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2023年12月13日の乾杯

新しい乾杯。あっという間に師走、北風が吹くなか、おじさんもおねえさんも毎日に翻弄されつつ、それでも横道にそれたり駄弁を重ねながらいろいろと観たものや聞いたことを話します。

👨演劇のおじさんと
👩おねえさんです。よろしくお願いいたします。
👨もう師走も半ばにまできてしまいましたね。あっという間ですね。
👨ええ。
👩あっという間すぎてびっくりしています。
👨このところお芝居だのなんだのでお出かけが立て込んでいるので、毎日が早いのなんの。
👩12月はねぇ、みんな今はバタバタで。
👨お芝居で言えば公演の数がコロナ前に戻ったような感じもあって。私ももうそれなりに歳ですから、マチソワなどはできるだけ避けようとずっと心がけてはいるのだけれど、もうそうは言っていられなくなってきて。
👩あはは、そうは言っていられないですか。
👨そう。最近はもう,通勤電車でもう少しで乗れるときの押し方でねじ込んでいく感じで予定をいれているからね。
👩でも大丈夫ですか。
👨愛の一押しみたいな感じで。
👩気をつけて欲しい。無理はなさらないようにして頂きたい。
👨まあねぇ。でもさ、気がつけば最近は公演の尺というか上演時間に以前より関心があるもの。
👩何分だー?って。
👨そう。観劇に際しては、まあ開演遅れも見越して終演時刻を考えて、そのあと、移動時間にトイレや食事の時間も考慮にいれて次にゆとりを持って間に合うかを折に触れて計算しているもの。なんかねぇ、仕事的なことよりお芝居を観るスケジュールにはるかに神経を使うというのはいかがなものかとも思うのだけれど。
👩それは楽しいものですから。
👨まあね。別に苦行に身を置くために出むいているわけではなくて、楽しくて足を運んでいるのだけれど。というかここのところいろいろと面白いものが多すぎますよ。
👩うふふ。
👨でも、師走は、たとえばお正月の準備もしなければいけないしね。
👩そうね。もうお正月・・・本当ですかって思っています。
👨お正月くらいはちゃんと片付けた部屋で、器もそろえて食事をしたいし。お酒やお屠蘇だって飲みたいし。
👩そうですね。
👨ちなみに始まる前にちらっと伺ったけれど3COINSでなんかお正月の食器とかを売っているのですって?
👩そうそう。お重とか食器セットとか、かわいいのがあるんですよ。
👨食器セット?
👩今年は食器セットがめちゃかわいいのですよ。酒器セットとか瓢箪型のガラスの器で、良いんですよ。
👨へえ。
👩3COINSは良い、毎年良いの。お正月用の食器を出しているんですけれど。わたしは凄く好きでね、これが。
👨3COINSといえば、私が今使っている耐熱性のステンレスボトルがそうなのだけれど凄く良くて、もう手放せなくて。毎日熱い飲み物と冷たい飲み物をいれた2本を抱えて家の中をうろついていますけれどね。熱い方には甜茶か、ほら紅茶のティーバックでもずっといれっぱなしにして良い奴があるじゃないですか。
👩ああ、ありますね。
👨予め中を暖めたボトルにそのティーバックをひとつと角砂糖ひとつにウィスキーをキャップ1杯垂らして。熱湯を注ぐと美味しさが一日持つんですよ。それをどこにでも持ち歩いて。
👩うん。
👨ほんとどこに行くのも一緒で、もう愛しくて、最近はそのボトルたちに名前をつけてやろうかと思うほどくらい。
👩うふ。いやぁ、でもね、そのお正月用品、正直ほしいものがあってチェックもしたのだけれど、今見たらもう売り切れてしまっているものもけっこうあるみたいで。吸い物椀とかすごくかわいいものがあったのですよ、白で、蓋付きで。
👨あぁ、お雑煮によさそうな。
👩そうそう。めちゃかわいくて。うーん、けっこうほかにもないものがあるなぁ。
👨でも、売れ方にムラがあるみたいで。店舗によっては残っているものもあるみたいだけれどね。まあ、そうはいっても、無くなるときはあっという間だから3COINSに関しては良いなと思うものに巡り会ったら躊躇せず買うようにはしている。
👩うん。
👨今日あるから明日もあるとは全く限らないので。
👩そう。本当にそう。お椀が一番欲しかったのだけれどもうないから、お重と、あとこれももうないけれど木製の鏡もちとかがあってね、これも良いなぁって思ったのだけれど。
👨フードロスやサステナビリティにも配慮したというか。
👩そう、そうですね。一食べきれなかったりもするじゃないですか、一人だと。めっちゃ可愛いのですよ。
👨へぇ。あとでググってみよっと。
👩是非に、ググって見てくださいよ。リンクも送っておきましたから。Cainsのリンクなのですけれど。そこでキッチン用品で調べるとでてくるから。着きました?お重とかわかります?
👨あぁ、なるほど。あと、小皿にしてもかわいいじゃない。
👩そうなのですよ。酒器セットもあるでしょ?瓢箪型の硝子の徳利とグラスが二つついてくる、これがめっちゃ欲しいの。

酒器 (3COINS 税込み1100円)

👨うんうん。これで呑むともしかしたらお酒の味もかわるかもしれないね。
👩そうそう、けっこう気分で変わるから。
👨お酒ってそういうものかもしれないね。
👩はい、そういうものだから。Cainsって大好きなんですよね。1000円とかちょっと安値でも良きキッチン用品を売ってる。
👨私さ、なんか最近3COINSとおかしのまちおかは素通りできなくて。ついチェックをしてしまいますよね。
👩おかしのまちおかは美味しいから。お菓子がいっぱいあるから。
👨まあそれにつけても、この酒器にはそそられるなぁ。私は一人暮らしの一人酒だけれどそれでもこのセットで呑むお酒は美味しそうだよね。
👩ええ。
👨いかん、徳利の話に呑まれてしまった。ところで、本題にはいるけれど、お芝居などもほんと昔のままに戻ってきましたよね。、
👩そうですね。戻った感じがしますね。
👨うん、師走に至って更に戻ったという実感があるよね。だからなにをお話ししようかということを考えるにも両手がいっぱいになってしまっている今日この頃ではあるのですが。
👩うふふふ。
👨そういえば、12日と13日、ほらST Spotってあるじゃないですか。
👩はいはい。
👨あそこって今年35周年なんだってね。
👩へぇ。
👨それで「さんご」で
👩えっ?
👨で、あそこって、急な坂スタジオって稽古場兼イベントもできるみたいな施設にも拘わっていて、あの野毛の動物園にいく途中にあるやつ、あそこも15周年とのことで。15は「いちご」
👩ふんふん。
👨ということで「さんご=CORAL」、「いちご=STRAWBERRY」だから『CORAL&STRAWBERRY』というイベントが12日と13日にあったのね。

ST Spot

👩へぇ。
👨そこと縁のある、当初6団体、ちょっと事情があってということで1団体が出演できなくて5団体でのショーケース公演があったのだけれど、どの演目もその団体の味わいで尖っていて滅茶苦茶おもしろかった。
👩へえ。
👨一団体が諸事情でご出演叶わずはとても残念だったのだけれど。
👩へぇ、残念だね。
👨それと、「マームとジプシー」は過去に作成した映像作品での参加だったのね。
👩そういうのもあるんだ。おもしろいね。
👨「マームとジプシー」について、私がみた回は恐竜を擬人化して、世界について考えるみたいなものだったけれど、でも、そこに「マームとジプシー」のセンスが息づいていてなかなかに面白かったよ。久しぶりに聴いた青柳いづみさんの声も映像によく馴染んでいたし。
👩ふーん。
👨まあ、「マームとジプシー」の舞台のテンションとはひと味違っていたのだけれど、だけど、藤田さんの才にそういう一面があることには気づいてもいたので。
👩へぇ。
👨それから、初めて観たのだけれど湧田悠さんもよかったな。彼女は短歌を詠むダンサーなのだけれど・
👩短歌を詠まれるのですか?
👨そう、「ヤッホー、跳べば着く星」というのがタイトルなのだけど、サブタイトルのように「ヤッホーの ホーが銀河に 突き刺さる 路地より遠い 跳べば着く星」という短歌が添えられていたりして。
👩へぇ。滅茶滅茶いいねぇ。
👨で、俳優とヴォーカリストの3人でのパフォーマンスなのだけれど、それぞれが他の表現に踏み出して、せりふがあったり歌ったり身体で表現したりでね。底に凜としたなつかしい時間が醸されるのもよくて、ここはまた観たいなあとおもった。
👩ほうほう。。
👨額面絵画もよかったなぁ。三橋亮太さんがされている団体でね、前に春風舎でも公演があったのだけれど。2人芝居、マッチングアプリで知り合った男女が段々に打ち解けていく話なのだけれど、その距離感の作り方もウィットの差し入れ方もとても上手くて。
👩なるほど。
👨あと、中野茂樹+フランケンズが「魚屋ハムレット、オーバーチュア表裏付き」というのを上演してね。
👩えぇ、「魚屋ハムレット」?ハムレットが魚屋をやるの?
👨というかもっと尖っていて、最初はセミナーの会場のような感じで、「第一幕を要約するとハムレットは父の亡霊に自分は殺されたと告げられましたとなります」みたいなことを講師の方が言われて生徒が復唱したりするわけよ。まあ、おっしゃるとおりなのだけれどね。元々ここは戯曲の寓意をぐにゅっとデフォルメしてその深淵を見せるみたいなことをやるんだよね。
👩ふーん。
👨まあ、昔、マクベスをあらすじにして15分で上演した団体だからね。
👩ああ、それはなんか知っているなぁ。
👨奥さんの「殺しちゃおうよ」のひとことで王を殺してしまうという。
👩あはは。
👨今、「中野茂樹+フランケンズ」は今ハムレットの一部を切り取って上演することを重ねているんですよ。
👩ねぇ、どんどん観ていくからこそみたいな感じ?
👨うん。20年かけてハムレットを全幕積み上げていくみたいなんだけれど。ただ、20年と言われるとこちらも残りの人生をかけて観るみたいな感じになってしまうから。冷静に考えると大変なことなのだけれどね。
👩あははは、そうか。
👨うん。
👩いや、でも力尽きちゃ駄目だよ。ちゃんと長生きしてもらわないと困るよ。
👨それはまあ。でね、あと20年かかると言えば、フランケンズの方達って結婚をしてお子様がいらっしゃるかたもけっこういらっしゃるのですよ。で、そういう小さな子も今から参加させたりという試みもしているのね。
👩うんうん。
👨でも、20年かかるということは、終盤にレアティーズとハムレットが決闘をするころにはその子供達も立派な青年じゃないですか。歌舞伎役者のように育てろとはいわないけれど、ある程度鍛錬してもらえたら絶対いいよ、20歳前後の水も滴るハムレットって。
👩ああ、いいですよね。
👨そうなったら、こっちだってヨボヨボになろうが階段が辛かろうが観に行くから。
👩うふ、そうかぁ。そのためにいろんな元気になるサプリを飲んでね、運動して。
👨もうそれこそ手すりにすがるようにして会場までいってね。
👩あははは。
👨フォーティンブラスが出てくるまでは死ねないとかブツブツ言ってね、それを観ることができれば我が人生に悔いなしみたいな感じで。
👩あぁ。
👨というようなことを彼らはやられていて。今回、またひとつその一場面をみせてもらったりとかもして。
👩はい。
👨あと、出演順は逆になってしまったけれど、モモンガ・コンプレックスもご出演で。
👩あぁ、はいはい。
👨やっぱり彼女たちのダンスっていいのですよ。観ていてとにかく楽しい。
👩うんうん。
👨凄く切れていて、他のダンスパフォーマンスとと比べても楽しさの濃度が違う気がする。なんだろ、厚みというか。作り込みっていうか、いろんな味わいがぎゅっとつまって楽しいんだよね。
👩はいはい。
👨それで、たんと楽しんで、帰りがけにはお土産ということで急な坂スタジオのマークがはいったプラスチックのコップを渡されたりもしてね。
👩えぇ、なにそれ。いいねぇ。欲しい。
👨缶ビールを一本そそぐと丁度良いくらいの大きさで。あと手拭いも売っていたから買ってしまいました。
👩うふふ。手拭いね。買っちゃう奴ね。
👨まあ、それだけ長く続いて、実績を残して節目を迎えた場所のお祝いだからね。休憩もいれて2時間半くらいのパフォーマンスだったけれど、ほんと楽しかった。でもまあ、やって楽しさに紛れて師走の半日があっという間に潰れていくのですよ。
👩あははは、時間がいくらあっても足りないじゃないですか。
👨そうねぇ、まあいくらあってもということもないのだけれどね。一日が50時間くらいあれば足りるのだけれど。
👩いやいや、50時間はけっこうな時間よ。
👨うふふ。でね、そういう風に時間に追われながらも、でも外せないと言うことでMCRの2作品を観てきた。

OFFOFFシアター

👩ああ、はいはい。
👨彼らって、というか劇団員のひとってそろそろ50界隈じゃないですか。だから、若い世代の俳優を取り込んでもいて。それも割合とメインのところで上手くとりこんでいるのだよね。ほんと、とても良い感じで組み入れて舞台を作っていて、やっぱり櫻井さんって頭がいいんだよね。
👩頭が良いというか、そう、クレバーだよね。
👨うん、クレバーなんだよ、あの人は。
👩本当にクレバーなのだと思う。
👨今回はふたつとも、随分昔の戯曲なのだけれどね。『シド・アンドウ・ナンシー』という作品と『抜け男、恥さらし』ってあるじゃない?
👩あぁ、はいはい。『抜け男、恥さらし』ね。あの作品、私は大好きだから。
👨その『抜け男、恥さらし』にしても、夫婦をくによし組の永井一信さんとみそじんの大石とも子さんが担っていて。でね、いわゆるMCRの色には染まりきっていないのですよ、ふたりとも。で、そうして下手の現実夫婦が染まっていないことで、上手でドMCRの色で描かれる劇中劇が鮮やかに映えるのね。それが単純にベタなMCRという感じとはまたひと味違った印象で面白かった。
👩へぇ、新しい風だ。
👨うん。でも、だからといってMCRじゃないかというとそんなことはなくて。ちゃんとMCRなのよ。ただ、膨らみ方が違う。それは『シド・アンドゥ・ナンシー』でも同じで、新しい俳優を取り込んで、主要な部分をやらせていて。その中で、唯一堀さんだけは両方に出ているのよ。
👩わぁ、堀さん。好きです。うふふふ。
👨彼が両方とも上手く繋いでいるというか、彼ってきっとその中間の世代で両方の色を共に受けて違う色であっても違和感がないようにうまくまとめているというか。そういう形のなかでMCRの伝統を固執することなく、でも形骸化しないようにうまく継承してるのではないかなぁとも思えて。
👩ああ、なるほどね。MCRの色ってはっきりしているじゃないですか。そのはっきりが新たに継承されていくとなればちょっと安心もする。
👨わくわくもするしね。
👩ずっとあってほしいもの。亡くなって欲しくないもの。
👨そのうちね、高麗屋さんみたいに櫻井さんもなんとか翁とかの名跡を立ち上げてね、で二代目の櫻井さんが出てきたりして。
👩いやいや、それは・・
👨で、二代目はどうしたら櫻井さんに追いつけるのかって芸に悩んだりするわけですよ。ま襲名は冗談にしても、歩み続ける工夫があるということは素敵な話だと思うよ。MCRというか櫻井さんみたいに観ていて歳をとっていくことが味わいや奥行きを伴った新しさになっていくひともいるけれど、そうでない人もいるじゃないですか。
👩あぁ、そうですね。
👨歳をとったり時間が立つなかで当然に変化していくものもひともあるのだけれど、それがうまくいっていればよいのだけれど、実際のところそうではないところもあるじゃないですか。
👩あぁ、そうですね。
👨段々勢いがなくなってきたり、新鮮だなとおもった表現が更新されず陳腐化してきたり。でも、今回のようにして新しい血を取り入れていけば、新しい俳優には新しい観客がついているだろうし。そうすれば客席も年寄りだけの集団にはならないし。一方で、今回の公演でもあったけれど、たとえばダテカナさんが駄々をこねれば誰も止められないという芸風はきっとずっと廃れずにのこるし。
👩あははは。そうですね。
👨実際のところ、櫻井さんでも止められないのではと言う彼女のパワーは今回もちゃんと残されていたしね。
👩来たぁ!って思うわけね。
👨櫻井さんもただ観ているしかないみたいなお芝居をしてね。あといいなぁって思ったのは、『シド・・』の方では北島さんと小川さん、『抜け男』の方では上田さんがカーテンコールのあとに古参劇団員としての挨拶というかひと発声して終わるのね。ああいうのもいろんな意味で素敵だなって思った。 そうやって、長くやっている人達が顔となってしめくくるというのも劇団にとっては大事なのだろうなって。
👩素晴らしいと思う。タイプはちがうけれど、ちゃんと殻は残っているなかでの新しい風っていいよね。
👨劇団は4月にスズナリで次の公演があって、それは新作みたいですけれどね。
👩へぇ。4月かぁ。観たいな。気にとめておこう。
👨是非に。MCRに関しては同じ公演をみてお話をしたいし。
👩そうですね。
👨あとね、ちょっと映画の話をするけれど、『翔んで埼玉』の続編、観ましたよ。
👩あぁ、本当ですか。私はまだ観ていないのですけれど、あれでしょ、新しいやつですよね。
👨そうそう。私は出身が関西なのですよ。それで埼玉にもいたから、ある意味映画の設定がもろなんですよね
👩あぁ、そうか。
👨で、関西の場合は、大阪が威張っていて京都と神戸が同格でね、まあ京阪神ですよ。一方で滋賀とか和歌山とか奈良とかってそこから見ると辺境のように扱われていてね、根拠はないのだけれど、それがもろに描かれておりまして。
👩うふふふ。いやぁ、突き刺さるなぁ。おもしろい。
👨で、大阪人はひたすら粉もんで他県を攻めて
👩あははは。大阪人は悪者として描かれているのでしょ>
👨まあね、甲子園球場の下には巨大な粉もの工場があって全国制覇を狙っているみたいな話だから。
👩うふふ。
👨それと凄いなぁと思ったのは、関東の方も埼玉とか千葉とかは仲が悪いのだけれど、というか京浜東北線、埼京線、中央線、東武線、西武線などもそれぞれが横につながるなんて馬鹿馬鹿しいとかいっていたのだけれど、それが大阪からの攻撃で結束して武蔵野線が出来たという。まあ、よく考えるなぁと思って。
👩ねぇ。
👨でも、あれだけ馬鹿馬鹿しいのと何も考えないで楽しめる。更に続編はあるのかなぁって期待してしまう。
👩うふふふ。
👨あと、最後にルサンチカのお話をしましょうか。ここって、先日観た三好十郎の『殺意』という一人芝居がもの凄く良くて、以来注目をしている団体なのですが、
👩ああ、殺意って「ストリップショウ」というサブタイトルみたいなのがついていた?
👨そうそう、確かここでも話したけれど、5月にアトリエ春風舎で渡辺綾子さんが演じた一人芝居。そのあとBUoYで蒼乃まおさんが演じての再演もあった。
👩うんうん。

トーキョーアーツアンドスペース 本郷

👨今回、『SO LONG、GOODBYE』というタイトルの公演があって。このシリーズは3年程前に京都で渡辺綾子さんがされていたみたいなのだけれど、今回はリクリエイションとしてダンサーの斉藤綾子さんが東京で演じられて。
👩はい。
👨内容としてはただ自分のことを90分話していくだけなのね。生まれたときにはこうで、小さいときはどんなでみたいに。彼女は大阪の北摂のほうで育ったみたいで。小さいときにおばあさんに利き手を直されて、でも時々右と左がわからなくなるので、色のついたゴムをつけているんですよみたいな話をしたりとか。ご両親のこととか、どうしてダンスを始めたのか今の生活とかを、ちょっとラフな感じで90分かけて話していくんですよ。
👩へぇ。
👨ただ、話していくだねというのと印象が違っていて。やっぱりダンサーというのは自然に身体で表現するものってあるのだよね。たとえば四肢や、体のこなしや立ち居振る舞いで。話しているときにも自然に身体がニュアンスを醸している。ご両親もダンサーでダンススタジオをされていたとのことで小さい頃からダンスがまわりにある環境でいらしたみたいで。
👩なるほど。
👨でも、それが全くストイックな感じでは無くて。あの、うさぴといううさぎの小さなぬいぐるみが舞台の上手に座っているんですよ、それも話に取り込んだりもして。いつもスタジオでこんな風にずっと座っていたとか。
👩へぇ。
👨で、例えば学芸会の時にはこんなことをやりましたみたいな説明で大きく身体をつかうのだけれど、それにしても、さりげなく、ほんとうに力みもなく、すっとそれが出てきてしかもメリハリになってキレッキレなのね。
👩うふふふ。
👨多分、小さい頃のことをカジュアルに話すといっても、それを下手にやるというのが彼女には難しいんだと思うんだよね。ちゃんと表現というか形になってしまうみたいな。
👩なるほど。
👨ちょっとしたことを話すにしても、そこに付随する身体には常に観る側が受け取る切れをもったニュアンスがあるわけ。
👩へぇ。もう見応えしかないじゃないですか。
👨そう、更には私も関西人だから、元々表現されるものが言葉としてもより自然に伝わっても来たしね。で、なによりも目を瞠ったのは、彼女ってタップダンスもやってはるんですよ。
👩あぁ、タップ・・、なるほどね、
👨いろんなダンスをやられているのだけれど。大学ではクラシックバレエを学んだりとか、あと日舞もやられているっておっしゃっていたかな。
👩へぇ、凄い。
👨そのタップダンスにしても、これからタップを踏みますよって身構えて力んでやるわけではないのよ。
👩力が良く抜けてさ。その観る側に感じさせないって凄いよね、その力の入り方を。ほんとは入ってはいるのだもの、その、筋肉はいるからさ。
👨そう。あと脱臼をしやすいのを克服したとかいう話もしていたけれど。
👩したということは、鍛えたのだろうなぁ。
👨すごく鍛えたのだろうと思う。
👩そこに必要な筋肉とか鍛える場所があってそれをやっているのだろうし、凄いね。尊敬だね。
👨で、タップダンスの話に戻るとね、昔、NYにいたときにモーリス ハインズというタップダンサーの生タップを観たことがあって。弟のグレゴリー ハインズの方がもっと有名かもしれないけどね。それは彼がソロでタップを踏むシーンのあるミュージカルレビューだったのだけれど。なんていうのだろう、彼のタップダンスってパワーは勿論人並み外れてあるのだけれど、その現れ方がとても自然でスムーズなの。力みがないというかタップが湧いてくるような印象があって。で、どんどん高度なステップを織り交ぜていっても観る方が構えることなくすっと惹き込まれていくのよ。
👩うん。
👨彼女のタップダンスもやってたという説明に合せて身体がタップを繰り出した一瞬にその時のことが蘇ってね。その、身体で話すのと同じように自然にクオリティを持ったタップダンスが出てくるって凄いなぁって思って。
👩はい。
👨あと、最後のところで彼女の身体がモダンダンス的な表現で渡してくれた物はは言葉を凌駕してもいたからうわぁっと思い、暫く愕然としてた。。
👩うふふ。
👨作品自体はただ彼女がアドリブでやっているわけではなくて、ルサンチカの主宰である河井朗さんがインタビューをして構成して作ってはいるのですよ。でも、そうやって構成する力にも感心したけれど、それを新たに自らを語る態で具現化した俳優の力にも凄さを感じて。
👩うん。
👨会場も、お茶の水駅から歩いて5分強のところにある古いビルディングなのだけれど、階段のところにステンドグラス風の装飾があったりしてね、会場もアールデコっていうのかなぁ、とてもたおやかな光に満ちた会場で。なにかたくさんの物をもらったなぁという充足感を抱いて会場をでましたけれどね。
👩それはよかったですね。
👨はい。
👩ところで今後のお勧めはありますか?
👨あぁ、はい。まずはねぇ、今月末に鵺的の公演があります。『天使の関係』というタイトルで。
👩はい。あとは。
👨あとね、これは年跨ぎになるのだけれど、二十歳の国の公演が久しぶりにあります。
👩おおぅ。ちょっと大きな声が出てしまった。これは胸熱ですね。それは凄く良いです。わくわくする。二十歳の国、生きていたのかっていう感じで。
👨うふふ。しかもあごらでやりますからね。ほらこまばアゴラ劇場は閉館になってしまうじゃないですか、来年の6月で。だから、その前に二十歳の国をあごらで観ることができるのは凄く幸せだなぁっておもって。
👩すごいすごい。いいねぇ。
👨うん、なんか年を越す希望が出てきたでしょ。
👩はい。それは胸が熱いなぁ。凄くいいなぁ。
👨まあ、私も二十歳の国は大好きで、ずっと観に行っていましたから。
👩うんうん。
👨ほんと楽しみですよ。まあね、自分でいうのもなんだけれど、体だけは気をつけてなんとか12月を乗り切ろうと思っていますので。
👩うふふ。はい。
👨おねえさんもまた良いものがあれば、是非に話を効かせて下さい。
👩はいはい。
👨では、今夜はこのくらいで終わりにしましょうか。
👩そうですね。
👨それでは演劇のおじさんと
👩おねえさんでした。
👨また次回をお楽しみに。

トーキョーアーツアンドスペース本郷からお茶の水駅へ

(ご参考)
・CORAL&STRAWBERRY
2023年12月12日~13日@ST SPOT
―涌田悠
『ヤッホー、跳べば着く星』(short ver.)
/ヤッホーのホーが銀河に突き刺さる路地より遠い跳べば着く星/
企画・作・演出・出演:涌田悠
共同クリエイション・共同演出・出演:
石原朋香(俳優)、田上碧(ヴォーカリスト)

―譜面絵画
『ホームライナー新津々浦1号』
脚本・演出:三橋亮太
出演:小見朋生、宮ヶ原萌

マームとジプシー(映像上映)
映像作品「apart Marine Life/Dinosaur」
作・演出:藤田貴大
声の出演:青柳いづみ
映像編集:召田実子 
ロゴデザイン:梅崎彩世 
音楽:じゃがいもハニー 
企画:マームとジプシー

モモンガ・コンプレックス
『ご多分にもれず、モモンガ・コンプレックス。』(仮)
構成・演出・振付:白神ももこ
出演:臼井梨恵、仁科幸、白神ももこ 他

中野成樹+フランケンズ
『魚屋ハムレット(from『EP2』)』
原作:シェイクスピア『ハムレット』2幕2場より
誤意訳・演出:中野成樹
出演:福田毅、竹田英司、野島真理、石橋志保、佐々木愛

・MCR EXPO’23W
2023年12月6日~12日@下北沢OFFOFFシアター
脚本・演出:櫻井智也
―『シド・アンドウ・ナンシー』
出演:堀靖明、佛淵和哉、池戸夏海
塩川千尋、佐藤修作(四次元ボックス)、澤原剛生
荒波タテオ(popchicfactory)、前田勝、キタラタカシ
北島広貴、おがわじゅんや
―『ぬけ男、恥さらし』
出演:黒澤風太、永井一信(くによし組)、大石ともこ(みそじん)
堀靖明、三瓶大介、加賀美秀明(青春事情)
稲葉捺月、三澤さき、櫻井智也
上田房子、伊達香苗

・『SO LONG GOODBYE』(リクリエーション)
2023年12月8日~12日@トーキョーアーツアンドスペース本郷
構成・演出:河井朗
ドラマトゥルク:蒼乃まを
出演:斉藤綾子

(今後のお勧め)
・鵺的『天使の群像』
2023年12月21日~12月29日@ザ・スズナリ
脚本:高木登
演出:小崎愛美理 (フロアトポロジー/演劇ユニット鵺的)
出演:堤千穂、とみやまあゆみ(以上、演劇ユニット鵺的)、
井神沙恵(モメラス)、函波窓(ヒノカサの虜)、小西耕一(Straw&Berry)、
小町実乃梨、佐瀬弘幸(SASENCOMMUN)、寺十吾(tsumazukinoishi)、
野花紅葉(モミジノハナ)、ハマカワフミエ、本井博之、
森田ガンツ(猫のホテル/なかないで、毒きのこちゃん)、
山像かおり(西瓜糖)、吉水雪乃(風雷紡/コマイぬ)、
渡辺詩子(SPARKO)

・20歳の国『長い正月』
2023年12月29日~2024年1月8日@こまばアゴラ劇場
脚本・演出:石崎竜史
出演:菊池夏野、Q本かよ、熊野晋也、
櫻井成美、田尻祥子、埜本幸良(範宙遊泳)、
藤木陽一(アナログスイッチ)、山川恭平(Peachboys)


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