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通行手形のないモノは通さないのが「関」所の役目

地名の漢字は、歴史や地理を表しているものがある。
「府」は国の中心だったところで、大宰府、府中、国府台などがある。
「津」は港、渡し場。大津、木更津、沼津など数多い。
では「関」はどうだろうか。関所があったところで、関、一ノ関、碇ヶ関、それに下関などが有名だ。

下関は山口県の西端の街。関門海峡を挟んで西が日本海(響灘)、南は瀬戸内海(周防灘)で海上交通の要所であり、関所があった。山口県にはほかにも「関」がある。下関から周防灘を東(上方)に向かって、中関(今の防府市)、上関(熊毛郡上関町)である。

上関町がスポットライトを浴びている。

原子力発電所の使用済み核燃料を一時保管するための「中間貯蔵施設」の建設を計画していると中国電力が明らかにした。関西電力との共同計画だという。

中国電力が上関に原子力発電所を建設するという計画があった。1982年のことだ。「40年たっても見通しが立たない。その代わりと言ってはなんだけれど、原発のゴミを引き受けてくれ」ということらしい。

共同?だという関西電力が、フランスへ使用済み核燃料の一部をテストのために移送し、福井県との約束はそれでお茶を濁したという「茶番」はつい最近のことだ。六ケ所村の貯蔵施設には限りがあり、福井県外に「中間貯蔵施設」をつくるという目途が立っていない中の「詭弁」だった。

中国電力は島根に原子力発電所を持っている。1号機は廃止、2号機は停止中である。安全対策工事の完了予定時期が遅れ、再稼働の見通しはたっていない。

そんななか、上関の「中間貯蔵施設」計画がにわかに浮上した。中国電力を矢面にした、手詰まり関西電力の窮余の一策だろう。

上関町には「関所」があった。「通行手形がない者は通さない」というのが関所の役目だ。「原発のゴミ」を上方から持ってくるのを見逃してはならない。