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アートと測量が描く、この町の新しいかたち/伊勢町睦会×吾妻中央高校×西岳拡貴「バックプロジェクト」

群馬県中之条町・旧廣盛酒造において11/19~12/11「拝啓、うつり住みまして」と題された中之条町移住作家等によるグループアート展が開催される。その参加アーティストの1人である西岳拡貴が今年、中之条町の商店会と高校とを繋げるかたちで「バックプロジェクト」を展開している。

11/19~12/11間の各土日限定で、旧廣盛酒造から徒歩15分ほどの旧もりやまにて「バックプロジェクト」の途中経過展示会を行う。僕はその広告デザインと記録映像を担当しており、このプロジェクトの最終成果は来年の「中之条ビエンナーレ2023」にて展示予定でもある。

伊勢町睦(むつみ)会は、昭和中期に発足した商店主有志による商店会。飲食店のほかに、小売店、理美容店、銀行、葬儀場など30店が加盟し、夏祭りでの出店や防犯のための街路灯をつける取り組みなどを行ってきた。

吾妻中央高校は、2018年に中之条高校と吾妻高校の合併により設立された。普通科、生物生産科、環境工学科、福祉科の4つの学科からなり、今回のプロジェクトでは測量を主な活動内容とする「環境工学研究部」の学生たちが西岳との協働を行ってきた。

地方の商店会と高校。伊勢町睦会加盟店は、吾妻中央高校の学生の駅までの往路の途中にあるものが多く、店の前を通り過ぎる(あるいは、一部飲食店に学生が食べに入る)という接点こそあれ、何か一緒に事を起こすということは初の試みとなる。

学生×商店の考えられる他所の過去例としては「学生たちが商店のポスターを作る」「学生が考えたものを商店で売る」などもあるとは思うが、今回のプロジェクトは『学生たちが伊勢町睦会の地域を測量することにより、そこから生まれるかたちを最終的には、ものを運ぶためのバックにする』という例を見ないものである。その一見すると突飛な発想・過程を、今までも自分一人で完結しない彫刻作品を作ってきたアーティスト・西岳拡貴が支えている。

今回の「バックプロジェクト」展示会で流す映像は、アーティストと学生との出会い、学生と商店会との出会い直し、学生による町内での測量の様子を組み込んだ。専用の機器により学生たちは場所場所の緯度経度標高の座標を計測していく。それはどう見ても「商店会の活性化」とは無関係な行為に見える。けれどそれがどう変化しどんな意味・価値を生み出すのかが、このプロジェクトの肝となる。

昨日の準備でも、学生たちは率先して会場づくりを手伝い、経過を見にきた商店主の顔は明るかった。アートが、測量が、この町に何を残せるのか、その過程に注目していただいたい。

「伊勢町睦会 吾妻中高高校 バックプロジェクト展示会」
2022.11.19~12.11の各土日 10:00~16:00 入場無料
会場:旧もりやま(中之条町伊勢町843)
※お車は、林昌寺南側駐車場や中之条町役場をご利用ください

西岳拡貴オフィシャルサイト

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