チャッターアイランド vol.17

『チャッターアイランド』はDJ/プロデューサーのokadadaとDJ/ライターのshakkeがしゃべったことを記録する、という趣旨のテキスト/音声コンテンツです。毎月1回の配信を予定してます。今回はウェブメディアFNMNL編集長のWardaaこと和田哲郎氏をお迎えしてお送りします。


2021年の和田さん

shakke 近況とかなんかありますか?
okadada ありましたか、変わったこととか。
Wardaa 走ってんすよ、最近。
okadada・shakke おおぉ!
okadada 去年に引き続き、セルフケア。どれくらいですか、走りだしてから。
shakke “走りだしてから”……。
okadada フフフ……ハハハハハハ!
Wardaa フフフ……。ちょっと体重が増えちゃって。さすがにやばいなと思って今年の8月ぐらいから走りはじめて。
okadada 3〜4ヶ月ぐらいっすね。
Wardaa だいたい週2ぐらいで、夜か朝に走って。
shakke どっからどこまで走んの?
Wardaa 家の近くに目黒川が流れてるんで、目黒川沿いを中目黒のほうに向かって走ってて。
shakke どのくらいの時間走ってるの?
Wardaa 20分ぐらいなんだけど、それで3.5kmぐらい。
okadada ちょうどいいぐらいっすね。
Wardaa 最初は本当に全然走れないの。でも徐々にできてくるっていうか。あと、走る時間が音楽聴く時間になってるっすね。
shakke 走ると聴く音楽の感じが変わるみたいなこともよく言われるけど。どう? 変わった?
Wardaa 変わってはないけど、特定の曲ばっか聴くようになっちゃったところはある。
shakke へぇ。
Wardaa ルーティンになっちゃってるっていうか。
okadada 走るモードになる、みたいなことはやっぱありますからね。
shakke なにを聴いてるんですか?
Wardaa (LEXの)“なんでも言っちゃって”だね。
shakke わあぁ!
okadada 朝の目黒川を“なんでも言っちゃって”を聴きながら。
shakke ハハハ。あれはBPM110くらい?
Wardaa BPM110がいいんですよ。
shakke ハウスだと早すぎるのかな。
Wardaa ハウスとかテクノもたまに聴きながら走るんだけど、もう最初だけになるね。ペースがきつい。
shakke なるほどね。
Wardaa とはいえ、レゲトンかけながら走るのもねぇ。
okadada ハハハハ。バウンスしてますからね、レゲトンは。
shakke 4つ打ちだとどうなのかな?
Wardaa でもニューディスコとかはよかったかもね。
okadada アフロビーツのEDMっぽいやつ……(The Chainsmokersの)“Closer”みたいな、あのパターンがちょうどいいかもしれないっすね。
shakke しかもダンスホールレゲエとかのつんのめったビートの感じではちょっと走れないかもね。
okadada 裏打ちだと走りにくいと思うんすよ。ストレートな4つ打ちがいいんでしょうね。で、どうですか? 走ってみて体の調子は。
Wardaa めっちゃ健康になった気がする。
shakke 1年ごとに和田さんがアップデートしてる……。
okadada フフフ……どんどんキレイになって……。
shakke 体力もつけていって。だから和田さんの定期観測として年1回くらいは出演してもらわないとだね。
okadada でも絶対いいですよ、走るのは。
shakke とはいえむずかしいねぇ。散歩は好きだけど、散歩から走っていく方向に自分が向かうかなって考えたけど、ちょっと考えづらいなぁと思って。
Wardaa それはなんで?
shakke ん? 疲れるから。
okadada ハハハ。自分もわりと散歩派なんでね。
shakke 普段、音楽とかポッドキャストを聴きながら散歩するけど、走ると聴く幅が狭まるんじゃないかなっていう。
Wardaa 運動のほうが優先されちゃうんじゃないかなと。
shakke そう。
okadada どっちもやればいいやん。
shakke 走ったり歩いたり?
okadada それで“なんかこれ、走ってるほうがいいな”みたいなときは走ったらいいやん。
shakke でも走ったら散歩しなくなるんじゃない? わかんないけど。もったいねぇなって気持ちになんない?
Wardaa 散歩するなら走ったほうが得、みたいなこと?
shakke そうそう。走るマインドになったらそうなっちゃいそう。だって走ってるひとで歩いてるひと、いなくない?
Wardaa ん……? フフフフフ……。
okadada いるでしょ。ここまでは走って、帰りはゆっくり歩いて戻るみたいな。
shakke あぁ、そっかそっか。
okadada クールダウンも兼ねて歩いて家まで帰るってひとはけっこういるんじゃないですか。
shakke ちょっと、でもなぁ……。
okadada いや、べつに走んなくてもいいんすよ。
shakke でもこれまでも和田さんの影響はけっこう受けてるんだよね。だって前回出てもらったときにセルフケアの話を和田さんがしてたけど、あのあと自分も化粧水買ったもんね。だから来年のいまごろは“いやぁ、オレも最近走ってて”みたいな話をしたいですよ。
okadada で、和田さんは走ることで痩せたりしました?
Wardaa ちょっと痩せたんじゃないかなって思ってるんだけど。
okadada タイムリーなことに自分も減量を今年後半はやってまして。
Wardaa それはなにをやってたの?
okadada 主に食事制限ですね。散歩もだいぶしましたけど。
shakke オカダさんは定期的にそういうモードになるって言ってたよね。
okadada そうっすね。3年ぐらい前にも1回あって。で、コロナ禍になって、特に2021年前半がだらけてたっていうか、いま考えれば落ち込んでたんやなって。やる気なくて家でずっとゲームしてたり、食事もUberばっかりとかしてたら、なんかしんどくなってきて。起きたときにつらいなっていう。それがイヤで。楽しく暮らしたいのに! で、食事に気をつけるようになって。
shakke けっこう気にしてたもんね。
okadada 6月1日からはじめて9kg痩せました。
Wardaa おお、9kgはすごいね!
okadada 食事でした、やっぱり。運動もちょっとしてたけど、ほとんど食事でしたね。
shakke 戻る時期もあるんだろうけどね。
okadada あると思いますよ。そのうち徐々に戻ってくると思うんで、そしたらまたここまで戻す、みたいな。楽しいんすよ、やってるときは。むりやりやるとイヤになるんで。結局だらけてた自分に飽きてただけなんで、そういうことはじめてる感じは楽しいんすよねぇ。
shakke いまも継続してる?
okadada うん、ある程度は。いまは維持モードっすね。これ以上いくと痩せすぎにどんどんなっていくんで。それを別にしたいわけじゃない。ただダメっすね、やっぱ。ハイになっちゃうんすよ。
shakke ダイエットハイみたいな?
okadada そうそう。“もっと痩せられるんちゃうか?”みたいな。でもこれ以上は明らかに健康を害す方向にいっちゃう。だからここからは筋肉をもうちょっといい感じにつくようにして、健康にお酒を飲んだり、クラブで遊びたいって感じ。
Wardaa そっかぁ……。
okadada 去年に引き続き、健康の話っすねぇ。


記録大幅更新!

Wardaa 登山に関する本を最近読んで。
okadada 登山に興味があって?
Wardaa 興味があるっていうか、登山家やべぇなっていう。
okadada あぁ、『孤高の人』とかあるっすよね。
shakke あ、マンガにもなってたやつだ。
okadada ヤングジャンプでやってたマンガは小説の『孤高の人』を種本にして現代に翻訳してるってやつっすね。それは読みました。
shakke オレもマンガは読んだ。でもヤバいね。和田さんが山に興味を持つとは。
Wardaa 自分ではやらないんだけどね。
okadada わかりますよ。格闘家の伝記を読むのに近い。
Wardaa そうそう。なんでこんなこと淡々とやってるのって気持ちになる。
okadada 『孤高の人』、マンガを読んでから原作の小説読むと実在してるんやっていうね。“なに、このひと?”っていう。なにがそんなに必要やったんとは思いますよね。
Wardaa こないださ、NETFLIXのドキュメンタリー(『ニルマル・プルジャ:不可能を可能にした登山家』)で観たんだけど、ネパールの登山家が今年とんでもない大記録を打ち立てて。8000m峰ってアジアにしかないんだけど……パキスタンとか中国とか、全部で14山あるんだけど、それを7ヶ月で全部登り切るっていう。
shakke それはすごいんだ?
Wardaa これまでの最短記録が7年なんだよ。
shakke うわっ、すげえ!
okadada ハハハハハハ! 急に縮めたな!
shakke すごすぎん、それは。そんなことあんだぁ。
Wardaa これまで自分が読んでた本とかがさ……いや、そのひとたちももちろんすごいんだけど、圧倒的すぎて。
okadada たしかに。人間ってどこまでいけるんだろうと思うっすよね。昔の体操競技とか1回転とか2回転とかでワーッってなってるんですよ。それがいまでは3回転半ひねりとかになってるわけじゃないですか。なんでもかんでもできるようになるもんなんかなぁ?
Wardaa DNAなのかな?
okadada カンフー映画があるじゃないっすか。60年代のカンフー映画ってすばやく見せるために早送りしてたりするんですよ。でも、それを観て育ってる子はそれがリアルで行われてると思って、次の世代では等速でできるようになっちゃったという。
shakke でもモノマネとかでもさ、タモリのモノマネをするひとなんかいなかったけど、コージー冨田が出てくることによってみんなできるようになったってこともあるじゃん。
okadada ハハハ! それはちがうんじゃない?
shakke いや、でもあると思うな。コツというか“できるんだ!”って思えることで続けていけば。
okadada でもその7年を7ヶ月っていうのは次元がちがうっすね。
shakke 装備の近代化とかもあるのかな?
Wardaa 装備もあると思うけど、ルールをどこに設定するかっていう……どこから登りはじめるかとか、そういうこともあると思うんだけど。でも7年っていう記録も90年代に立てられた記録だからそんなに技術革新があったってことでもないと思うんだよね。
shakke すげえな……。
Wardaa だって8000m峰に登った翌々日とかにまた8000m峰に登ってんのよ。
shakke それはやっぱ人間の体力的には相当にハードなんだよね?
Wardaa いや、めっちゃハードでしょ。デスゾーンに行って下山して、1日休んでまた登るとかだからね。
shakke ハハハ!
Wardaa しかも普通の登山家が4〜5日かけて登るところを、スケジュールの関係で1日で登るとかもあって……
shakke ハハハハハハ!
okadada “巻いて巻いて!”じゃないんですよ!
Wardaa その巻きかたはすごいよねぇ。
okadada 更新されていくもんなんすねぇ、なんでも。ちょうど今回の収録用のマイクをパーゴル(PARKGOLF)に借りに行ってしゃべってたんですけど。そのときに将棋の……
Wardaa 藤井聡太くん?
okadada そうそう。すごいじゃないすか、もう。だれも無理だと思ってたことをいともたやすく……。で、あのひとって小学生から将棋をはじめてガンガン頭角を現していくわけですけど。そこから奨励会に入って師匠につくときに、師匠は“とんでもない天才が来るらしい”っ聞いてて、頭んなかではもう普通の車じゃないF1カーみたいなヤツが来るみたいな想像をしてたらしいんですけど、実際はジェット機が来たって言ってて。
shakke ハハハハハハ。車ですらなかったという。
okadada 師匠は棋士のレベルを車でしか想定してなかったっていうね。
Wardaa すごいねぇ。
shakke でも思うのは、天才は突然変異的に生まれるけど、その天才性が分析されて明文化さえされれば追いつけるかもしれないっていう。
okadada 音楽とか芸術はあんまりそんなことないですよね。そもそもそういう基準で進んでないから。山登りとかスポーツは明確なルールとか記録があるからできるけど。ただ実際はね、音楽も時代が進むにつれてすごくなってるような気もするんですけどね。基本的に録音芸術ですからね、現代は。
shakke 録音芸術としての精度は上がってるよねぇ。
okadada でもどこまでかいったらどっかで止まるんですかねぇ。クラシック音楽とかはもうやり尽くされてるって言われてるじゃないですか。学理的なものはある程度やり尽くされてると。
shakke 逆にローファイにしていくって方向性もあるけどね。
okadada ハイファイは限界なんすかね?
shakke そこは突き詰めすぎるとポップミュージックじゃなくなるっていうか、理解できるひとが少なくなるっていうことじゃない、やっぱ。
okadada そう思うと進んでんのかどうかなんてわかんないっすよね。ただ変わってるってことだけで。


フル音声は以下から

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?