丸亀うちわの涼しさの理由
夏になると広告用に街でうちわをもらうことがある。柄がついてなくて指をはめて使うのは別にして、パタパタあおげばそれなりに使える。
丸亀はうちわの産地、国内の90%をまかなっているらしい。古くからの地場産業として、金比羅詣りの朱色に金印の渋うちわは有名だ。今も職人技として受け継がれ、新しいデザインのもある。
お土産にと、もらい物のプラスチックうちわをパタつかせて眺めていると、
「これを使ってみんさい。違うから」
細長状のうちわを差し出しておばさんが言った。同じようにあおいでも、風量が違う。的を絞ったように風がくる。これはびっくりした。
「違うねえ!」
「もらいもんやけん、持って帰り」
うちわ屋でうちわをもらって帰るわけにもいかず、同じ形のものと、職人技という手の込んだ丸形のをお土産にした。
竹細工の繊細さと、しなりが風を効率よく送る。渋うちわはうなぎ屋さんの必需品。工芸品の良さをきちんと評価して残していきたいものだ。