今日も迷探偵

　デスクに山積みの仕事をほっぽらかし、夜の街に繰り出した。いつも飲みに行くと、なぜか同業種の会話がよく聞こえてくる。世間一般にはニッチな仕事なのに全く謎な話である。おそらく、同業種が近接して事業所を構えていることや、コミュ障でヤニカスを吸い、きったない昭和風の店に22時以降から少人数で溜まり出す２０代はケンコンマンくらいなのであろう。
　今日は稀に２件続けてケンコンマンに出会した。１件目は、雑居ビルの２階にある中華料理店で、夜にもかかわらず1組しか入っていなかった。きったないしわしわよれよれのスーツを羽織りチンピラ感出す中年男とガリ勉系中年男、オタク中年男の一同が丸テーブルを囲んで何やらしょーもない会話をしている。だらだら話して、いきなり「今、聞いてた？」と店員にオーダーが通っているかとむちゃぶりをしてみたり、優秀な社員には営業には連れて行かず作業のみをさせていることをゲラゲラ笑い、利益率や、発注者という言葉を使っているところを見ると、きったねーケンコンマン中間管理職の飲み会だろう。こんな時間から、若手に雑務を押し付け、良いご身分だこと。
　続いての店は、連続立体交差の下に違法占拠しているかの如き店である。入店して、「白波」を注文してあたりを見渡すと、やはりバーディーの若者がいる。ヤニカスを吸いながらセンター試験は８割とれただの、阪大か神大に行けただのうにゃうにゃ言っている。学歴厨なんてやってないで社会的成果をあげろよと盗み聞きしていると、だんだん共通点のある話をしている、理系にもかかわらず生物・化学の点数が低い、国公立に行けなかった、国語が苦手だが、賢いやつは言語化能力に優れているなど。次第に、道路・施設の講座を受けただの、技術士は今年受けたいが残業や週末出勤で今年も難しいだの、JABEE持ってるだの、新卒年齢がバラバラだの、専門部会がどうしただのという話が始まった。発注者との打ち合わせ２日前に上司にフルボッコにされ徹夜する話や、交通バイブルの道路橋示方の話に続き、しまいには、交通道路部、河川部、施設部というワード、９階にはコミュ障な道路部族がおり、ヤニカス吸うのが著しく早いときた。間違いなくケンコンマンだw。私の場合のバイブルは「道路構造令の解説と運用」だがw。おそらく、設計部隊で、私と同級生かちょっと下の２５歳の人間たちだ。驚くことに、一年目はキャドオペ的な業務、２２時には帰宅でき飲みに行ける、休日出勤は毎週ではない、研修を受ける時間はある、上司に教えてもらえるなどの話を聞くとホワイト企業だこと。それにしても、道路族がコミュ障ヤニカス野郎で社屋の最上階に陣取る傾向はどこの企業でも同じことであるようだw。「道路計画畑でもそうでしたw」と心の中でほざいてみる。おそらく、風貌と佇まいで推察すると、ニュージェック、オリコン、セントラル、トーケンコンのいずれか社員であろう。首に真っ青な名札ストラップを吊り下げ、いまだに関大出身の学歴厨で、平凡な容姿などを総合すると、ニュージェック、セントラル、トーケンコンの３択となる。セントラルは少なくとも国公立でないと入社できないこと、ニュージェックはもっとブラックなことを考慮すると、きっとトーケンコンに違いない。さあググってみよう。ふむふむ施設系、道路系、河川系の部があり、なんとこの飲み屋から１０分圏内に自社ビル９階建ての支社がある。ここに違いない！！！
　あ〜私は何を馬鹿な妄想をしているんだろう。この考えていた時間を取り戻して〜といいながらこんなしょ〜もない文章を書きながら現実逃避をしている。
　最後に帰り道に見つけた橋梁に佇むお花畑ライティング・DIYを載せて、本日は営業終了する。