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「伊豆の踊子」の’伊豆’って

少し前に、”伊豆”大島にある「波浮港」を描くお仕事がありました。
波浮港というのは元々火口湖だったのが津波で海とつながり自然にできた港で、かつては漁船がギウギウにひしめき合う活気に満ちた港だったようですが今は静か~な港になっております。
私は初め
「このような港は日本ではどこにでもありふれていて、私には特徴が出せないような気がします、、もっと伊豆大島らしい地層の断崖や椿のトンネルなどはどうでしょうか??」
といったふうに、地味な港を描くのはなんだか気乗りしないなあ~という思いで別のモチーフを提案してみました。

すると、担当の方は
「『伊豆の踊子』(川端康成)の’伊豆’から着想を得たんですよね・・・」と仰る(※メールですが)。

私は内心
(あら?いやいや…
『伊豆の踊子』の’伊豆’って、「静岡県の伊豆」ですから~!
「東京都の(伊豆大島の)伊豆」じゃあないですよ?!)と思い、やんわりと
「『伊豆の踊子』だと静岡県ですけど、伊豆大島の波浮港でも『波浮の港』なんていう映画があってちょっと流行ったらしいですよ。」と相手の勘違いを訂正するようなことを言ってしまいました(※メールですが)。

ところが、『伊豆の踊子』のこの踊り子さん一家のご出身が東京都の伊豆大島は波浮港という設定だったんです。
それをやんわりと返されまして・・・
恥ずかし~!

それならばと、いくつかラフを出す中で描いたラフが踊り子さんが定宿としていた港屋旅館をモチーフにしたものでした。
現在は資料館となっています。

港屋旅館(現資料館)の中から見たアングル

サイクリングもモチーフで依頼されたものだったので、それっぽい服装で。
休憩がてら資料館の中を覗いたり涼んでいる感じ。

踊り子坂の途中左上に港屋旅館(現資料館)があるという構図

もう1つ「踊子坂」から港屋旅館を眺める構図も考えましたが、どうやっても階段を上った正面、画面中央が公衆トイレになってしまうので自主的に却下。
もうちょっとずらしたところにトイレを建てた方がいいのに…などと思ってしまいました。

『伊豆の踊子』は確か中学三年(二年?)の国語の教科書に載っていました。正直、国語が一番嫌いな科目でテスト前に漢字を覚えるだけで、物語の内容で覚えてるのは少女がすっぽんぽんで風呂から手を振っていたシーンだけ。他、特に感動することも無く
「この時代の世代の男子学生にはそれは眩しいだろうよ…、何書いてんですか?」
という冷ややかな拒絶しかありませんでした。

でも、やっぱり中学生くらいまでの基礎知識は無いと、時に恥ずかしいかも…と思う出来事でした。

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