どぶろっくはおっぱいを揉まない


・KALDIで無料のコーヒーいただきながら店内を散策していると、向こうの方から音楽が流れてきた。イベントやってるらしい。地元のアーティストでも出てんのかな。


女女女女 女女女 女女女女~♪


・え?

女女女女 女女女 女女女女~♪

女女女女 女女女 女女女女~♪



・どぶろっくじゃん!!!!



・なんか知らんでもないようなギターだなと思ったら。次の瞬間横っ面スパーン叩かれて、思い出すというモーションを瞬時にキャンセルされた。どぶろっくの偽者がいるわけもないし本物だろう。カルディコーヒーファームでどぶろっく聴けることってあるんだ。私はファンでもないし歌ネタなら聴いてるだけでも……とちょっとどうしようか迷ったんですけど、折角なので見に行きました。


・すぐそこに人集りができてて、その中心にどぶろっくの2人がいた。

・で、みんな想像してほしいんだけど、少し高くなってるだけのステージがショッピングセンターの1階中央にあって、その前に椅子が並べられてる感じね。その後ろに立ち見客。両脇からはエスカレーターで2階に上がれるようになってて。ステージの上の空間は吹き抜けになってるから、2階や3階の通路からも見下ろせる……みたいな構図。

・それで正面の席はもちろん、2,3階まで人びっしりだった。正面左右ステージの後ろ側まで人が囲んで観てた。私も見にきておいてなんだけど、そんなに人気なんだとびっくりした。土曜のお昼ということもあって家族連れが多かったけど、どちらかというと親側が見たくて陣取ってるだろ、それは。



・○○な女、もうめちゃくちゃウケてた。私も来たばっかのとこで、ちょっと確かではないんだけど、おそらく1曲目がこれで「掴み」のネタだった。それが大ウケしてた。本物だっていう盛り上がりも大きかったのかもしれない。

・まあそらそうかという所なんだけど、年代上めの大人たちが手叩いていちばん喜んでた感じはあった。やることやって経験積んで落ち着いて、恥らいも少なくなってきた頃合いの大人たちが。若者たちは静かに笑いを漏らしつつ見守り、子供たちはポカンとしつつも歌のステージとして楽しんでいて、結果として老若男女にウケていた。

・小さい子には分からんよな。でも笑ってた。多分親が笑ってるから。面白いこと言ってるんだと察して。私も小さい頃、親の運転する車で流れる「NISSAN あ、安部礼司 〜 beyond the average 〜」聞いてよく分からずも笑ってたもん。それとはまたちょっと違うか。



・この集客力って凄いよなと思う。万人に楽しんでもらえるのは。


・まあもしかしたら全員にはウケてなくて、不快な気持ちになる人もいるかもだけど。というかそうあっても不思議じゃないのよ。SDGsにジェンダーレスが挙げられてる時代に、「○○な女って××そう」っていうド偏見を歌ったネタで勝負して。


・それが受け容れられてファミリー層の多いショッピングモールに呼び込まれているのは、彼らに「いやらしさ」がないからだと思う。

・これはもうその場で見て感じてくれという他ないんだけど、エロが全く感じられない。これは褒め言葉として。


・多分なんだけど、あのネタはもっと下品にする事もできる。でもそれだと面白さから離れてただの下衆に成り下がる。一方の値が上がれば他方が下がってしまう、オモロとエロさの需要供給曲線があったとして、その均衡価格が取れている。

・し、それがTVによって周知されているからみんなも安心して見ることができる。これは笑っていいラインのエロ、このタイミングでひと笑い、ということが分かり切っている。実際、後から見返すと↓↓↓のネタと一言一句違わなかったと思う。

・多分初見だと適応できない。長い芸能活動の中で築き上げた、信頼の上に生まれるお笑いだ。撃つ側と撃たれる側にダメージ量の共通認識がないといけない。この塩梅が上手くいっていない一般人のそれはパワ・セクハラになってしまう。



・その後も陰毛を食べる歌で観客にコーラスを求めたり、盆踊り調の曲で子供たち参加型の踊りをやってたりと、しっかりイオンの昼下がりに心地いいエンタメをしていた。じゃんけん大会で勝ち上がった老婦人を口説こうとしてみせたり、写真撮影のタイミングを設けてくれたりと。

・一応「撮影禁止」の貼り紙はあちこちにされていたんだけど、それでも我慢できずにこっそり撮っちゃう人とかいるのよね。でそういう人を見かけた周りはもやもやしちゃうんだけど。それを見兼ねたのか知らないけど、子供たちと踊り合った後に「せっかくだから撮影のタイミング取りましょうか」つって色んな方向にポーズ取ってくれた。で「はい、撮影はここまでで。」って。それで綺麗に場が収まってた。

・私はその所作の一つ一つに感心してしまったが、彼らにとっては慣れたものなのだろう。ネタに似つかわしくない位にあたたかな時間が流れていた。

・今見返すと空耳ネタを歌詞表示も何もないステージでやってたのかと気づき、少し攻めてるな……と思うなども。でも然るべきタイミングでしっかり笑いを取っていた。

・どぶろっく、純粋に歌が上手いし曲もついつい口ずさみたくなるような良さをしている。アコギ一本であそこまでグルーヴ感を生み出せるのは凄い。ところでグルーヴって何ですか?



・あとなんというかもう、「演目」の域なのよね。

・観客を意識した、洗練されたお題目。みんなお馴染み○○な女をきっちりアクなく披露している。そこに一切の雑味がなくて、尻込みも力みもしてない、しかし自然体で喋ってるでもなく「どぶろっく」を「やっている」感じ。芸能人とはよく言ったもので、もはや伝統芸能に通ずるものを感じる。


・だからもう、エロじゃない。あの人達は全然スケベじゃない。

・スケベを名乗って下ネタやってるけど、実のところ生粋のエンターテインメント。饅頭こわいを演じる落語家が本当に饅頭を怖がってるかって話よ。



・Twitterでソシャゲ等の、おっぱいが大きいキャラに対して揶揄するようなネタツイートをしているオタクには、饅頭こわい、がある。これは欲しいという意味での怖いが、実際ある。そいつらは本当にそのキャラに欲情してるバカ猿です。明け透けに下ネタ言ってるオレ終わってるわ~~wwwの上っ面を見せつつも、現実のおっぱいに対する欲望を捨てきれていない。

・こいつとかな。吹っ切れるとそれも一芸になるのだけど、大抵は裏に本物の性欲が見え隠れしている。それこそエロとネタの均衡が崩れていたり。

・私ユーモアありますみたいな面しやがってよぉ。ったく。いざリアルの女の子と会話したら「もしかしてだけど~♪」発揮する癖によ。そんな淡い希望を抱く癖に自虐二次元縋りツイすな。現実じゃあ言いたいことも言えないからって、性欲までインターネットお漏らしすな。こら。くっせぇくっせ。しっこしっこ。匂いますわ。僕ちん本物のおっぱいも揉み揉みしたいんです~~ってよぉ??ちんぽこ出すな!!!



・どぶろっくにはそれがない。彼らの奥底にリアルのエロを求める下心が欠片の一つも見えない。ちんぽこがない。彼らは人を楽しませるための「芸」としてそれを行っている。



・どぶろっくはおっぱいを揉まない。






・って始まりと終わりの一文が同じなの、デモナータ第4巻「ベック」と同じ構成かい!!!!!!




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