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バーコードはつくれる

QRコード、すばらしい発明です。PayPayなどのお店の支払いや飛行機などのチケットはこれでまかなえますが、目では判読できません。それにくらべてバーコードは、縞模様だし、情報が数字だけなのでなんとかなりそうです。

海外から輸入したドラム缶に添付されていたバーコード。運送の途中ではがれてしまった。そのまま納品するとクレームが来るのは目に見えている。かといって、欧州のメーカーに説明して再発行してもらうと時間がかかってしまう。

Sさん、「なんとかします!」と持ち前の器用さを発揮し、送られてきた写真を見ながら、破れた紙をつなぎ合わせるようにして判読し始めた。

4本のタテ縞の幅が「3:2:1:1」の比率のときは「0」を表わします。「2:2:2:1」なら「1」です。これで解けるはずだとSさんは自信満々。12桁の数字だからx4で48本のタテ縞を描いた。

エクセルを駆使し、コピペを繰り返してなんとバーコードをつくってしまったのです。見事なもんです。見た目わかりません。それを倉庫に送ってドラム缶に貼ってもらい、急ぎの何本かをお客に届けた。

「大丈夫だったかしら」
「倉庫に行ってみようよ」

貼ってもらったバーコードをスマホで読んでみた。
「スマホで読めるの?」
「QRだって読めるじゃない」
「知らなかった」

ところが、エラーがでる。
「おかしいなあ」
「そっくりなんだけどねえ」
「幅がちがうのかしら?」
「ラベルがあるから間違えないはず。まあいいんじゃないの、バーコードらしいのが貼ってあれば。大丈夫だよ、たぶん」

そんなことより、自分の技がつうじなかったことが不満気のようなSさんでした。