見出し画像

2 山種美術館

🎵やっまっのったぁっね〜〜〜〜〜〜!!

美術館らしからぬチープな音楽でお出迎えしてくれるのがここ、渋谷区広尾の山種美術館。

ここでは貴重な、山が生まれて成長するまでを見学することができる。

山が育つ種が発見されたのは天現寺橋そばの栗の木の下。ここの栗の木の匂いがただアレのにおいみたいな、でもただくさいだけじゃなく、高い香水のようになにかが複雑にたくさん絡んだ匂いだったため、とても鼻のきく春海さんが爆笑しながら発見したのだった。

山の種は見つけて下さいといわんばかりの表情を浮かべ、黄色く黄色く落ちていました。

「なんの種だろうね」「黄色いしひまわりとか咲くんじゃない?」「ひまわりの種はハム太郎が食べてるやつだから違うよ」「そっか〜、なんだろこれ、固いし無臭で黄色い」「でもなんか植物の種にしてはでかいし、新種のウイルスとかだったりしたらどうしよ」「おじさんが丹精込めて作った作品とかかもよ」「なんか触りたくなくなってきた」「とりあえず埋めて育ててみようよ」


そうして育てた春海ちゃんのおうちの庭は、いつの間にか茂って茂って山になってしまっていた。

春海ちゃん曰く、「毎晩月に近付けるようになった」と、どんどん高くなる山の上にテントを張って楽しそう

秋になればたくさん実ったよって山の種を分けてくれた

どこに山を作ろうかなと悩んで、学校いくのめんどくさかったから、少しお休みが増えるかなと思って学校の校庭に植えたら育ちすぎて、学校ごと大きく高く登っていってしまい、通学が山登りになってしまった。朝の憂鬱が増える。3マス戻る。


学校に蒔いたのは間違いだったな、メディアが湧いて山の種の存在がバレてしまった。

研究によると、黄色の種は、とんでもない強い根を張って、周辺の土をぐい〜っとひんまげてモリっと山にしてしまうらしい。力持ちといえば紫ピクミンだから、黄色より紫のほうがぽいのにな、と思った

土が盛り上がってしまえば、後は宇宙からなんか時間早送りする成分でも降ってきてるのかな、勝手に木がぐんぐん生えて、鳥や虫がこぞって集結して鬼納期に間に合わせるべくせかせかと森を仕上げてくれる。

それから春海ちゃんちはなんかしらの機関に買収されてしまったけど、若気だけを言い訳に何度も侵入して月を見に行った。月はスっとしてて綺麗だけど、朝日は眩しいからと、無礼にも朝日には背中を向けて前に帰ったりした、たまに見つかって怒られたけど、怒っているのは姿勢だけで、実は今新しい事が分かったんだよとこっそり山の種について教えてくれた。実はもう3種類も山の種が発見されたんだって。白と青。


6年も経てば、その辺が山だらけになる。山の種はそんな珍しいものじゃなくなったし、東京のご当地グルメといえば山菜関連ばかりになってしまって、お洒落でモードなスイーツはこぞって愛知に取られてしまった。東京以外の関東は都会じゃないと、日本を任せられなかったらしい。なんだか悔しい。愛知なんて名前がカッコイイだけでなんもないくせに!

そんな頃にひょろっと出来たのが、やっとこさ登場、山種美術館。

もうすっかり東京は田舎だから、あんなキラキラしてた広尾にあっても、山種美術館オリジナル曲の陽気さが寂しくなる、できたばっかりなのにこんな熟したさびれ感を表現できてしまう凄みがここにはある


中に入ってしまえば植物園みたいにいろんな植物が生えていて、つい上ばっかり見ちゃうから首が固くなって動かなくなりそう、わたしも木にされちゃう、ここも、ここの人達も、気を抜くと山の一部になってしまいそうで怖かった、もうケーブルカーはだるいだけの乗り物になってしまった、山の種に詰まっていたのは寂しさなのかもしれない


ほんとの山種美術館

↓↓

📍渋谷区広尾3丁目12-36

山崎種二さんが創設したから山種みたいです、そんなのだめカンタービレみたいなノリなの?

絵は人柄なんだとさ!綺麗な美術館!

https://www.yamatane-museum.jp


ァァァおかげさまで食いつなげます