陽の当たる廊下に響く口笛
僕が音楽を始めたのは中2の時だ。
こういう書き出しをすると、まるで今の自分は何者かになったかのようなニュアンスが出てしまうのだが、あなたもご存知のように、僕は何者にもなれていない。
歌を書くとき、猜疑心だけが友達だった。いつもすぐそばにあるものを友達とするなら、の話だけれど。
でも当時周囲にはそれなりに話す人もいたし、強烈な虐待を受けていたわけでもないから「逆境を力に変えてきたタイプ」ではない。
それに仮にそう自称するにしても、いろいろと苦労が不足しているような気がする。
いやなことも辛いことも誰にも上手に伝えられないままというか、人に伝えられるように加工できないまま、そのまま生きてきてしまったような感じだ。
人に伝わらなければ何も起きなかったも同然。
人に伝えなくてもそれなりに満たされて生きていけるなら、その方が良い。
だけど僕は僕の中の違和感を、どうにもしまっておくことができないらしい。
だから僕は僕なりに、歌を書くことにした。
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