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主に世界と人間について書かれたエッセイたち

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#生きづらさ

告白

 告白しよう。狼だぬきはこれまでの人生において、重大な勘違いをしていた。その勘違いによって、彼は自らを生きづらくさせたし、世界をつまらないものにさせた。  その勘違いとは、「人々は閉じている」という偏屈な認識である。人々は閉じていて、冷たくて、やさしくない。  そのため、彼は有事の際には自分の内側の深いところまで逃げなければならなかった。誰も入れないであろう暗部に身を潜めて、重厚な壁をもって繊細な自分を守らなければならなかった。それが信念だった。  しかし、いま気づいた。

「生きづらさ」は明治時代からちっとも変わらない。(あと対処方とか)

 「生きづらさ」が一種の社会問題になっているのでは、と思う。 今でも年間2万人ほどが自らを殺し、生を絶つ。 「死ぬ勇気」が持てなくてそれこそ「死ぬほど」苦しむ人々がいる。  インターネットやSNSの発展によって、世界中の情報がキャッチできるようになったぼくたちは、 相対化して生きづらさを感じてしまったり、「生きづらい」と嘆くタイムラインの文字列を見て自分を過度に重ねてしまったりする。「発達障害」の認知が増えるほど、その数が増えていっていることと似ている。  だから世界は、