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届かないマイナカード

9月に申請をして、ひと月以上たつのに何も音沙汰がない。なくても困らないから別にかまわないけれど、この際だからと、マイナンバー法をななめ読みしてみた。行政を効率化するという自分本位の観点で書かれていること、実務を丸投げできるようになってること。やっぱりね、という感じです。

法律の名前は
平成二十五年法律第二十七号
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000027)

第一章総則から第九章罰則、それに附則をいれると、本文227ページ、11万4千字あまり(wordにコピペして数えた)。当時の民主、自民、公明3党合意の大作ですから、こんなものかもしれません。

ななめ読みですが、こんなことが書いてあります。

第一条(目的)
この法律は、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、(中略)行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保を図り、(中略)国民が手続きの簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上をえられるようにする(後略)。

悪くはないけれど、順序が逆だと思いませんか。国民の利便性向上のために行政の改革を図るのでしょう。

第九条(利用範囲)
行政事務を処理する者は、特定個人情報ファイルにおいて個人情報を検索し、(中略)必要な限度で個人番号を利用することができる。当該事務の全部又は一部の委託を受けた者も、同様とする。
(範囲は、社会保障、地方税、防災事務、戸籍関係、健康保険等の実務が述べられている)

第十条(再委託)
(中略)委託を受けた者は、(中略)委託をした者の許諾を得た場合に限り、その全部又は一部の再委託をすることができる。(後略)

利用範囲が社会保障や戸籍、健康保険などにはよいとしても、そのあとがいけない。一部の委託はしかたないかもしれませんが、全部、しかも再委託、もういつもどおりの丸投げの前提をちゃんと仕込んであります。こうなったときに、情報保持が担保できるかをみんなが懸念しているのです。

マイナンバー、それ自体は賛成です。日本国民であるかぎりは、国籍と戸籍、社会保障などが即時に1対1に実証でき、国が個人の権利を守ることができる。この分野に限定したうえで、こう言えば反対する人はいないでしょう。

税金は適正に払っているから加えてもいい。

でも銀行口座はだめ、これは個人資産だから行政とは別。給付金受領の迅速化のため、どうしてもというなら、それに限定した専用口座にして、もらったら引き出すなどの対応をするのがいいでしょう。健康保険もだめ。丸投げの再委託じゃ、個人情報漏洩のリスクが大きすぎる。

届かないマイナカード。勉強になりました。