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【エッセイ】風になれなかった子供


2021年10月が終わる。
今日は歌入れをしてきた。
恐らくは次回のミニアルバムに収録されるであろう楽曲群である。

歌のレコーディングの仕方はアーティストの数だけあると思うが、僕は極力あまり日にちや時間をかけないようにしている。

フルアルバムでも1日か2日で録り切る。
その時の熱量を大切にしたいがためである。

声は大丈夫なのかというと、意外と問題なく進むことが多い。というのも、LIVEと違って続けて歌わなければならないこともないし、楽曲によってはセクションごとに自由に休むことさえできる。だから、皆さんが想像するよりも声を酷使することが少ない。

とはいえ、さすがにあまり休まず十数曲録音するとなると、やはり後半は声のニュアンスが変わってくる。あくまで声も楽器の一部なのだと、そのような時に思う。

次回作の内容は、前回のアルバムとはニュアンスの違うものを作りたい、と考えながら曲作りをしていた。「なにかや誰かに合わせようとしない」という意思は元々の精神性に含まれているものとして、今回は特に僕にとって「今本当に言葉にしたいこと」を中心に形にした。

だからといって、社会や誰かを変えるための主張を込めたわけではない。社会や誰かを変えるための主張は、そういう自信とナルシシズムに満ちたアーティストがやればいいのだ。一ダメ人間の僕には荷が重すぎる。

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