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一人の人間の身体をゼロ地点と考えた時、広大な工場跡地までの「距離」はどのくらいあるのだろうか?

アーツ前橋がキム・ジェミニさんと日韓両国で行なった【ファクトリー・ラン・プロジェクト】の日本パートでの撮影・編集を担当しました。これは2019年に前橋で滞在制作を行ったアーティストのキム・ジェミニさんによる「工場跡地を走り抜ける」アートワークの最新作で、キムさんはキムさんで韓国にて映像を制作。日本では、来日できないキムさんに代わりアーツ前橋スタッフが中心となりカメラ担当・作曲担当・地域リサーチ担当・デザイン担当・そしてランナー担当とでチームを組んで映像制作を行いました。特設サイトもありますが、紙面として作り込まれたものもアーツ前橋にて配布されます。


撮影に入る前に参考としてジェミニさんが制作した【ファクトリー・ラン・プロジェクト】の映像を見た時の印象は「かっこいい」(下記リンク参照)・・だけではなく、実際ランナーとして走る彼の息遣いと、一時代を築き半ば廃墟と化している工場跡地の大きさが印象的で、僕個人の感想としては「駆け抜けること」と「労働・時の流れ」とがリンクした作品だとも思いました。おいおい・・・それを前橋でどう展開するか・・・できるのか・・

僕がスタッフとして加わる前から福西敏宏さんや村上雅紀さんらが前橋をリサーチ。利根川の向こうには中島飛行機の工場があったとか、現在パチンコ屋になっているあの場所は鉄工場だったとか、多分前橋在住の方でも知らないんじゃないかという工場跡地の数々がランニングコースとして想定されました(工場跡地の荒廃が見られる韓国とは違い、前橋ではその広い土地を生かしてスーパーや商業ビルになっているのが印象的でした)。


それからは、小野田藍さんやアーツスタッフが身をはって走る、走る、走る。その映像を撮影し、福西みゆきさんが現場音もサンプリングしたBGMを制作し、それを合わせて【ファクトリー・ラン・プロジェクト】の日本パートの映像が完成しました。そして韓国・日本の両映像で走った道は、ランニングコースとして岩村歩夢くんデザインのもとマップ化。それを手にすればあなたも実際に「前橋の工場跡地を巡るランニング」ができます!(行ける状況になったらそれを持って韓国も走ろう!)。


人と工場、歴史、土地、そして体験。それらをひとつに括れるのはアートならでは。ぜひとも動画を見て、そして実際走っていただきたいです!(僕は撮影で巡っただけでお腹いっぱいなので走るのは遠慮しておきます!)


特設サイト
http://invisiblefactories.com/

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