見出し画像

先発投手推しのすゝめ ―完投負け現地観戦記録―

 2022年シーズンも終盤。近頃、毎日のようにプロ野球のニュースでトップを飾るのは、某スラッガーの話題。ホームランにはやはり夢がありますし、プロ野球の華はどちらかというと打者かもしれません。が、たった一球でヒーローになる彼らの裏で、たった一球でそれまでの何十球をふいにしてしまう投手という生き物がいまして。

 その投手の方にどうしても惹かれてしまうタイプのプロ野球ファンがウンウン共感できればいいなと思ってこの記事を書きました。筆者ももれなく投手贔屓ですので。でも、投手に注目して試合を観たことはあんまりないよ!って方にもぜひ読んでもらいたい、現地観戦レポを交えた先発投手賛歌です!いつも見てくださっている方もはじめましての方も、楽しんでくださればなと思います。

 発端は8月26日でした。この日楽天戦に登板した佐々木朗希投手は7回を投げ、無失点。この日の投球を見て、もう居ても立ってもいられず、次の週のチケットを購入しました。3塁側のサブマリンシート。2列目。めちゃくちゃいい席です(詳しくは後述)。カメラマンができます。
 と、いつものビジターの癖で3塁側を取ってしまったんですが、今回はホームでの登板。ピッチング中の右腕は3塁側から撮るのが好きだけど、ベンチ前のキャッチボールとか、もしあればヒーローインタビューとか……そういうものも撮りたいな〜と悩みに悩んで、結局買ってしまいました。1塁側のフィールドウイングシート。本当に馬鹿だと思いますが、後悔はしていません。だって、好きな投手が投げたから!

 そんなわけで、来たる9月2日。愚かな二刀流で千葉遠征となりました。ZOZOマリンスタジアムにて佐々木朗希投手の登板を観戦。その記憶を振り返りつつ、先発推しはいいぞと随所でセールスしていきますので、どうぞ最後までお付き合い下さい。

先発投手推しの醍醐味①
  試合前のワクワク

 これは以前にもツイートして一定の反響を頂いたことがある内容なのですが、好きな投手が先発する前の日からワクワクが止まらない。先述のチケット2枚取りの奇行もきっとこのワクワクのせいです。踊りの才能があったら創作ダンスを作り上げてしまいそうなくらいにソッワソワのワックワク。例えるなら遠足の前の日みたいな。

 もちろん、調子が悪い時期には「また打たれたらどうしよう」とか、「炎上したらどうしよう」とか、そんなことも考えるのですが、それでも早く明日が来て欲しい!と思えちゃう。なんなら早寝しちゃう。大人になってもこの気持ちが味わえるのって、本当に幸せなことだと思うんですよね。

 今回の遠征でも、筆者は前日当日ともにウキウキでした。好投して欲しい!勝って欲しい!オスナ(※ロッテにやってきたメジャー実績ありの最強クローザー)に繋いで欲しい!でも完投する姿も見たい!と。まさかあんな試合展開になるとは、露知らず(笑)。

筆者の愚行の記録
上段が1塁側FW,下段が3塁側サブマリン
どちらもいい席でした
対象メニュー+300円で挑戦できる
シークレット「推し缶バッジ」
全75種で選手ごとに3パターンのデザイン
つまり1/25を引き当てたみたいです

先発投手推しの醍醐味②
  その試合を担う存在感の大きさ

 先発、と野球ファンが話すときは専ら先発投手のことを指しますよね。「先発」――正確には、団体スポーツにおいて試合の最初から出場すること。スターティングメンバーの「スターティング」。ですが、そのスターティングメンバーの中で唯一、前日に予告されるのが先発投手です。ゆえに「先発」と言えば多くは先発投手のことを指し、この選手が先発するからと球場を訪れるファンもいる。9月2日の筆者もその一人でした。

 ホームでの登板。スターティングメンバーの最後に紹介されて、その試合の最初に登場曲が流れる。まっさらなマウンドに駆けていく姿。もう高揚感がハンパない。
 と、浸っていたらいきなり初回、2者連続の初球セーフティーにヒヤヒヤ。なんとか処理。そのあと3番吉田正尚を三球三振。なんと5球でスリーアウトチェンジ。息をつく間がありませんでした。

3塁側サブマリンからの佐々木朗希投手
圧倒的存在感

 その後、二、三、四回と走者を許さず。そして、ピリピリとした緊張感が漂い始めます。2回目があるのか――と。筆者の完全試合関連のツイートにもこのときポツポツ反応があり、リアルタイムで期待を感じていました。
 しかし、五回。先頭に掠ったデッドボールを与えてしまい、その走者が結局は決勝点に。当たり前ですが、そう簡単にパーフェクトとはいきません。
 とはいえ最小失点に抑えた佐々木朗希投手は、球数少なく六、七、八回と投げ、試合を作ります。気がつけば終盤になり、投球に夢中になっていた筆者はもう攻撃があと二回しかないことに愕然としました。(いや、だって……あまりにも濃密な投球から、あまりにも淡白な攻撃……まぁ、それはおいておくとして。)

 「ゲームメイク能力」という言葉がありますが、改めて、先発投手の投球が試合の雰囲気に大きく関わっているのを実感しました。結果は完投負け。ですが、この試合の締まった雰囲気を作り上げた推しを目の前で見て、めちゃくちゃ感動しました。好きな選手を贔屓目に見てしまっている可能性もありますが、試合の雰囲気を支配する、その人の試合にしてしまうという意味で、先発投手の応援って、本当に楽しいんです。
 たまには、悔しい意味で試合の責任を負うこともあるけれど。

先発投手推しの醍醐味③
  勝っても負けても夢中になれる

 突然ですが、勝っても負けても虎命!とか、そんなわけないやろと思います。虎だけじゃなく獅子とか、兎とかが当てはまるのかな? いずれにしろ、負けた日はそんなに熱くなれないしさっさと他のやることをしちゃおうよ、と。そんなゆるいスタンスの野球ファンですが、一週間に数回は、真剣に画面の前に居座って野球を観ます。好きな投手が投げるから。

 勝ち、負けはチーム全体の話のはずが、毎試合の責任投手には勝敗が記録されます。投手の成績で真っ先に挙げられるのが防御率。先発ならその次あたりに勝敗がポピュラーな指標として話題に上がるのでしょうか。
 けれども先発投手ファンには、ぶっちゃけ勝敗ってあんまり関係ない!勝っても悔しい試合もあれば、負けても悔いはない!って試合もあるんです。だって、変な指標だからね。

 負けたけど、この場面が観られたから悔いはない!というのが、筆者の観戦した試合では9回の表でした。
 先頭打者に安打を許し、犠打を含め2アウトを奪うも吉田正尚をベンチが申告敬遠。頓宮を相手にここでねじ伏せると、ギアを1段上げて161km/hを計測。球場全体が一人の投手に魅せられる貴重な体験でした。

 こういう瞬間を見られると、試合には負けても、やっぱりこの人はすごいな!と感服してしまう。プロ野球の勝った負けたが主軸の世界において、勝ち負けとは別のところで味わえるものがある。先発推しはいいぞ!

心震えた9回表の投球
94球目に161km/h
9回表、ピンチを脱し完投
控えめなガッツポーズと、背景にはお客さんの拍手が

先発投手推しはいいぞ

 ということで、無理やり先発投手推しの布教と遠征の話を詰め込んだnoteでした。書いてる方は楽しかったので、読んでくださる方も楽しめてたらいいな。
 繰り返しですが、先発投手の応援って、ほんと楽しい!んです! スポナビの試合カレンダーを読み込んで、二軍の登板状況も確認しつつのローテーションの予測なんてめちゃくちゃ大変だし、援護が貰えないと辛い!それでも、好きな投手の魂の一球だとか、ピンチでの奪三振だとか。最高の瞬間のカタルシスがハンパない。

 一週間に一回。先発投手に集中して野球を観る。そんな応援スタイルはどうですか。好きな投手はいるけど応援の気の持ちようが分からない方の参考に、野手が好きな方にはこんな応援の仕方があるなんて未知の世界を覗く体験になっていれば幸いです。
 ハイカロリーハイリターンの先発投手推しはいいぞ!と、沼の底から失礼いたしました。おいでよ!みんな!

ほら、先発投手推しはいいぞ🫰って、マーくんも言ってる

(了)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?