でち読書2023/05/03

日中はだっこ紐をつけて歩きまわっていないといけないので、読書くらいしかできることがないのである。

・呪われた部分
贈与論を起点として、それぞれの人がどこに興味を抱いたのかによって分岐していくマップが作れるなと思って読んでいる。この本は「ポトラッチ」について、さらに深めている。

・わたしの外国語学習法
内容のピークは過ぎて、あとはウィットに富んだ言い回しを追うようにして消化していくという感じ。ハンガリー語もやりたいね

・負債論
知り合いが同著者の「価値論」を読んでいたことがきっかけで図書館から借りてきた。分厚い!けれど、読み口はあっさりしている。「父が娘に語る経済の話」とかを読んでおくと導入もスムーズ。「価値論」も図書館で取寄中だけど果たして読み終えることができるのだろうか(いや無理)

・日本史に学ぶマネーの論理
著者がシラス配信に出ていた回でも言っていたけれど、日本では一度貨幣経済が破綻しているという事実がとにかく面白い。そこからマネーとは何かを問うということで、この前Audibleで読んだ「貨幣論」で言われていた「無限の循環理論」も批判される様子が目次にあったので楽しみ

・ハイデガー入門
まずはヘーゲルとフッサールの批判者としてのハイデガー解説。バタイユ(デリダ)経由とは別ルートでヘーゲルに触れることができて嬉しい。ちょうど100分で名著でも「精神現象学」をやっているし、カント・ヘーゲル・デカルトの話ができるところまで早くいきたい気持ちがある。

何度も書いていることだけど、哲学人文に自分が求める快楽の一つはこの群像にある。批判の対象として論じられていくだけでなく、時に掘り起こされる歴史上の人々の、大抵は一方的なやり取りが飛び交う様子が楽しい。スパイダーマンの映画にデアデビルがゲスト出演してくる、みたいな楽しさはこういうことなのだろうか(マーベル未履修)

これから先、学究の徒にもなれそうにない自分が、こうした分野に触れることに、果たして意味があるのだろうか?と自問することもある。とはいえ、社会的な意味・価値のようなものを仮に想定することは、まあできるっちゃできるんだけど、そういう俗世的利益は今しばらく忘れておいた方がどうやら良さそうな気配もある。

「キリン解剖記」にもあった「無目的・無制限・無計画」を地で行くような、それでいてダラダラとしたくだらない学習は、娯楽でしかないのだとしても構わない。さらには「無収益」でもよいという態度を経由しないと、ブラックスワンは現れない(予想外のインパクトある展開はない)ということも経験的に知っている。

・GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代
贈与関連図書を漁っている身としては、ちょっと論が浅そうだななどと色眼鏡で見ていた本。自分の体験からも「与える人」すなわち「与えることができる人(相手に受け取ってもらえる人)」というのは、もうその時点で成功している人なので、「成功する人こそ成功する時代」というトートロジーでしかないんじゃないの?などと思う。どうせならバタイユの「蕩尽こそが経済の根源」くらい振り切れて欲しい。

さらには「思いがけず利他」で言われていたように、贈与が自律に優先する。つまり意思の力の及ばざるところでGIVEなるものは生じるのでなければ、損得を脱することはできないわけで、いや、でも、そのことについて言っている本なのかもしれない。

なんか読む本の順番を間違った気がしてきた。が、冒頭の監訳者の文章を読むと、そもそもがデータに基づいた行動経済学としての議論ということで、そうなってくると、浅いとか振り切れとかじゃなくて、単に一つの山を、まったく別の方角から登ろうとしている本と言えそうだ。それならむしろ、自分にしか読めない(自分にしか理解できない)読め方ができるのでは。

気に食わないのは、こうしたテーマが「(特にビジネスに)役に立つ!」と喧伝されること、そうしたビジネス書で扱われることなのか?しかし、どんな入り口にせよ、なんらかの知見が人に行き渡るならそれでいいし、「人」とかは正直あんまり気にせず、自分が自分なりに愉しむこと以上を何かに求めても仕方ない。

なんか今日は能書きが長くなるのでここで終了しておこう…


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