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2022年3月25日の乾杯

2022年3月25日の乾杯。戦争がトップニュースを占める日々。とってかわったのは地震のことだけだし、蔓延防止措置は解除されたけれどコロナの罹患者数も下げ止まっている。そんな中でも、桜は咲き初めてやがて満開。
良き舞台もたくさんに。#すてらぷらんにんぐ   #モミジノハナ  #やみ・あがりシアターから #三月大歌舞伎まで

どこかバランスが崩れてしまった毎日に少し疲れつつ、それでも春の訪れを感じてのおじさんとおねえさんの会話です。



👨演劇のおじさんと

👩おねえさんです。よろしくお願いいたします。

👨なにか、戦争が全然収まりませんねぇ。

👩そうですね、現状が酷すぎるので、言葉を発することが、なにか意見を言うことが難しい…

👨まあ、戦後日本で初めてみたいなことが起きていますからね。ウクライナの大統領がネットを介して演説を行ったりとか。

👩うん…現実とは思えない…ひどい…

👨となっちゃいますよね。ドローンでの鳥瞰映像などを観るとマリウポリの街とかもはや街ではないものね。私、高校生の時に東京大空襲の記録映画を観たことがあるのですけれど、なんかあの風景をライブバージョンで観ているような気がして。そもそも、どんな国でも他の国に砲弾やミサイルを撃ち込むというのはもうそれだけでアウトでしょ、本来であれば。

👩うん……日本の海にもいろんなのが落ちてきていますものね。

👨そうそう、貧しい国民のお金でミサイルを打ち上げるやつもいるしね。

👩なにをやっているのかと。

👨なんかさ、今年の初めにはコロナはいつ完全収束するのかなみたいな話をしていたわけじゃない?でも、それとは違った得体の知らない漠然とした不安感というものがあるものね、今。

👩そうですね、とても。

👨そういうことでちょっと影に隠れてはしまったけれど、コロナだってそんなにしっかりと良くなったわけではないのに、もう蔓延防止措置が解除になったりしてね。

👩地震もあったしね。

👨ああ、ありましたね。

👩うん、コロナも今だって何千人という患者が出ているわけだから。

👨地震については、うちのあたりは大丈夫だったのだけれど、あの寒い夜に停電の可能性とか言われて本当に不安になったし。

👩てんやわんやしていますね、世の中が。

👨うん。世相が騒然となっていますね。まあ、桜とかは咲き始めているのですけれどね。

👩うん。

👨うちの近所に私が個人的に開花宣言をするためのマイ標準木があるんですよ。

👩はいはい。

👨この桜が咲き始めたら開花だぞみたいなね。それがもう五輪以上花をつけていたし、ほかの枝の蕾もしっかりと膨らんできていたので。春はちゃんと来ている気がするのですけれどね。

👩うんうん。

👨でも、なんか落ち着かないよね。

👩落ち着かないですよねーー…日常ではないなという感じがします。

👨ああ、そうですね。腰をちゃんと落ち着けてゆったりできないみたいなね。

👩そうですね。コロナの影響もあってということもあると思うのですけれど、私は個人的にはあまり元気ではないというお話をしたじゃないですか。もちろん日々生きてはいるのですけれど。普通に生きてはいるのですけれど。やっぱりねぇ、世の中のいろんなこともあって、ちょっと良くないですね。その、元気がないというか。平常の状態ではないかというか。

👨それはメンタルな面でということ?

👩そうですね。

👨うん。

👩メンタルがちょっと、無理が来ているなという感じがしますね。

👩はいはい。

👨私は一人っ子なんですね。だから小さな頃から一人遊びって普通にできるのですけれど。なんか兄弟のいる人って例えば雨の日には兄弟で家の中で遊ぶのだろうけれど、私はずっとひとりで遊んでいた子だから、だからいつも「ひとりでなんでもできるもん!」みたいな気持ちにはなっていたのだけれど、でもやっぱりこういうときにひとりでどこへもいくところがないということになると落ち込みますものね。

👩うんうん。私もひとりでどこへでもいくほう…ひとりでどこへでも行きたい所があるのですけれど。それぞれじゃないですか。おじさんは……そのなんだろうな、あれ、まとまらなくなってしまいました。

👨いやいや、「おじさんは」のところでまとまらなくなると、まるで私がまとまらない人みたいじゃないですか。

👩いえいえっ!そういうことではない。そんなことはなにも言っていない、うふふ。

👨ああ、そう。

👩人によるなぁと思って。私はむしろそういう時に、一人で散歩したりとか、一人で考えをまとめたかったりとか、一人になりたいと思うのかもしれません。

👨ああ、なるほど。まあ、私は今って外にでることがなければほっといても一人なのでね。一人は慣れているのですが、でもやっぱりね、いつもと違ったというか常ならないお芝居とかを観に行くと心が晴れる。

👩お芝居が助けてくれていますね。

👨ええ。この間ね、「すてらぷらんにんぐ」という星秀美さんが主宰をしている団体が、ご夫婦で出演されている『リュウキョク』という舞台を観たんですね。四人芝居なのですよ。で、入場するとそこでは俳優たちが麻雀をやっている。

👩見たなぁ、ツイッターで。ありましたねぇ。配牌がどうなっているのかなぁとか。

すてらぷらんにんぐ『リュウキョク』

👨そう。私は麻雀ってほとんどやらないのだけれど一応ルールは知っているので、やっぱり牌の流れは気になった。客席は舞台の両面にあるのね。それで麻雀卓は舞台に対して斜めに置かれていて、それぞれからふたりずつの牌はみえるようになっていて。それで配牌や手の進め方を観ながら開演をまつんですよ。で、開演してからも盤上は淡々と続いていくのだけれど、そのなかに、たとえば後ろの部屋に何かが閉じ込められているとか、冷蔵庫の中は得体のしれない水のはいったペットボトルばっかりだとかね。そこにマジックで書かれていた番号の意味は未だにわからない。で、そのうちに四人は怖い先輩にそこで待っていろと言われて拘束されているんだということがわかってきたりとかね。いろんな不穏さが置かれ、それぞれが持っている時間がばらばらと解けてきてそうやって物語が進んでいくんですよ。それで、あるところで、それぞれの点数を確認して物語がさらに続くのだけれど、買った台本を読むと、そこからが分岐になっていて。誰と誰が1位と4位だったらこっちに進むみたいなパターンごとの台本があって。。

👩はぁーーーー…すごい。

👨だから、麻雀をやっている態だけではなくて、実際に打ってその結果によって物語が動くように作ってあるのね。まあ、最後は1本に束ねられるのだけれど。

👩いやぁ、大変。演者側からしたらそれは大変。

👨そこで賭金が動くとかではなくてパターンが決まるだけなのだけれど、多分。私が観たときには結構星さんが一人勝ちをされていたけれどね。でも、そうやって演じることによって、台本を芝居に落とすということ以上のライブ感が生まれるような気がするんですよ。で、芝居が最後に至って出演者が礼をするときにも、その感覚が観る側に残るんですよ。それが、すごく印象的でね。これは、ひとつの新発明かなと。

👩はいはい。

👨まあ、作・演出の屋代さんってそういうことをさせると上手いよね。

👩屋代さん!!!

👨そもそもチケットって渡されたのが千点棒でしたからね。で、舞台が目に飛び込んできて、ああ、これはリーチがかかったところから見るのかなとかいろいろ想像をしたりもして。

👩なるほど。

👨屋代さんはやっぱり只者ではないなと。で、屋代さんが作るものだから田瓶市もちゃんと出てきたし。

👩田瓶市ファンとしては嬉しいかぎり!!

👨ただ、いろんな作家が自由に田瓶市でいろんなことを起こすから、それを全部重ね合わせると今の田瓶市ってとんでもないことになっているよね。

👩それが面白いんですよ!!とんでも市!!!

👨そうやって、夏目坂を上り下りしてそういうのを楽しんだり。あとね、やみ・あがりシアターという団体があるんですよ。

👩はいはい。

やみ・あがりシアター『マリーバーランド』

👨笠浦静香さんが代表されていて加藤睦望さんという俳優がいらっしゃる劇団なのですけれどね。その『マリーバードランド』というお芝居もすごく面白かった。今、佐藤佐吉演劇祭をやっているじゃないですか。その参加作品のひとつでね。会場が北とぴあで下には劇場があるのだけれど、上にもペガサスホールっていって結婚式場につかうようなホールがあるのよ。ほりぶんなんかも時々使っているんだけれど。で、そこに結婚式披露宴のセットが組まれてね。設定としては南極の果てで旅行会社の男性社員と結婚式コーディネートをする会社の女子社員が結婚式をやるっていうはなしなのだけれど、たまたまその女子社員のもと彼的な人が追いかけてきてしまって、旦那がむくれて結婚を拒絶してしまうのよ。でも、そこにはこのコロナ禍の中でもできる結婚式のプロモーションビデオをとらなければいけない事情があって、結婚式の費用も結婚雑誌の会社が出していたりもして、だれでもいいからカップルを作って結婚させようというドタバタな流れになってという。で、その中に登場人物たちひとりひとりの姿が人物たちの恋愛や結婚観をうまく抽出していたりもして、また、結婚式場にも使っている空間で結婚式の話をするから場のリアリティなんかもあったりして。

👩ふむふむ

👨けっこう笑えたりもするのだけれど、ちゃんとその先があってね。それもとても面白かったです。

👩元から舞台でいろんな企みがあったりとか……いろんな手を変え品を変えというのもありましたけれど、富にそれが体感できるみたいなところが最近の舞台に多いですね。楽しいのためのギミックというか。千点棒にしてもそうだし、結婚式場にしてもそうだし。面白いですね。

👨半歩リアリティの中に引き込んでお芝居をつくるみたいな感じってありますよね。

👩外に出られなかったりとかで、あまり体験物がなくなってきているから、そういうのをみんなどこかで欲しいだろうなって思っての演劇界の企みになっているのかなっておもったり。

👨そういうのって確かにあるのかもしれませんね。というか、作り手も無意識にそういうことをしたい心境になっている…

👩じゃないかなって。

👨今だってシェークスピアやチェーホフをやっても全然かまわないんだし、それはそれで観たいとおもうのだけれど、なんかそういうものよりも今風のアイデアのあるものの方に食指が動くというか。観る側にとっても気が晴れますよね。マクベス夫人が手を洗い続けて狂って死んでしまうようなお話を観るよりは。やっぱり時代の要請ってあるんじゃないですかね。

👩そうですね。敏感にその辺を察しているというか、ニーズを察しているのだろうなと思う。そういうなかでも新しく挑戦があったり、この状態の中でも新しいもの、おもしろい楽しいもの、エンタメを掘り下げていっているとか、開拓していっているというのはめちゃくちゃ凄いですね。

👨ましてや、コロナのリスクの中で、実際に公演が中止になっているものも多くて。先週から今週にかけてでも、一本は完全に公演中止になってしまって、あと初日には観ることができたモミジノハナ『粗末な人たち新宿編』という公演もスタッフにひとり陽性者が出たということで、3日目がとりあえず昼夜とも中止になってしまって。主宰の野花紅葉さんはまだ若いんじゃないかな。キャストには感染者はいなかったみたいなのだけれど、その後については現在未定とかね。(翌日以降スタッフを総入れ替えして公演はできたそう)。キャバクラのキャストの待合室の話なのですけれど。

👩はい。

👨女性たちが距離感を醸してその場にいるところに、体験入店として小説家志望の女性が入り込んできて。更には実際に入店もして小説のためとかいって、いろんな質問をしていくんですよね。通常だったら場の空気を読んで絶対に言わないことをどんどん尋ねてしまったりとかしていくうちに、女性たちの表層の部分とその奥にあるものが、どんどんさらけ出されていくというか、崩れていくという仕組みのお芝居だったのだけれど、その、場のつなぎ方がとてもうまくてね、ひとつのシーンから次のシーンに移るときに、ちょうどしりとりをするみたいに最後のセリフを取っていくみたいなやり方をして、そこでとても滑らかに時間と空間を移していくの。そうして同じ人物の想いの表と裏側を描き出していく。それがアイデアだけだと破綻もあるのだけれど、とても丁寧に場をつくっているのでそれが最後まで歩みを止めないで流れていくの。ああ、この作・演は頭がいいなというか、物語を滞らせず運んだり晒したりするセンスがあるなって思いながら観ていたのですけれどね。

👩うんうん

👨まあ石澤希代子さんとか、最近よくおみかけする波多野怜奈さんとかもご出演で、あとほかの俳優たちにも、なんだろ、しっかりした人物造形があって、それも一人の人物の表裏をそれぞれに作り込んでいるから成り立つお芝居でもあるので、当たり前のようにやっているけれど、二つの人格を乖離させるのではなく一つの中に収めていくのはそれぞれにしっかりと演じないとできないことなのだろうなぁとかも思ったり。

👩うんうん。

👨なんだろうね、新たな作り手が生む新たな刺激というのはこういう時代になっても常にあるから。

👩そうですね。だからこそみたいなところもあるかも。

👨ああ、逆にね、こういう時代だからこそ際立つというか。

👩そう。

👨あと、あれも観ました。『ことば』。2011年の震災があったときに、それに対する支援をしようということで、もう亡くなったのだけれど花組芝居に水下きよしさんという方がいらっしゃって、

👩あああっ…!!

👨その方がBorobon企画というものを作って、有志の方と一緒にことばというものにこだわった公演をされたのですよ。それが年に1度継続的に行われるようになって、水下さんが亡くなられたあとも、俳優の方たちがその志を引き継いで。で、今回はそれが11回目なのですね。

Borobon企画『ことば Vol.11 ~恋~』

👩はい。

👨会場が江戸川橋の絵空箱で、通常はワンドリンク付きの公演なのですけれど、今回は時節柄飲食ができないので、ドリンクを一本持ち帰ってくださいという形に変更になっていて。

👩へぇぇ。

👨そういうのもおしゃれでしょ。

👩とってもおしゃれ。いいですね。

👨紙袋に入れてわたされるのだけれど、東北支援ということもあってか、つまみが一緒に袋に入っていてね、具体的にはホタテ味の揚げせんがはいっていた。

👩ほう。

👨で、そのコンテンツは、ほんと、ことばにまつわるいろんなこと、たとえば谷川俊太郎の詩を朗読したり、あと歌詞があるじゃないですか、いろんな曲の。今年だとたとえば「恋するフォーチュンクッキー」とか、アニメの「タッチ」とか。その歌詞を俳優のセンスでバイアスをかけて朗読するんですよ。

👩えっと、うん?

👨うまく伝わらないか。その歌詞を使って、別のニュアンスを感じるように、新たな世界が見えるように、設定が見えるように、演じるのですよ。まあ、いうても手練れの俳優ばかりで、そのひとつずつがめちゃくちゃ面白くて。かと思えば中坪由紀子さんはフラが踊れるので、フラってその動きのひとつずつがことばじゃないですか、今回も拝見することができて。毎回観ていると所作で言葉を表現することがとても豊かなことに思えてきたりもしてね。あと劇団宝船の新井友香さんが書き下ろした短編を出演者で演じてみたりとか。

👩うん。

👨それから、最初の朗読が終わった後に「ノンバーバルを気取ってみた」とタイトルで、所作だけのパフォーマンスがあるんですよ。それがいくつかのお題のあとでもう一度繰り返されて。ロールごとに台詞があるのはわかるのだけれど、セリフの発声はなくて口をぱくぱくさせて演じるだけ。でね、暫らくしてもう一度同じパフォーマンスが差し入れられるのだけれど、その時には横にナレーターがついて、セリフの部分を読み上げるの。そうすると物語が鮮やかに浮かんでくる。2度見せてもらった所作は覚えていて、でもそこに言葉が裏打ちされると世界に色が戻ってきたようにも思え、物語の解け感にもつながって。うわぁ、これは面白いとおもった。

👩へぇぇ。おもしろい。

👨すごく面白くて。俳優たちは、言葉はなくてもそのことに捉われずにしっかりと演じているのですよね。口だけはぱくぱくさせるけれど。なんだろ、身体で表現するということもよくわかる。この『ことば』は、毎年ご出演の方から案内を頂くとわくわくするんですけれど。

👩はい。

👨で、公演をみて大満足で、また一年が過ぎて案内が来て、また一年を過ごしたなって感慨が生まれたり。

👩もう風物詩みたいになっているんですね、きまりというか。

👨でも、そういうのってけっこう大事だと思うんですよね。

👩うん、大事。

👨桜が咲くのと同じように、また今年も絵空箱で『ことば』を観たら一つ歳をとるんだなぁっていう感じ。

👩すごくいいですね、そういう風にやってくれるのって。舞台ならではみたいな気持ちにもなる。

👨しかもこの『ことば』って毎年の定番演目もありつつは今回のノンバーバルみたいに新しい企みを加えてみたりでちゃんと観るたびに進化しているのですよ。だから、毎回より贅沢をさせていただいたような気持ちにもなりましてね、すごく楽しかったですけれどね。

👩うふふふ。そんなのがあるんだ。

👨次に案内が来たらお誘いをしますよ。来年だけれど。なんかね、固定のファンの方がおおいみたいなのですよね、やっぱり。

👩そうでしょうね。誰かの毎年の楽しみになれる舞台って素敵だと思う。

👨その一方で毎回新しくこられる方もちゃんといらっしゃるみたいで。へぇ、こんなのがあるんだみたいなことをおっしゃりながら帰っていく方もいて。

👩うん。

👨まあ、年齢層が上の方もいらっしゃるので観客が入れ替わるという恐ろしい話もあるのだけれど、体調を崩してこられなくなる方とかもいるかもしれないのだけれど、でもその分ちゃんと新しいファンがついて公演が成り立っていくというのは良い巡りだなぁとも思っていて。演劇にそういう巡り的なところがあるものも楽しいなとかね。

👩体験だから忘れないしね。時期になったらその場所にいって体験して感じることができるのはいいなぁって思う。

👨そうそう。まあ、私の同い年くらいの知り合いの中には第九を聴くとか、忠臣蔵があれば行ってみるとかいうのを続けている方もいらっしゃるけれど、それだとちょっと古風な感じもするので。こういうのもいいかなぁと思ったりもして。

👩長く続けてほしいですよね、そういうものは。「そこにあってほしい」ですよね。

👨で、公演が終わってから、ご案内を頂いた方から「来年もお待ちしています」って言ってくださったから。

👩嬉しいですね。

👨うん。ありがたくて、なんか。

👩「こちらこそ」ですよね、それは。

👨「行きます!」って思わずおあずけワンちゃんみたいなポーズになってしまってね。でも、生活にリズムを作るという意味での演劇ってありなのかなぁって思ったりもして。

👩とってもありじゃないですか?ずっとそこでやってくれているという安心感といのはすごくあるなぁって思うし、うれしいし。

👨うん、そうなんだよね。俳優の方たちでもそういう、ライフワークではないのかもだけれど、そういうものをひとつもって活動をしていただく方には、観る側としても親しみがわくしね。まあ、団体が公演を重ねていくのも同じなのかもしれないけれど。

👩追いやすい。そこに行けばやっている。もう舞台の俳優もね、推しは推せるときにおせという言葉もありますけれど、ほんとうにね、この状態だと、今のこの情勢だとね、もういつまでいれるかわからんぞみたいな。いついなくなってもおかしくないみたいな状態ですからね。

👨そうですよね。

👩たくさん観てくださっている方には、もう十分だとおもうのですけれど、さらに自分のペースで応援していただきたいなぁと。

👨そういえばさ、私は歌舞伎も観に行ったのですけれどね。

👩はいはい。

👨今回の歌舞伎も本当に良かったです。

歌舞伎座三月大歌舞伎 第三部 『石川五右衛門』

👩ああ、そうですか。

👨おねえさんにも本当に見せたかった。

👩観たかったなぁ

👨もともと、何カ月か前から、今月の第三部の『石川五右衛門』は見どころがあるよっていうのは評判になっていたからね。ほんとおみせしたかったのですけれどね。あの、やっぱり歌舞伎の外連ってすごいよね、今更だけど。今回は松本幸四郎さん演じる石川五右衛門の宙づりでのつづら抜けというのがあってね、石川五右衛門ってね、つづらを背負っていくのだけれど、その宙づりになったつづらの中から五右衛門が出てくるというね。でね、今回私は2階席の下手で観ていたので、ぐんぐん吊られた幸四郎さんが迫ってくるわけですよ。   

👩うふ。

👨で、その表情を観ていると、これは絶対におばさま方は痺れるよなって思った。

👩うんうん。

👨幸四郎さんにはそういう色気があるのね、男が観ても。で、吊られているから身体はやっぱり抗っているわけですよ。そのなかで表情をしっかりと作って劇場を全部惹きつけていくというその芸はやっぱりすごい。

👩へぇ、だいぶよかったのですね。

👨客席も蔓延防止明けとは思えないような、常ならぬ大喝采だった。

👩拍手はいいでしょ。

👨でも、おばあさんが拍手をしながらもはや立ち上がりそうになって、隣の娘さんかお嫁さんが慌てて留めていたりね。

👩ああ、そんなに。

👨こう、ドーパミンがぐっとあふれるような一幕でしたね。

👩はぁぁ。

👨なんだろ、歌舞伎の華というのは一度覚えると忘れられないよね。

👩そうですね。歌舞伎には歌舞伎でしか摂取できないものがありますものね。

👨あと、途中で舞台中央で大薩摩を聴かせるところがあって、それも見応えがあって。やっぱり松竹ってすごいのねって。

👩うふふふ。よかったですね。なにか満たされている感というか,いいものを観たなという感じが伝わってきます。

👨それはもう、おねえさんにお見せしたかったですよ。

👩それはゆうてもせんなきこと…

👨そういえば、今月から来月にかけてもいろいろなお芝居があって。

👩うん。

👨そうそう、『明日のハナコ』が上演されるんですね。

👩はいはい!

👨福井の高校演劇大会で、その作品だけハブられたっていう。ケーブルテレビの放映から除外されあまつさえ台本の回収まで言われたという。

👩はいはい。

👨で、これまでにも上演したところはあるのだけれど、今回は光瀬指絵さんとかスイッチ総研界隈の有志が急遽上演することになったみたいで。ただ急遽決まったのですこし混乱もしていて。小屋は梅が丘BOXがとれてタイムスケジュールも定まったらしいのだけれど、複数集まった俳優をどういう組み合わせでいつやるかということがまだ完全に決まっていないみたいで。でも、きっと誰がやってもそのキャストの面白さだと思ったので私は青田刈りで予約をしてしまいましたけれどね、

👩あははは。

👨そういうやり方にも良い意味でのスイッチ総研の匂いを感じるなぁって。まあ、公演の名義は「なかったことにされた高校生の2人芝居がきっちり面白かったので自分たちでサクっとやってみる会」になるみたいですけれど。とりあえずはまず動いてみるみたいな。

👩大事ですよね。やってみないとなにも始まらないので。

👨逆にそういう風に作られた方が演劇のライブ感ってあるような気がするしね。もちろん作り込まれた演劇もよいけれど、こうやって作られた物には疾走感というか勢いがつきますものね。これは4月8-10日かな。

👩もうちょっと、早く元気になって観たいものに行けるようになりたいですが、まずはゆっくりと。しばらくはおじさんの感想話を聴きながら,私もね、個人的に舞台に想いを馳せようとは思いますが。

👨あと、日本のラジオもやるよ。

👩いいですね。4月22日~26日まで。場所は新宿眼科画廊。

👨なにか短編集みたいですけれどね、今回は

👩おもしろそう。

👨さっき話していた「すてらぷらんにんぐ」も作・演出が屋代さんで、今回もまた彼のドヤ顔を観ることが出来るかと思うとそれはもう。

👩楽しみですね。

👨はい。そうやって楽しみもあるのでいろんなことが早く落ち着いて欲しいですよね。

👩本当ですね。ちょっと私は世界のことよりもまず自分の世界をなんとかします。

👨気散じみたいなことって思いつかないのですか?気がぱぁっと晴れることって。

👩そういうことはやっているつもりなのですけれどね、脳が疲れているんですよ。なので、ちょっと休めるようにしたいと思います。
👨まあ、ずっと走り続けるだけが人生ではないですからね。さてさて、次の乾杯は4月ですけれど。
👩ですね。

👨なにかちょっとよいことがたくさん話せる4月だとよいですね。

👩そうですね。

👨ということで、演劇のおじさんと

👩おねえさんでした。

👨また次回をお楽しみに。

👩おやすみなさい。


(ご参考)

・すてらぷらんにんぐ『リュウキョク』
 2022/03/19 (土) ~ 21 (月) @ イズモギャラリー
 脚本・演出 : 屋代秀樹
 出演 : 梅田優作 おしばい演太 加糖熱量 星秀美

・モミジノハナ 『粗末な人たち 新宿編』
 2022/03/23 (水) ~ 27 (日) @ 雑遊
 脚本・演出 : 野花紅葉(モミジノハナ)
 出演 : 石澤希代子 太田ナツキ 奥泉(露と枕)
      波多野伶奈 野花紅葉(モミジノハナ)

・Borobon企画 『ことば Vol.11 ~恋~』
 2022/3/18(金)~20(日) 
 @ Performing Gallery & Cafe 絵空箱
 構成 : 井上啓子 
 演出 : 仲坪由紀子
 出演 : 井上啓子 小口ふみか 川西佑佳 杉山薫
      仲坪由紀子 蜂谷眞未 伴美奈子 丸川敬之

・三月大歌舞伎 第三部
『信州川中島合戦(しんしゅうかわなかじまかっせん)輝虎配膳』 
 長尾輝虎      芝翫
 お勝        雀右衛門
 直江山城守     幸四郎
 唐衣        孝太郎
 越路        魁春

『石川五右衛門(いしかわごえもん)』
 石川五右衛門    幸四郎
 三好長慶      松江
 三好国長      歌昇
 左忠太       廣太郎
 右平次       鷹之資
 佐々木秀経     玉太郎
 細川和氏      男寅
 仁木頼秋      竹松
 次左衛門      錦吾
 呉羽中納言     桂三
 此下久吉      錦之助

     

** ** **

なかったことにされた高校生の2人芝居がきっちり面白かったので
自分たちでサクっとやってみる会
『明日のハナコ』2022年4月8日~10日@梅が丘BOX
脚本 : 玉村 徹(福井農林高校演劇部元顧問)
演出 : 光瀬指絵(ニッポンの河川|スイッチ総研)+ゆかいな仲間たち
出演 : 有吉宣人 石倉来輝(ままごと) 川田希
     田中祐希(ゆうめい) 福永マリカ 
                  光瀬指絵(ニッポンの河川|スイッチ総研)茂木大介
                  森谷ふみ(ニッポンの河川)
                 ―日替でのわり出演―

(今後のおすすめ舞台)
 日本のラジオ 『画廊にて 他3篇』
 2022年4月22日(金)~26日(火)@ 新宿眼科画廊 スペースO
 脚本・演出 : 屋代秀樹
 出演 : 安東信助(日本のラジオ) 沈ゆうこ(日本のラジオ)
      浦田すみれ 小野カズマ 川上献心(劇団風情)
      土橋銘菓

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