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ニートがヒッチハイクしてみた

京都で和菓子をつくっている友達から突然招集がかかったのだが、いかんせん無職でお金がないのでヒッチハイクをやってみた。


8:00

用賀駅に着いた。どの出口から出るべきなのかわからなかったのだが、まあ南ならオールラウンダーだろうと思ってとりあえず南口から出る。

なんで用賀駅なのかというと、ここから徒歩5分の場所に「ヒッチハイカーの聖地」用賀IC(インターチェンジ)があるからである。

「用賀ICの手前のマックの前に立てさえいれば、タクシーを拾う感覚でドライバーを捕まえられる」

こんな伝説ができるほどだ。
無法地帯かよ。

Googleアースに映りこんでるのオモロすぎるだろ


8:30


けっきょく南口で迷子になったんだけど、なんとかマックにまできた。

ここで、その前に誰かが立っているのを見つけた。ニット帽にブレイズヘアーと、筋金入りのヒップホップスタイルだったが、よく見たらありえないくらい可愛い顔してる小柄な女の子だった。
大きなリュックを背負い、クロッキーを掲げている。

海老名SAまで

すごい!ヒッチハイクしてる人だ!!
初めて見た!

「ヒッチハイクですか〜?
私も隣に立っていいすか〜?」

しばらくまともに他人とコミュニケーションを取っていなかったせいか距離感がバグり、気づけば気持ち悪いテンションで話しかけてしまっていた。聞けばなんとこのギャル、これが初ヒッチハイクらしい。彼女は広島まで行くらしいので、途中まで一緒に行こうということになった。

ギャルに撮ってもらった。頭悪そう。


ちなみにもしヒッチハイクにおいて金品の授受が発生した場合は、道路運送法第4条「一般旅客自動車運送業を経営する場合は、国土交通大臣の許可を受けなければならない」に抵触するが、逆に相互無償ならば日本では合法である。やったね!

同業者を見つけ、幸先いいスタートかと思われたのも束の間、全く車が捕まらなくて困った。平日だからかどうかはわからないのだが、ドライバーが見つかる兆しもないまま、あっという間に30分が過ぎてしまっていた。聖地じゃないのかよ、ふざけんな2ちゃんねる。

いや、確かに車自体は何十台も通りすぎていた。ドライバーにもいろんな人がいて、手で「ごめん無理」の合図をしてくる人、苦笑いをしながら首を振る人などは全然優しいほうで、目を逸らされるのが大半だった。

ここで、ただ待っているだけでは駄目で、こっちから能動的にドライバーに目線を送り、乗せてくれアピールをしていかなければならないのだ、ということに気づいた。もともと他人の視線が得意じゃない人間にとっては拷問みたいなものだった。

10:00

根性がないので心が折れかかっていたころ、ここで救世主が現れた。太陽みたいににこやかなお姉さんが、「乗る〜?」と聞いてくれた。

お姉さんは、友だちと2人で富士山(お姉さんはフジヤマと呼んでいた。可愛い)にまで向かう途中らしかった。

この2人組と、4人で2時間くらいドライブすることになった。ギャルとも話していくうちに、これがかなり真面目っぽい子だったということに気づいた(ギャルはAちゃんといった)。敬語も崩れないし育ちも良さそうだし、なんか、根が純粋なキラキラ美容学生って感じの印象を受けた。もう大手の美容会社から内定ももらってて、今はお遊びでギャルに化しているだけ、みたいな。中卒ニートの私には彼女の発するキラキラが堪えた。

私は無職だけどいちおう大学は受験していま結果発表待ちです、と言ったところ、Aちゃんに「頭いいんですね!すごい!」と言われた。私自身全くもって褒められた人間ではないので、なんだか逆に一歩敬遠されたような気がして気まずかった(このときはAちゃんのことをよく知らなかったので、私の引け目がそのままAちゃんに対する印象に結びついていたのだと思う)。

ちなみに、乗せてくれた2人は旅仲間なのだという。バイクで日本一周とかするなかで出会ったらしい。そういうコミュニティがあるんだな。

今まで旅先で色んな人にお世話になってきたから、次会う人に返すようにしている」らしい。


乗せてくれてありがとうございます!!

11:30

駿河SAについた。

なんとここではさっきの旅人の2人が、
ヒッチハイクのフィードバック役についてくれた。みんなでいろいろ作戦会議をするのがとても楽しかった。

「こんにちは〜」でワンクッション置いて、「どちら行かれるんですか〜」って聞いて、「ちょっとうしろ乗せてくれませんか〜」でとどめだ、とかどうとかあまり意味のないことを色々議論した。

いま思うとこのコンビを乗せようと
思う人すごい。


しばらく立ってるとこちらのほうをちらちら見ている6人組を見つけて、Aちゃんがアタックしに行った。Aちゃんがすごい積極的に乗せてくださいアピールしてくれるので、わたしは劣等感と戦いつつたじたじとついていくみたいな感じだった。

でも彼らはやんちゃな大学生みたいな感じで、「乗せてもいいが席がない」ということだった。それでも「荷台でもいいんで!」とAちゃんは喰らいついていた。彼女は可愛い顔してバイタリティがすごくて、ハイエナみたいだった。

なんか流石に無理かなみたいな雰囲気になってきたころ、ぬっと後ろからおじさんが現れた。

乗せてもいいけど

「お父さんマジすか!」
「お父さん格好いい!」
なぜか、六人組が堰を切ったようにはしゃぎはじめる。なんだよこいつら。

しかしこれは願ってもない展開で、我々はここからこのお父さんにお世話になることになった。

続く

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