栗麻呂ノ暗号『ダンケルク』完結編・ビートルズの超エロ曲が感動に変わるまで…。究極のネタバレ あるいは(無知がもたらす予期せぬノーラン愛MAX)
シリーズタイトルが変わりおったで。
『天才ノーラン大解剖!』改め『栗麻呂ノ暗号』や。
くりのもと…くりまろ…
しかし完結編って言うとるのに、シリーズタイトルを変えるっちゅうのも意味不明やな。
何考えとんねん、あのオッサン。
きっとまた終わらないと思うよ…
まだ続くから、わざわざタイトル変えたんだと思う…
今度は1万ダンケルク賭けてもいい…
よっしゃ!
ええじゃろはんが1万なら、ワイは100万ダンケルクや!
やあ君たち。
ずいぶんと景気のいい話だね。
なに他人事みたいなこと抜かしてんねん。
オッサンが払うんやで!
101万ダンケルクや!
ズルい、ナンボク!
オイラも100万ダンケルク!
ははは。これは参ったな。
100ダンケルク札じゃ大変なことになってしまう。
高額紙幣を作らないとね。
そりゃアカンでェ!
前回のやつに「万」の字を付け足しただけの100万ダンケルク札を1枚ずつ渡してお終いなんてオチは絶対に許されへん!
てか、今回で終わらすように努力せえ!
その通りだね。頑張らなきゃ。
こんなやりとりをしてるだけでも記事はどんどん長くなっていくから、さっさと始めさせてもらうよ。
例によって本記事はネタバレを含みますから、真っ新な状態で映画を観たい方はここで引き返してください。
「究極のネタバレ」とかほざいとるけど、このオッサン、肝心の映画を観とらへんのや。ネタバレどころか「壮大な妄想」っちゅう可能性もある。話半分くらいに聞いとくんが利口やで。
ずいぶんな言われようだな。
まあいい、さっそく名盤『LET IT BE』の2曲目、名曲『ディグ・ア・ポニー』に行ってみようか。
あの曲って名曲やったか?
ジョン・レノンがヨーコとのことを浮かれまくってノロケまくってるだけの歌詞としか思えんけどな。
えっ!そうゆう歌なの!?
せや。
比喩やメタファー、隠語を駆使して、ひたすらヨーコとのエッチのことをノロケまくってる歌や。
「アソコ」がどうの「具合」がどうの…「腰振っとる間」がどうの、とか。
ビートルズの歌の中で、一番エロい歌なんとちゃうか?
・・・・・
そうだよね。
「よく公衆の面前で本人が横にいるのに歌えるよね、キミ」って突っ込みたくなるほどの歌詞だ。
確かに数あるビートルズの歌の中で一番エロい歌かもしれないね。
超特大ヒット曲が含まれる名盤『LET IT BE』の中では、あまり人気もなく、カバーもされない曲だけど、僕は大好きなんだな。
あれに似とるよな。
レナード・コーエンの『Hallelujah(ハレルヤ)』に。
あっちも男女の交合の歌やった。
だね。
そしてジェフ・バックリーが『ハレルヤ』という曲のもつポテンシャルを最大限に引き出してカバー・バージョンを発表した。
もうとんでもない、奇跡の歌になったんだよね。
ずいぶん前に「おかえもん超訳」で紹介したね!
でもこんな寄り道してると、ホントに終わらないよ!
いや、寄り道じゃないよ。
原作者のレナード・コーエンはジェフ・バックリーの『ハレルヤ』を聴いて「素晴らしい!もはや自分のものにしてる!」と感動したんだ。でも最後にひと言付け加えた。
「ただ、ちょっとエロすぎる」
ああ、確かそんな話も聞いた(笑)
ビートルズの『DIG A PONY』も十分エロい歌なんだけど、これをさらにエロく歌った人物がいる。
まるでジェフ・バックリーのように…
さあ、さっそく彼女に歌ってもらおうか!
お、女!?
彼女の名は、St.Vincentことアニー・クラーク!
2009年2月27日に行われた奇跡のライブ動画だ!
前半はトークなので、3分20秒あたりから見て!
ワンダーウーマンばりに、ぶっ飛ばされるぞ!
St. Vincent『Dig A Pony』
な、なんか圧倒された…
あの間奏、サイコーやな。
思わず「イエイ!」て叫んでもうた。
ジョン・レノンが生きていて、もし彼女の『DIG A PONY』を聴いたなら、きっとレナード・コーエンと同じことを言っただろうね…
「素晴らしい!でもエロ過ぎるゥゥゥゥゥ!」
せやろな。
「ゥ」をあんな付けるかどうかは別として。
でもポールはジョンのことを「JOJO」って呼んでた。『GET BACK』で。
たぶんジョジョっぽい喋り方をしてたのかもしれない。
時代考証が間違ってる…
ところでこの曲はどんな歌詞なの?
とんでもない歌詞だよ。
僕の和訳を紹介しようかな。栗麻呂のダンケ・バージョンだよ。
DIG A PONY
作詞作曲:レノン=マッカートニー
日本語訳:おかえもん
<1番>
私は小舟の可能性に気付いた
きっと望む通りの成果を出せるはず
そう、きっと彼らに祝福を与えられるだろう
<2番>
私は小舟で大海原を進む
こいつなら行きたい場所まで行けるはず
そう、大型船が入れない、あの浅瀬まで
<サビ>
言っただろう、この国に必要なのは君たちなんだ
君たちが強く欲すれば、すべてはその通りになる
なぜなら…(君たちこそが未来なのだから)
<3番>
私はMOON DOGを選んだ
こいつなら、その特性をいかんなく発揮してくれる
そう、こいつなら絶対にやってくれるはずだ
ああ、今こそその時だ!
<4番>
僕は、ROLL A STONEY
知っている人になら誰にでもなれるはずだ
そう、僕は誰にでもなれるはず
言ったよね、僕に必要なのは君なんだ
君になりすませば、船に乗せてもらえる
なぜなら…(君は英国人だから)
<5番>
風を感じる
君たちなら行くべき道を見出せるはず
そう、君たちの見る世界が、この国の未来となる
ああ、まさに今!
<6番>
私は若き者たちに未来を見た
見た目も中身も違っているが、心を一つにできるはず
そう!それぞれ力を出し合って未来へ漕ぎ出そう!
言っただろう?
君たちこそが、すべてなんだと
君たちが望めば、未来はそのようになってゆく
なぜなら…(君たちこそが未来なのだから)
アカン…
泣けてきた…
あのエロ歌が、こんな素晴らしい歌になろうとは…
ジョンの想いも、それはそれで素晴らしいものなんだけどね。
メイク・ラブの素晴らしさと可能性を歌ったものだから。
だけど栗麻呂は、それをすっかり違う意味に解釈した。まさに「ダンケルクの撤収作戦」そのまんまの物語にね。
辞書で元の歌詞に出て来る英単語を調べてみると、とても面白い。まさにダンケの物語がそのまんまの意味に読めるようになっているんだ。
ジョン・レノンが天才なら、クリストファー・ノーランも天才だね。
「レノン=マッカートニー」と「ノーラン」の才能が複雑に絡み合って、奇跡のような作品『ダンケルク』が誕生した。僕のこれまでの一連の行為は、それを因数分解しているようなものなんだよ!
よくわからないけど、ちょっと凄いことしてるっぽく思えてきた…
歌詞の1番から3番までは、ミスター・ドーソンの思いやな。
国の宝である若い命を見殺しには出来ん!なんとしてでもワイが助けに行ったる!っちゅう切なる想いや。
だね。
見事なトランスレーションだよ、栗麻呂。実に鮮やかだ。
でもまた英語のままの部分が…
「MOON DOG」と「ROLL A STONEY」の二つ…
あ!それや!前にワイが聞き覚えあるっちゅうたんは、それのことや!
そうだね。
そしてこの二つから導き出されるのが「MOON STONE」。
ミスター・ドーソンや息子ピーター、そしてジョージが乗りこんでダンケルクへと向かった船の名前だ。
キタァ~~~~!!!
そして4番が、憎いくらいの「アクセント」になるんだよね。
ほんとキミはなんて憎い奴なんだ、栗麻呂よ!
栗麻呂映画お馴染みの「なりすまし」みたいな歌詞…
ダンケで「なりすまし」と言えば…
スチュ!
いや、ギブソンや!
その通り。
そして5番からまたミスター・ドーソンに戻る。6番だけ「DIG」が過去形「DUG」になって、ちょっと時間が過ぎての回想っぽくなるんだ。
なんかドラマチックだよね。
「私たちはかつて若者に未来を託した…」
って、なんかちょっと今の英国へのメッセージっぽい。
「今はそうじゃなくなってる」ってニュアンスが滲み出てる、ちょっと皮肉が混じったメッセージ…
まさに「栗麻呂ノ暗号」だ。
なるほど!
やっぱ、こっちのタイトルのほうがいいね!
でしょ?
「くりのもと くりまろ」って名前がいいよね。
我ながら気に入ってるんだ。
「柿本(かきのもと)」を「栗ノ本(くりのもと)」にしたんだけど、「ノーラン」の「ノ」の字も入ってる。だからタイトルも「栗麻呂ノ暗号」にしたんだ。「栗麻呂の暗号」じゃなくてね。
自画自賛もええ加減にせえよ。
まだ『LET IT BE』の2曲目や。
ちゃっちゃとやらんと、いつまでたっても終わらんで。
その通りだ。
3曲目は、これまた重要な曲「ACROSS THE UNIVERSE」だからね。
いや、僕はこの曲がアルバム『LET IT BE』の中で、最も歌詞において優れた曲だと思ってる。大メジャー曲「LET IT BE」や「The Long and Winding Road」よりもね。
映画『ダンケルク』においても、非常にに重要だ。
毎回「一番重要」って言ってる気がする…
これまでダンケ編で紹介した「GET BACK」「TWO OF US」「DIG A PONY」そして「ACROSS THE UNIVERSE」はホントに重要なんだ。
あと「One After 909」も大事だよね…
それに「マギー・メイ」もかなりヤバいし…
そしたらあの曲も…
全部じゃんか!
だね。
ちょっと今回では解説しきれないな…
というわけで、また次回。
やった~!200万ダンケルク!
ツケにしてもらってもいいかな?
リボ払いでもええで。
リボ…?
そういや『リボルバー』ってアルバムもあったよね…
あの曲が好きなんだよな…
ほら、あの有名な曲…
ん?
ま、まさか…
あの曲が…
あ~~~!忘れて~~~!
また終わらなくなる~~~!
余計なこと言ってもうた~~!
つづく
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