初めて呑んだ酒は田中六五だった。
22歳の上京したてだった頃、吉祥寺の和食屋にふらっと行った時にカマスの塩焼きを頼み、
折角だからと初めて日本酒を頼んでみた。
店員に銘柄は何かと聞かれる
当時酒の銘柄なんて霧島と黒霧島ぐらいしか知らない宮崎の田舎者はとりあえず九州の酒をと注文する。
カマスの塩焼きと田中六五を交互にちびちびやる。
その時に初めて解った。
「みんな日本酒呑んでるのはこういう事だったのか!」ふと横を見ると、還暦は迎えたであろう着物を着た白髪の男(恐らく作家さんの類?)が肴を箸でつついたり、