解夏

夏は嫌いだ。今年もまたチリチリと肌の焼ける感覚がして嫌気がさす、初夏、紫外線。じんわりと滲む汗、ペタリと張り付くTシャツ、肩にリュックの跡がついちゃって、あーあ。アスファルトからニタニタとこちらを見る陽炎にも腹が立つ、そんな目で私を見るなよ、一夏の命のくせに。

けれど夏が好きだ。扇風機からぬるい風が吹いて、そよそよとカーテンが揺れる。今日も寝苦しい。夏が終わったらどうしようなんて考えて、胸の奥がギュッとなったりもする。日本の四季は鬱夏鬱鬱なので、今年こそ夏と心中してもいいかな。蝉の声はまだ聞こえない。

夏にしたいこと、たくさんあるんだ。テトラポッドに登っててっぺん先睨みたいし、夏の星座にぶら下がりたい。じゃんけんじゃない方の、田中じゃない方の、aiko。鬱漫画って夏題材ばかりじゃない?小学生の頃に「惡の華」を読んでから、私が歪んだ気がしている。うっせー、クソムシ。

ミーンミンミンミンミン

ジャワジャワジャワジャワジャワ

ジジッ

漠然と将来について考える、依然としてやる気などない。同級生に頑張れと声をかける度、自分の中に惨めの渦ができる。ぐるぐるぐるぐるぐるぐる、ここでグルコサミンを思い出した君はセンスがないね、そんな君も大好きだ。夏が終わったら就活ってやつをしなければならないらしい。はいはい、美味しいヤミー御社御社。

だからこの夏を必死に泳いで行かなければならない。自由、最後の夏、まだスイカ割りだってしたことないのに。耳鳴り、私だけに聞こえる蝉の声。御社を志望しました理由は、えーーーっと、あれ、私は終わらない夏休みの中にいて、それで、ああ、多分まだやりたいことが見つけられないんだ。

8月32日まで書かれたカレンダーを探しています。

そこに無ければ、ないですね。


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