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瀬渡しのココロエ 六箇条


一般の人間が一生立ち入る事の無いであろう
一部の釣りバカ(誉め言葉)だけが到達する場所
絶海の独立礁であったり、断崖絶壁の裾野にある
 【  磯  】である。
時間によっては激流の川を思わせる程の急流が現れては消え、縦横無尽に流れる潮に翻弄されつつも、上物師、底物師、ルアーマンは、そこでしか出逢えない魚に会いに行く。純粋に釣りを楽しめる場所、非日常の最たるものがそこにある。

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歩いて行けない地磯や沖磯に渡るには渡船で乗り込むしか術が無い。
そこで今回は渡船を利用する時の簡単な心得や知識を紹介しようと思います。

この記事は九州の北・西部の渡船屋さんの私の経験をもとに作成されております。地域や磯によって、それぞれルールや暗黙の了解的な取り決めがあったりします。環境保全の為にも、先輩が居ればそこから知識を得るか、ショップや記事など、アンテナをしっかりと貼って情報を得る事が重要です。


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◼️其の壱 時間厳守!!
出航時間については、決められた待機場所(船の付く場所)に最低でも30分前には船に乗り込める状態である事。人間がそろって居ればさっさと出航しますので、忘れ物のチェックなど出来る余裕を持ちましょう。

磯揚がり(磯を後にする事)の場合は、船長に告げられた時間前、最低でも40分前には片付けを終えて船に乗り込める状態で待機しましょう。迎えの時間は人間を拾う順番で前後するので時間前にお迎えに来るケースも多々あります。
*船長のアナウンスは、ほぼほぼ聞き取れませんので注意して聞く様に(笑)

※回収にかかる時間
5組の比較的近い場所の回収にかかる時間は
早く見積もっても      5組x10分=50分
回収の順番はその時々で変わりますので、最低でもこの位の時間の余裕が必要と言う事です。
※時間を守らないといけない理由
出航時間に一人遅れるから待ってくれとの電話が船宿に入り、まさかの出航を待たされた事がありました。片道数時間かかる磯であれば判からなくも無いが、磯は早いモノ勝ちの地域があります。他の船に良い磯を先を越される事になり同船者に迷惑をかけます。



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◼️其の弐 安全第一
磯上がり(磯に乗り込む事)の際は、急かさない事
船首を磯に押し付けて、その間に磯にあがるのだが、この時に荷物の落下など事故が多い。焦らず慎重に手早く行いましょう。

磯上がりの際に、熟練者の先輩と初心者であろう若手の組で、自分の荷物の確認が不十分で焦っている若手を厳しい口調で急かされていました。うねりの強い日だったので、船が不安定な状態の時に、焦って若手が飛び降りる形で渡礁されてました。怪我は無かったこですが、案の定 忘れ物がありました。
世の先輩方へ、慣れない後輩への配慮をお願いします。
(私の師匠も若干厳し目でした🥶)



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◼️其の参 私の道具だアピールを
荷物に目立つように名前を書きましょう。まだ世も明けない時間の暗がりの中で荷物を受け渡す為、取り間違いが発生し易い。全てのケースに目立つ形で名前の記載してください。直接書くのが嫌な場合は、ガムテープなどに書いて貼る事をお勧めします。
また、瀬上がりする際に、自分達の道具を船首側に固めておくのですが、その作業は自分達でやりましょう。他の組の手伝いは混乱するので不要です。

とても安価で小さなクーラーボックスを持って行った事があり、かぶる人は居ないだろうと、たかをっくっていたが、見事にダブリました。
お互いに名前を明記していなかったので、入れ替わったまま磯に上がってしまい、船長に迷惑をかけてしまいました。
ターポリンのリュックを置いていたのですが、先に瀬上がりする人に持って行かれそうになりました。持ち去られる前に気付いたので良かったのですが。
*その組にリュックを持ってる人は居なかったのに…
瀬上がりの際は、持ち込んだ道具のを覚えておきます。磯に上がった道具の数を指差し確認すれば、船に置き忘れは発生しません。



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◼️其の四 ロッドケース(主にルアーマン)
ルアータックル 3セットを束ねて裸で持参してくる人を何度か見かけました。船中でずっと抱えるという事になるので、他人の荷物の上げ下ろしは放棄している形になります(強制ではありませんが、誰かが手伝わないと渡船自体が成り立ちません)。ポーターの居る渡船であれば別ですが、そういった船はかなり遠出するはずなので、ロッドを破損しても良いのならば不要です。
背変わりの際は、流石に面倒なので露出した状態でも良いと思います。問題が無ければ、船の竿立てを利用しましょう。
※渡船によってロッドケース不要な船もありました。

大手メーカーのテレビ番組では、片手にタックルを持って、さっそうと磯に上がる映像を目にします。このプロの方々は、魚を釣る為だけに磯にあがるので、タックル➕バッカン1個だけで済みます。勘違いしてはいけません。(放送する側も考えて欲しいなぁ)



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◼️其の伍 ウェアとドリンク
晩秋、気温がどっちつかずで、ウェアを冬物にするか悩む時があります。迷わず冬物かインナーウェアを持って行く事をお勧めします。凍えた場合かなりキツイ思いをする事になります。

夏は全国的に酷暑となっております。磯は日影がほぼありません。ドリンクは多めで凍らせたモノを何本か持ち込む事をお勧めします。後は熱中症に気を付けて疲れたら休息を取りましょう。

暑さ寒さ対策をすれば、当然、荷物が多くなってしまいますが。磯での釣りは体力を消耗しますし、自然に直で晒される厳しい場所です。少しでも快適な状態を保てるように準備は厳に!


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◼️其の六 荷物は重量を分散させる
船から磯に乗り降りする際が、一番危険を伴います。特にウネリの強い日などは、少しですが磯に飛び乗らないといけないケースさえあります。例えば50ℓを超えるような大型クーラーは磯に持ち込まず、船に乗せっぱなしにし、中型までのクーラーを磯に持ち込む方が安全です。同時に四人で荷物を持つような事は不可能ですので、一つの荷物を重くし過ぎない様に分散させましましょう。

60ℓクーラーに氷をかなり入れた状態で持ち込んだ知人が居ました、私もまだ不慣れな時代でしたので、ベテランさんに注意された事があります。



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■あとがき
最初に沖磯を聖地のように述べましたが、その磯もゴミやモノを焼いた後や血抜きした後を流さずに異臭がしたりと、自然のど真ん中に身を置いた筈なのに、拍子抜けした経験が幾度となくあります。ゴミは持ち帰るか、船か港で捨てられます。私自身もまだ行き届かないところもあると思いますが、気持ち良く釣りを楽しめるように環境の保全をお願い致します。

※浮力体入りのライフジャケットとスパイクシューズは言うまでもなく必須です。



それではまた。


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