「楠栞桜さんへの疑惑に対する反証」に対する反証

昨日、tamonmaru氏により以下のような記事が投稿された。


数点気になる点があったが、コメントも閉鎖しているため、初見の方にも理解できるよう極力専門用語を省いて反証記事を書いてみようと思う。

序章「Carrier Grade NATについて」

tamonmaru氏も取り上げているが、以下の記事で非常にわかりやすく記載されているため、キャリアグレードNAT(以下CGN)について概要を把握したい方は確認していただきたい。
https://note.com/mikanactivese/n/n6871077c48d8

ただし、一点どうしてもツッコませていただきたい部分がある。
「いまでは、ほとんどのISPがこのキャリアグレードNATを採用しています。」
ここである。
※ISP...インターネットサービスプロバイダの略。

先に結論を述べるが、日本の家庭用固定回線のプロバイダにおいて、CGNが一般的に採用されているとは到底考えにくい。
理由として以下を挙げる。
・日本においては携帯電話事業向けの技術として導入された。
・世界人口に比較し、日本人口は増加していない。
・NAT超えをするためのアプリケーションの対応が間に合わない。

説明する。
日本においてCGNの導入検討が開始されたのは2010年前後である。
日本では電話回線やテレビ回線との抱合せ契約が功を奏したのか、固定回線の普及率は非常に高いものであった。
しかし、携帯端末が普及し始めたことによりモバイルキャリアが保持しているIPv4アドレス(以下IP)が枯渇し始めることになる。
それまでは一部の人が持っていた携帯電話を、来る時代では一人一台以上持つようになったためである。
固定回線は既に家庭ごとに普及しているため、急増するものではなかったが、モバイル市場におけるのIPの分配は急務であった。
そのため、モバイルキャリアではCGN対応によりIPを節約し、ISPはIPv6対応を進める方針となった。

CGNはその名にもある通り、NATという仕組みが含まれている。
詳しい説明は省くが、このNATという仕組みによって、端末の識別番号(プライベートIP)が外部からはわからなくなるといった特性を持つ。
その結果、既存のアプリケーションが動作しなくなることがある。
俗にNAT超えという問題であるが、主にゲームやファイル同期などの常時通信を行うサービスにおいて発生する。
仮にCGNをISPが採用した場合、家庭のNATとISP側のNATの多段NATという構成になり、アプリケーション側が問題を解決する事が非常に困難になる。
結果、そのISP配下では特定のアプリケーションが使用できない、という事態が発生してしまう。
身近なところで例を挙げると、スマホのテザリングやWiMAX回線に接続したスプラトゥーンがオンライン対戦できない、といった場合が該当する。
(可能な端末は存在する。当然であるが、ラグ環境でのオンライン対戦ゲームを推奨するものではない。)

また、上記記事においては触れられていないが、CGNを採用した環境下ではポートの使用に制限がかかる。
ポートとはデータの出入り口として、随時開放と閉鎖を行ってセキュリティを担保するものであるが、詳しい説明は割愛する。
CGNを採用すると使用できるポートに制限がかかり、アプリケーションに不具合が発生する場合があるということだけ知ってほしい。

固定回線配下のPCやアプリケーションはビジネスを始めとしコアな部分で広く利用されており、急にCGN対応しようとしても現実的ではない。
携帯電話やスマホ等のモバイル市場においては、ご存知の通り3G LTE 4G Volte 5Gと通信規格が頻繁に更新され、端末及び対応OS、アプリケーションの更新サイクルは非常に短い。
モバイルではCGN対応の敷居が低いが、固定回線では対応するための敷居が高い。
ISPがCGNを採用せず、モバイルキャリアがCGNを採用したのにはこういった理由がある。

IPv6の対応が進んでいる現在、既にIPを保有している大手ISPが新たにCGNを採用するとは考えにくい。
私が学んだ時点での知識では、「CGNを採用しているのは基本的にモバイルキャリアのみ、大手ISPはCGNを採用していない」である。
もし、状況が変わったのであれば、ソースをもってきて欲しい。調べた限りでは方針に変更は無いように思う。


「1.不自然な第一の書き込み」
「3.コラボ相手や配信予定を知らない」
「4.お絵かき配信ができない理由を知らない」
「5.ツイキャス継続使用の方針を知らない」
「6.突発性難聴後の書き込みの存在」
「8.出張中の書き込み」について

ここらへんに関しては、「件の犯人」及び「楠栞桜氏」いずれの発言も全て正確であると信じた上での考察に過ぎない。
疑われている人物の発言を鵜呑みにして反証とするのは根拠に乏しい。

「2.FPS配信中の書き込み1」
「7.FPS配信中の書き込み2」への反証

まず第一に、指定のURLに埋め込まれた時刻が軒並みズレている。

Google Chromeのアドオンである「YouTubeLiveClock」をインストールする事をおすすめする。開始時刻の遅れなども計算した上で、実際の時刻を表示してくれるスグレモノである。

全て確認したが、実際の時刻直前1分以内にいずれも文字を入力することが可能な停止時間があったり、ロビーやリザルトやジャンプ中等の書込み可能な時間が存在する。

これは書き込みが不可能であることの証明ではなく、書き込みが可能であることの証明である。

以下、実際の時刻の直前一分以内の書き込みが可能なタイミングのURL
https://youtu.be/jwu3iXQ0DeU?t=2829
https://youtu.be/mbJnsv9dPwk?t=1614
https://youtu.be/mbJnsv9dPwk?t=1909
https://youtu.be/mbJnsv9dPwk?t=3441
https://youtu.be/mbJnsv9dPwk?t=6227

[追記]
YouTubeLiveClockの作者がこのようなツイートをされていたのを発見した。
https://twitter.com/yeah_calvero/status/1297081983697186817?s=20

要訳すると、「YouTubeLiveClockには最大分レベルで誤差が生じることがある」という内容。

上記で取り上げたYoutubeアーカイブのstartTimestampを確認したところ、以下のようになっていた。
 2020-05-11T13:02:03+00:00
 2020-07-13T12:00:40+00:00
これらを日本時刻に戻すと
 2020/05/11 22:02:03
 2020/07/13 21:00:40
となる。

私の確認環境と1秒の誤差もなかった。
YouTubeLiveClockの仕様を知らないが、おそらく同じ場所を参照していると考えられる。
正確な開始時刻を取得できない以上、上記の調査の正確性は当然であるが、元記事の「配信中に書き込みは不可能である」という事自体証明できないことになる。

ただし、確認していただいた通り、一切入力が不可能というわけではない、という部分は十分反証材料になると考えられる。

[/追記ここまで]

「1.漫画家情報の漏洩疑惑」について

これに関してはtamonmaru氏のおっしゃるとおり、外部の人物でも可能ではあるように思う。
非常に不自然ではあるが、根拠としては薄い。
ただし、楠氏は「候補を知った」日時の証明をしなければならなかった。
noteで「決定した」日付のメールを開示したが、それでは不十分であり、ツッコまれた時点でそれまでのメールの流れを開示すればよかったのである。
開示できないのはやましいことがあるからだ、と捉えられても仕方ないと考える。
今からでも誠実な対応を期待したい。

「2.他のVチューバーの個人情報漏洩疑惑」について

これもまた、確かにtamonmaru氏の言う通り、今現在では根拠は薄い。
この時点でこれを疑惑の要素として取り上げるべきではないと私も考える。
(そもそも取り上げている人がいるかは疑問であるが)
だが、一応疑惑を唱える人が無根拠ではないことを示しておく。
以下のリンクを確認していただきたい。
http://hissi.org/read.php/streaming/20200516/WWNGcnZYdDRh.html

tamonmaru氏がなぜあえて表示していないのか理解しかねるが、実際に前世晒しの書き込みをしているのは「アウアウカー Saca-+63e [182.251.76.3]」である。
アウアウカーはau系のモバイル回線である。
また、その直後ではワッチョイで書き込み、更にその後ワッチョイWに戻っている。
モバイル回線で書き込んだ後、PCで書き込み、Wi-FI回線でのスマホ書き込みに戻した、とも考えられる。

しかし、上でも述べている通り、現在では「疑わしい」止まりの情報である。
アウアウカーへの調査が進めば何かわかるのかも知れないが、今現在ではecがたまたまレスを付けた可能性も残るため、取り扱いに注意していただきたい。

最後の書き込みの列挙について

もうこれはWikiのアーカイブを確認して頂ければ良いだろう。
このような恣意的に抽出された書き込みではなく、ecが合致している全ての書き込みを記載している。
https://archive.vn/MJ7l2#selection-1349.0-1349.53

現在のWikiはIPが掘り起こされたことにより、条件外の書き込みが除外され洗練化されているが、興味があったら確認して頂ければ幸いである。
https://seesaawiki.jp/ecmatome/d/ec%bb%c3%c4%ea%bd%f1%a4%ad%b9%fe%a4%df%28%b2%be%29


余談

掲題の通り余談であるが、元記事の作成者であるtamonmaru氏は過去にこのような記事を書いている。

https://note.com/tamonmaru/n/nf49ee407c173

要訳すると、「楠栞桜氏の天鳳プレイの動向を知ることはファンにもできる」というもの。
言いたいことは多々あり後述するが、確かに指摘されている対局終了の速報は理論的には可能である。
だが、「対局を開始したことを知る事」は未だ不可能である。
コメントにて複数人により指摘されていたが、現在は閉鎖されて確認することはできない。

追記にてコメントに返事を残している事が確認できるが、「デメリットしかないからするわけがない!」と感情論を追記するに留まり、未だ論理的な返答を行っていない。

そもそも、いつ卓を開始するわからない中、天鳳サーバーに大量のアクセスを要求した上で24時間監視し、やることが5chへの書き込みとは、いかがなものだろうか。

当然であるが、他者が展開するサービスに不用意に大量のトラフィックを発生させる行為は褒められたものではない。迷惑行為としてIDを停止されてしかるべき行為であると考えられる。

開始速報に限って言えば、同卓者なら可能なのでは?という声もあろうと思うが、速報された卓の同卓者は全て別アカウントである事が確認されている。
なお、仮に楠栞桜氏の使用しているISPにCGNが採用されていた場合、天鳳マニュアルに以下の記載が確認できる為、同卓することは不可能である。(https://tenhou.net/man/)

スクリーンショット 2020-08-24 5.16.25

要するに、仮にCGNが採用されていた場合、偶然同卓者がecやecのサブアカウントであった、という可能性はなくなる。
合法的に書き込む方法は、楠宅からの書き込みか、楠氏から情報を得ている場合のみとなる。

逆に、CGNが採用されていないのであれば、ecの持つIPは間違いなく楠宅のIPであるという事となる。

(例外として、天鳳を書き込みと異なる回線でプレイしていた場合や、書き込みと天鳳をプレイした人物が異なる場合は可能性は残る。)

補足であるが、tamonmaru氏のCGNへの知見に関しては、以下の記事に対するコメントで確認できる通り、聞きかじった程度で発信しており、正確性に欠けると言えるだろう。(https://note.com/mikanactivese/n/n6871077c48d8)

スクリーンショット 2020-08-24 5.14.12


最後になるが、特筆すべき私の経歴として、6年ほど前にある移動体通信基地局の開発検証部に所属していた折に第一級陸上無線技術士の資格を取得している事を明記しておく。

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