見出し画像

お側用人のこころ、「富田メモ」と「天皇の五輪懸念拝察」

西村宮内庁長官の発言の報(今上天皇が五輪で感染増を懸念)を聞いて、違和感を感じ、富田朝彦元宮内庁長官が残したメモを思い出しました。昭和天皇の靖国神社参拝に対する発言のメモです。富田さんはこれを一切口外しなかった。

天皇の発言は1988年(昭和63年)、富田さんが亡くなった18年後の2006年に遺族から入手して日経新聞が公開したものです。

昭和天皇が第二次世界大戦のA級戦犯の靖国神社への合祀に、強い不快感を示したとされる内容で、

「私は或る時に、A級が合祀され
その上 松岡、白取までもが
筑波は慎重に対処してくれたと聞いたが
松平の子の今の宮司がどう考えたのか
易々と
松平は平和に強い考えがあったと思うのに
親の心子知らずと思っている
だから 私あれ以来参拝していない
それが私の心だ」

昭和天皇の公式発言ではなく、富田さんとの話のなかでのメモ書きです。天皇の気持ちが正直に表れているのでしょうが、これを富田さんは公開しなかった。

当然でしょうね。靖国参拝について発言は、国内外への影響が大きい。宗教的観点をこえて政(まつりごと)に発展しかねない。こういうことについて天皇は意思表示を差し控えます。これを元宮内庁長官の富田さんは十分承知しています。

一方、今回の宮内庁長官西村さんの発言。今上天皇の気持ちを「拝察した」発言といいますが、大変不適切ですね。

オリンピックはもはや「政」です。
非公式なものをこういう形で伝えられると今上天皇も困るでしょう。自分の立ち位置をおわかりでしょうから。

お側用人、表現はどうかとは思いますが、「政」に口を出す、過去の歴史をふりかえればその結果はいわずもがなです。


ご参考:
読売新聞オンライン20210624
天皇陛下が新型コロナウイルスの感染状況を「大変心配されている」とし、名誉総裁を務められている東京五輪・パラリンピックについて「国民の間に不安の声がある中で、開催が感染拡大につながらないか懸念されていると拝察している」と述べた。
西村氏は陛下と日々話す中で「肌感覚としてそう感じている」としつつも、「陛下から直接そういうお言葉を聞いたことはない」とも語った。大会で感染が拡大する事態にならないよう「組織委員会を始め関係機関が連携して感染防止に万全を期していただきたい」と要望した。
メモ」と「天皇の五輪懸念拝察」


西村宮内庁長官の発言の報(今上天皇が五輪で感染増を懸念)を聞いて、違和感を感じ、富田朝彦元宮内庁長官が残したメモを思い出しました。昭和天皇の靖国神社参拝に対する発言のメモです。富田さんはこれを一切口外しなかった。

天皇の発言は1988年(昭和63年)、富田さんが亡くなった18年後の2006年に遺族から入手して日経新聞が公開したものです。

昭和天皇が第二次世界大戦のA級戦犯の靖国神社への合祀に、強い不快感を示したとされる内容で、

私は或る時に、A級が合祀され
その上 松岡、白取までもが
筑波は慎重に対処してくれたと聞いたが
松平の子の今の宮司がどう考えたのか
易々と
松平は平和に強い考えがあったと思うのに
親の心子知らずと思っている
だから 私あれ以来参拝していない
それが私の心だ

昭和天皇の公式発言ではなく、富田さんとの話のなかでのメモ書きです。天皇の気持ちが正直に表れているのでしょうが、これを富田さんは公開しなかった。

当然でしょうね。靖国参拝について発言は、国内外への影響が大きい。宗教的観点をこえて政(まつりごと)に発展しかねない。こういうことについて天皇は意思表示を差し控えます。これを元宮内庁長官の富田さんは十分承知しています。

一方、今回の宮内庁長官西村さんの発言。今上天皇の気持ちを「拝察した」発言といいますが、大変不適切ですね。

オリンピックはもはや「政」です。
非公式なものをこういう形で伝えられると今上天皇も困るでしょう。自分の立ち位置をおわかりでしょうから。

お側用人、表現はどうかとは思いますが、「政」に口を出す、過去の歴史をふりかえればその結果はいわずもがなです。


ご参考:
読売新聞オンライン20210624
天皇陛下が新型コロナウイルスの感染状況を「大変心配されている」とし、名誉総裁を務められている東京五輪・パラリンピックについて「国民の間に不安の声がある中で、開催が感染拡大につながらないか懸念されていると拝察している」と述べた。
西村氏は陛下と日々話す中で「肌感覚としてそう感じている」としつつも、「陛下から直接そういうお言葉を聞いたことはない」とも語った。大会で感染が拡大する事態にならないよう「組織委員会を始め関係機関が連携して感染防止に万全を期していただきたい」と要望した。