きましたが、伝えたいのはこれだけです。
仕事の単価は、与える付加価値に応じて決まります。これはどんな仕事でもだいたいおなじです。どれだけ目の前の人の役に立てるかどうか、もう一度じっくり考えてみるのもいいかもですね。
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