チャッターアイランド vol.2

『チャッターアイランド』(仮)はDJ/プロデューサーのokadadaとDJ/ライターのshakkeがしゃべったことを記録する、という趣旨のテキスト/音声コンテンツです。今回からは基本、月に1回、月末の配信を予定してます。

“布団がふっとんだ”のタイミング


shakke やっぱこうやって話してるのを録音しとくっていうのは、いまの立脚点を再認識するって意味合いもありますよ。
okadada それはめっちゃあるかもなぁ。ほんで、絶対言ってること変わると思うんすよ、ぼく。極端に言うと明日には。でもそれもいいやんって気持ち。変わったらいいと思ってるほうなんでね。
shakke そう思うね。
okadada どれくらい変わったと思います? ほんまにここは昔の自分とは180度変わったってとこあります? 自分は中学生くらいから考えたらほとんど変わってんねんけど、近いとこからいうとあんまりないねんなぁ。
shakke それがどうつながってるかわかんないけど、小学校のときにめちゃめちゃ声優のラジオとか聴いてて。アニメとかも見てたけど、いわゆるアニメオタクっていうよりも、声優ラジオのオタクみたいな。小学4年から6年の3年間くらい、声優の深夜ラジオを録音してずっと聴いてて。声優の話とかなると早口になる、みたいな。んで、大人のそういう(声優ファンの)会合とかにも行ってたんだけど。っていうのを、中学1年生になってバサッと切ったんですよ。
okadada あぁ、はいはいはい。
shakke それが性格的にどう起因してるかはわからないけど、けっこうな転換を、しかも自分で決めてやったっていうのはいま話をしてて思い出したね。でもこれ、陰キャから陽キャになったとかそういう話でもないんだけど。それこそさ、小学生とかでそういう大人のアニメファンとか声優ファンとかの集まりに行くと、チヤホヤされるわけですよ。“小学生なのにこんなの聴いてるんだ”みたいな。でも“そうじゃないな”っていう。子供として扱われるのがイヤだったのか、ちゃんと社会と……学校の子とかと仲良くなってこうみたいな。学校の子との共通言語を持とうみたいな。
okadada ふーん。
shakke 学校には声優のラジオの話とかできる友達はいなかったわけですよ。
まぁ、そこそこ話す友達もいるけど、べつに深い付き合いでもないみたいな。それを転換させたっていうのがあるんだよな。
okadada それは脱オタっていう話というよりは、子供からもうちょっと大人になろうみたいな?
shakke 大人の子供扱いに対してこのままだったらヤバいみたいな。
okadada へええ、すごい理由でなるもんですな。
shakke そうね。それで音楽を聴きだしたんだよね。
okadada それは大人になる手段として?

shakke そうそうそう。親父が持ってた洋楽のレコードとかを聞いたり。前回のさ、岡田さんのさ、中学時代に友達とケンカして、それをきっかけにひとり遊びをはじめるっていうのも中学1年とか2年でしょ?
okadada 中2の途中から中3の途中までっすね。
shakke だから、やっぱそれくらいの時期にそういうこと思うんだなっていうのをいま思いましたね。
okadada その時期にどう変わったんすか、性格とか。
shakke うーん、自分で客観的にどうとかっていうのはあんまないけど、単純に外向きになったとは思う。
okadada じゃあ小学校のときとは全然違うかったってことですか。
shakke でも、いま考えたら、音楽を聴くってことも結局中学生っぽい背伸びみたいな部分あるし、本質的には変わってない気がするな。声優ラジオとか聴いて大人の会合でチヤホヤされるのと本質的なモチベーションは変わってない気がする。
okadada なるほど。そっちの方向で変わってないってことか。
shakke とはいえ社交とか社会性みたいなものを子供なりに意識したんじゃないかなと思ってて。
okadada そう言われたらシャケちゃんっぽいかもしれない。
shakke 学校とか自分が時間を多く割くところに対して順応していくみたいなことを意識して思ってたんじゃないかな。それは岡田さんがこの前話した音楽聴きだしたころの話ともちょっと似てるかもなぁと思った。
okadada おもしろいっすね。それで言ったら、自分は大学生から変わってないっていうのはそこかもしれないですね。なんて言ったらいいんやろ。“ヤバい曲知ってるぜ”っていうのは楽しいけど、それで戦ってもしょうがない、みたいな。もはや戦ってもしょうがない、終わりないやん、みたいな。

(大学時代に)レコード音楽部っていう音楽を聴く部活にいたんですけど、みんなそれぞれジャンルがちがうわけですよ。みんなが出してくる音楽が聴いたことなかったり、おもしろかったり、興味なかったりするわけですけど。とにかくバリエーションに富んでるわけですよ。週に2回、その活動をするわけですけど。多いときで7~8人、だいたい5~6人ぐらいで。“オレってほんまに音楽知らんな”って思うわけです、毎回。っていう話をしたら部活のメンバーもみんなそう思ってたっていう。
shakke ハハハハ。“自分はなんて浅学なんだ”って思ってたら。
okadada そうそう。そこくらいから変わってないっていうのはありますね。というか、浅学であっても構わないっていう。なんなら、どうやらずっとそのままらしいっていうね。
shakke まぁ自分のフィールドとかがあればいいんじゃねってことだしね。
okadada そこはどうでもよくなったってとこはありますね。オレの興味はそこじゃないんやっていうのがよくわかりました。こういうの言ったらアレっすけど、“ヤバい曲掘ってナンボっしょ”みたいなイズムがあるじゃないですか。もちろんカッコいいとは思いますけど、もはや自分の興味はそこにはないっていうのが大学生くらいでよくわかりましたね。
shakke それはそのままDJにもつながるというか……
okadada さらにDJをずっとやっていくなかで先鋭化したと思いますけどね。
こんなんかけ方やん、どのタイミングで聴くかやん、みたいなね。
shakke そうね。自分はそういう音楽の効用みたいな聴き方ができるようになるまで時間がかかった気がするわ。
okadada 松本人志の『放送室』ってラジオあったじゃないっすか。それでめっちゃ覚えてるのがあって。当時めっちゃバリバリDJやってたわけじゃないですけど、それってほんまにわかるわって思ったことで。ラジオで“ほんま世の中、笑いがわかってないヤツが多い!”って毎回言ってるわけなんですけど、松本が言ってたのは“布団がふっとんだ、っていうのはおもしろくないダジャレやとみんな言うけど、それは全然わかってない。アホが言うとることや”と。
shakke ほう。
okadada “これは布団がふっとんだって言うタイミングが悪いからウケへんだけや”って言うんですよ。“布団がふっとんだ、ネコが寝込んだ、って言ったらウケるタイミングがあるだけなんや”っていう。 この論法は非常に心に残っとります。
shakke それはだいぶDJの論法を言い得ているというか。
okadada 自分からしたら、よくない曲だってありますよ。でも、それもタイミングだったりもするじゃないっすか。
shakke ほんとそうだねぇ。
okadada かといって“音楽には等しく価値がある”って言いたいわけでもないっていう。だから批評性が大事ってことが言いたいわけで。
shakke いいですね。ここ、ちょっと使いたいですね、書き起こしは。
okadada ハハハハ。ライターマインドですね。
shakke いや、けっこう大変なんよ、書き起こすの。
okadada いやぁ、でしょうね。


ガンナムのぬか漬け


okadada なんかちょっと不安なってきましたね。
shakke なにがですか。
okadada まじめな話をしすぎてるかなと思いました。
shakke たしかに!
okadada ちょっとほんまに、なんかおかしない? いや、たまたまやけど。普段からこういう話はしてるけど、それにしてもちょっと。まぁ偶然ですけどね。我々は平気で8時間くらいこういう話してるんで。たまたま話の転がった先がまじめだったっていうだけですけど。ただ、いくらなんでもこれはまじめすぎひん?

shakke 思ったんだけどさ、けっこうこれは話すっていう体で話してるじゃないっすか。これまではガス抜きがあったんだけど、いまは2週間分まとめてバンッってしゃべってるからさ。
okadada そうなんですよ。“なんか読みました?”みたいな話になるからやねんな、これ。この話のあとに抜いた話ができるやん、みたいなとこあるんで。
shakke そうねぇ。
okadada 今日とか序盤のほうとかどうでもいいっちゃどうでもいいから、長めに録って、ざっくりスパッと編集してもいいかもしれない。
shakke 軽い話、ちょっとしとく? (給付金の)10万円なにに使う話とか。
okadada あぁ。シャケちゃんなにに使うって言ってましたっけ?
shakke プロジェクター買おうかなと思って。あと電動キックボード。
okadada 言ってたなぁ。でも、それ買ってもまだ余るっしょ?
shakke でも意外とさぁ、電動キックボードは6万くらいするんだよね。
okadada え! そんな高いの、あれ。
shakke そう。セグウェイのやつがいちばんカッコいいんだけど。
okadada ほんまや! 高っ! そしたらもうほぼ原付みたいなもんじゃないっすか。あ、BMWのやつだったら3万くらいっすよ。
shakke BMWはイヤじゃない?
okadada いやいや、BMWで来てや。“オレ、BMW買ったんだ”って。
shakke ハッハハハハ! いたわ、そういうヤツ! “ジャガー買ったから”つってジャガーのチャリ乗ってるヤツ。
okadada うわ、おもしろくなーい! 1周回ってもおもしろくないっすね。スタートんとこでおもしろくないっすもん。
shakke これはタイミングとか以前の話だから……。さっきの松本人志の話で
いったら、“BMW買ったんだよぉ”で電動キックボードで登場、っていうのがおもしろいタイミングあんのかな?
okadada 至難の技ですね、マジで。上級者中の上級者じゃないですか、そこで笑いを取れるひとは。そういう話でいえば、一昨年ぐらいにトマドとしゃべってて、いまいちばんかけるのむずかしい曲はPSYの“GANGNAM STYLE”やなって話になりました。
shakke それ2~3年前? いまだったら当時よりはいけるかな?
okadada いや、まだ腐ってる。普通に腐ってる。
shakke ハハハ。お腹壊すやつだ。ちゃんと発酵させないといけない。
okadada 腐敗と発酵っておなじ意味らしいですからね。おなじ反応でも人体に有害なのを腐敗っていうらしいですから。で、人体に有益なものが発酵と呼ばれるっていう。だから、発酵させていかなきゃいけない。“GANGNAM STYLE”をぬかに漬けてね。ガンナムのぬか漬けですよ。
shakke ほんとですねぇ……。


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