【読書メモ】「ついやってしまう」体験のつくりかた――人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ


要約

ゲーム会社出身の著者が、「ユーザーの心の動かし方」にフォーカスした本。「ゲームはどうやって心の動かしているのか?」という点を深掘り、具体的に書かれている。ゲーム中心だからといって、他のことに活かせないという訳ではなく、日常生活や仕事、幅広く活かせる内容となっている。

体験デザインとは

体験デザインのことを「心を動かす体験」として定義。単純に機能が良いものではなく、心を動かす商品がユーザーに求められるということを意味している。「UX」はユーザーの体験そのものを指すが、「体験デザイン」は「心を動かす」という意味で使われる。

体験という言葉には「体」という漢字が入っていますが、体は関係ありません。心さえ動けば、それは体験です。

「体験デザイン」の3つの手法

・直感のデザイン:仮説→試行→歓喜
・驚きのデザイン:誤解→試行→驚愕
・物語のデザイン:翻弄→成長→意思

直感のデザインは、体験デザインにおけるもっとも基本となる体験です。お仕着せの体験を自発的な体験へと変え、ユーザみずからが直感的に行動・学習することを助け、ひいては「ついやってしまう」体験をデザインするための手法です。人々に共通する脳や心の性質や記憶を利用し、シンプルで簡単な体験をデザインすることで、ユーザ全員に仮説を抱かせ、試行させ、仮説が正しかったことをユーザ自身に気づかせ歓喜させます。
一方で、直感の体験には問題もあります。連続するとユーザに疲れや飽きをもたらし、体験自体を止めさせてしまうのです。そこで、「つい夢中になってしまう」体験をデザインするために必要となるのが、驚きのデザインです。「こうなるはずだ」という前提への思い込みと「平穏な日常が続くはずだ」という日常への思い込みを利用し、ユーザの予想を覆すことで驚かせます。これらふたつの体験デザインを組み合わせることで、直感的かつ飽きることのない長時間の体験を構成できます。しかし、その体験に意義がなければ、ユーザの心は動きません。そこで必要となるのが物語のデザインです。状況を理解しようとするユーザを翻弄し、成長させ、みずからの意志を持つまで導く物語によって、体験に意義を与えます。

思ったこと

仕事柄、ユーザー体験・UXという言葉をよく使うが、サイト全体の体験という意味でよく使うことが多い。この本ではその先の「心を動かす」というところまで、踏み込んでいるので、根本の考え方が変わった気がする。
UXという言葉は、なんとなく頭でわかっていたものの、ユーザーに「どうなって欲しいのか?」という点まで自分の中で整理しきれていなかったので、「心を動かす」を一つの軸にしていければと思った。
「心を動かす」なんて当たり前じゃんと思うかもしれないが、意外にも見落としがちな根底の部分なので、とても重要な言葉だと思う。

自身の仕事に置き換えると、一番参考になった点は「直感のデザイン:仮説→試行→歓喜」の部分。
理由として、webではユーザーがサイトを訪れる目的は、課題の解決や目的を持って訪問することがメインとなっている。そのため、「ユーザーの課題をシンプルに解決できるか」という設計がとても大事。
IFやUserFlowなどで、直感のデザインを意識し、「ついやってしまう」ような設計にしていければと思った。
直感のデザインは「ユーザーが自身の力で直感的に理解するという体験そのもの」であるため、ユーザーに「感覚的」に理解してもらえるようなサイトを設計していく必要がある。
例えば、サイトを訪れた時に「あーなるほどね。このサイトはこの機能を提供していて、こんな感じに操作すればいいんだよな」というようにユーザーに直感的に感じてもらうようにすること。

まとめ

体験デザインとは「人の心を動かすこと

5.その他

気になった用語
アフォーダンス:あなたが何かを見たときに思い浮かぶ「○○するのかな?」という気持ちのこと

初頭効果:時間をかけて学んでいくとき、体験のはじめ頃に集中力や学習効率が高まる、というもの

はじめて使うユーザを優先しシンプルで簡単にせよ

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