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「中国梦」の違和感

習近平さん、2013年にオバマ大統領が訪中した時「中国の夢は国家の富強、民族の新興、人民の降伏であり、それはアメリカン・ドリームや各国国民の夢と共通している」と語ったという。違和感ありすぎですよね。

そのころ、仕事の関係で月にいちどは中国を訪れていた。街のいたるところに「中国梦」という看板や旗があった。かつて世界の中心は中国にあり、その中華民族の復興を「一帯一路」で実現するという「夢」。

当時はその根拠がわからなかったが、
『中国「国恥地図」の謎を解く』(譚璐美、新潮新書)
これで、氷解した。

この本によると、清朝全盛時代の国境ならびに清朝に朝貢した国をふくめた地域、海域が「中国」であった。それが、アヘン戦争や、日中戦争など、諸外国との不平等条約により「領土」が割譲され、大きく失われた。これは「中国の恥」である。これを取りもどさねばならない。これを地図にあらわしたものだという。

「恥」、日本の感覚とは大きくちがいがあります。「国恥」を公として小中学校の教科書に用い、「愛国心」をあおって「恨み」のエネルギーに変える。今も、中国の若い人にアンケートをとると、この領土意識は正しいものだという答えが返ってくるという。愛国教育のたまものでしょうか。

「国恥地図」の「中国」の範囲を線引くと、北は樺太、シベリアの一部(韃靼)、朝鮮半島、琉球、台湾、インドシナ半島、タイ、マレーシア、ミャンマー、ネパールから、アフガニスタン、カザフスタン、モンゴルにいたって、そこで線がつながる。そう、話題の南沙諸島を含む南シナ海とインド洋の一部もはいっている。

「中国梦」、なんと時代錯誤なことか。

そうそう、忘れてはいけない。もうひとつありました。
「ロシア帝国」
この夢を実現しようと思っている人もいる。