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ICFコア・コンピテンシー3:合意の確立と維持【英語動画まとめ】

こんにちは。英語資料翻訳シリーズ第4弾です。
国内で活躍するコーチ、コーチングをビジネスや生活に生かしたい方に向けて、英語の資料(論文、ブックレビュー、インタビュー、ウェビナーなど)を翻訳 / 要約し、日本語で掲載していきます。

今回も、ICFコア・コンピテンシーの解説動画の翻訳 / 要約をしていきます。今回は、3つ目のコア・コンピテンシー「合意の確立と維持」です。

全8回の解説動画は、こちらから視聴できます。

ICFコア・コンピテンシーとは、ICFが定めたプロコーチの能力水準の記述のことで、公式サイトによると、以下のように説明されています。

ICFコア・コンピテンシーは、ICFによって定義された今日のコーチング専門職で使用されているスキルとアプローチについての理解を深めるために開発されました。これらのコンピテンシーとICFのコーチングの定義は、ICF資格認定試験を含む資格認定プロセスの基礎となるものです。(中略)
コア・コンピテンシーは、各グループのコンピテンシーを見る共通の方法に基づいて、論理的に組み合うものをグループ化して、4つのカテゴリーに分けられています。それぞれのグループや個々の能力水準は、すべてコーチとして満たすべき核となる不可欠の資質であり、どれも等しく重要で、優劣はありません。

https://icfjapan.com/competency

ICFの認定資格(ACC, PCC, MCC)を取得するためには、コア・コンピテンシーと倫理規定についての180分のテストを実施しないといけないほか、プロコーチとして活動する上で考え方の基盤となる、必要不可欠なものです。


目次


動画について

今回は同シリーズの三回目、ジュリアス・オードニアス氏(MCC)の解説による"Updated ICF Core Competency 3 : Establishes and Maintains Agreements 合意の確立と維持"です。

ICFによるコーチングの定義では、コーチングとは、コーチとクライアントのパートナー関係であることが説かれています。

コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことです。

対話を重ね、クライアントに柔軟な思考と行動を促し、ゴールに向けて支援するコーチとクライアントとのパートナーシップを意味します。

ICF JAPAN ホームページより

コンピテンシー3では、このコーチングの関係性をどのような実践を通して築いていくべきかが紐解かれています。動画では、コーチがクライアント、スポンサーなどの利害関係者とコーチングの関係を結ぶ契約時と、クライアントとのセッションでの実践について、良い例と悪い例が論じられています。

以下、インタビュアーの質問と、オードニアス氏の回答を要約してQA形式でまとめます。
逐語訳ではありませんので、全体をご覧になりたい方は、youtubeの自動生成翻訳で確認してみてください。


概要

Q:改訂前ICFコア・コンピテンシーとの関係は?

大きな違いは4つあります。
はじめに、改訂前はクライアント以外の利害関係者についての言及がありませんでしたが、今回の改訂では、スポンサーがつくコーチングの場合、人事担当者やCEOなどの利害関係者がコーチングの関係に含まれていることが示されています。
次に、改訂前はこの項目はコーチングの契約のみに関するものでしたが、今回の改訂で、コーチングの契約だけでなく、各セッションの成果についてクライアントと合意することについても言及されています。
3つ目の違いとして、共通認識(compatibility)への言及が挙げられます。共通認識とはコーチとクライアントの息の合い方(chemistry) を表し、コーチングの関係性の成功を分ける重要な要因の一つになっています。
最後に、達成したい成功の尺度への言及も特徴的です。コーチング全体、また、個々のセッションについて、何をもってクライアントにとって有意義な時間だったと言えるのかを明らかにしておくことが大切です。

良い実践

Q:メンターコーチの視点から、良い実践はどのように見えますか?

契約時
契約時にまず重要なのは、網羅すべき点を網羅しているかどうかです。次に、クライアントやスポンサーがコーチングで達成したいことを特定または再確認する話し合いを進められているかどうか。そして、クライアントやスポンサーにわかるように、自分の言葉でコーチングの説明ができているかどうか。ICFのコーチングの定義を引用するだけでは理解されない場合があるため、自分の言葉でコーチングを説明できることが大切です。最後に、これらの話し合いを、自然に流麗にできていること。チェックリストを進めるのではなく、のびのびと自由にできていることはこのプロセスの熟達の証明になります。

個々のセッション
個々のセッションでの対話では、コーチが、クライアントの真のテーマを明らかにし、セッションで達成したいことを特定または再確認する手助けができていれば、良い実践と言えるでしょう。私の経験から、セッションに期待する結果は対話の中で変わっていくことがありますが、コーチはクライアントの今ここにフォーカスすることで、それに気づく必要があります。セッションに没頭することによって、コーチは感覚の全てを研ぎ澄まして傾聴することができます。クライアントが口にすること、口にしないこと、思い込み、希望、信念、価値観までも傾聴していき、それらを扱うことで、クライアントに気づきが生まれます。これによって、クライアントは本当にセッションに求めていることに気づくことができるのです。

悪い例

Q:典型的な悪い例はどんなものでしょう?

契約時
網羅すべき部分を網羅しない、ICFの定義に基づいてコーチングの定義を読み上げるだけにとどまっている、クライアントやスポンサーの目標を明らかにしない、コーチ、クライアント、スポンサーという関係者の役割を明らかにしない、スポンサーに共有する内容としない内容を明らかにしない、などがよくある典型的な例です。

個々のセッション
セッションでのミスは、コーチがクライアントではなく進め方にフォーカスしてしまうことです。言い換えれば、セッションのプロセスを進めることに意識を取られてしまい、クライアントがセッションに何を求めているかを感じ取ったり聴いたりすることができず、クライアントの真の問題を明らかにすることができないことです。コーチがセッションの進め方に集中していると、クライアントがセッションに望むことが途中で変わったとしてもそれに気づくことができません。例えば「体重を減らしたい」というテーマで始まったセッションの中で、本当の問題は体重を減らすことへのコミットメントであることが浮き彫りになっても、最初に設定した体重の減らし方というテーマにコーチが固執してしまうことになります。

ACC, PCC, MCCにおける違い

Q:ICF資格の各レベルに求められているレベルはどのようなものですか?

ACCレベルでは、コーチの意識が多少進め方に偏りすぎてしまっても、契約時に網羅すべきことを網羅していれば、大きな問題にはならないでしょう。しかし、PCC, MCCレベルでは、深く会話に入り込み、クライアントがコーチングの関係性、個々のセッションに期待する真のテーマに気づけることが求められます。

まとめ+感想

私もICFのコーチング定義をそのまま引用して使っていた時期があったり、セッションの冒頭で決めたゴールのために、頭の中に話の流れを描いてしまってうまくいかない時期があったりと、とても耳の痛い内容でした…。個人的な経験では、コーチングの定義を自分の言葉で説明できる前に、まずICFの定義を腹落ちするプロセスも必要だったなあと思います。そして、コーチングはやっぱり思考よりも感覚でクライアントに向き合っていくものだと思うので、自分の中に描いた地図や理論に意識が向いてしまうとうまくいかないことが多いですね…。今ここのクライアントに好奇心を向け続ける。瞑想みたいにクライアントに感覚で集中し続ける。言葉でわかるだけじゃなくて、実践で体で覚える必要があると思います。日々積み重ねていきたいですね。

みなさんの感想もぜひ、コメントやツイートで教えてくださいね!

残り5つのコア・コンピテンシーについても定期的に要約していきますので、お楽しみに!

*あくまで個人的な活動のため、内容に関してお気づきの点、ご指摘などありましたら、お知らせください🙇‍♂️

💡ICF資格取得(ACC, PCCなど)のための翻訳サービスをやってます
https://ssttstt.notion.site/ICF-f58fb4f864894151a62aaf9ce51fe23d?pvs=4

💡ライフコーチングはこちら
https://www.notion.so/ssttstt/Taku-2ab9883440f843229818f16fa93a40dd

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