見出し画像

漂着できなかった怪物の空き瓶

生まれた瞬間から今までの間、僕はどのタイミングで何度、間違いを犯したのだろう。そのたびに記録をつけてくれるロボットがあったなら、こんなに誤った方向に成長することもなかったのかもしれない。

他人基準で生きることは苦しい。僕は僕であることを時々後悔する。
こんなに怠惰で才能を持たない人間に、誰が価値を感じてくれるというのだろう。
これを読むあなたにもし「そんなだから売れないのだ」という言葉が浮かぶなら、それはおそらく正しい。

不幸ぶっているようにも見えるかもしれない。それはまぁ仕方がないと思う。
なぜなら僕は不幸ではないからだ。けれど報われない側面は依然としてある。
例えばそれは僕の作る音楽だ。

僕の音楽が選ばれない理由は、薄々なんとなく、自分なりにわかってはいる。
なのにそれを選ばれるように加工したり、奔走したりする勇気と気力と才能が欠けている。想像力も、貪欲さも、何もかもが欠けている。
そしてこんな自傷にも似た文章を他人に見せて、場当たり的な麻酔を己にかけている様は、さながら見知らぬ他人に同情を要求する物乞いの類だ。

だけど僕は僕の居場所において、日々現れては泣き叫ぶ自らの嘆きの化身を閉じ込める牢獄のようなものが必要で、それがこのエッセイになる。

ここから先は

1,828字

¥ 250

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

いただいたサポートは、音源作りの費用とツアー資金に使わせていただきます。そしてたまにスタッフにおいしい焼肉をごちそうしたいです。