ニートがヒッチハイクしてみた2
↑これの続きです
12:30
駿河SAで出会ったお父さんには、愛媛の守山PAにまで連れていってもらうことになった。
(その途中で立ち寄ったSAでカフェオレを奢っていただいた…!朝から何も食べてなかったので泣くほど旨かった)
15:00
守山PAに着く。意外と過疎ってた主張控えめなPAだった。いくら平日だからとはいえ、ネットの写真とイメージが違いすぎてやや絶望した。
同行者のAちゃんは、「とりあえず私が立っとくからベンチで休んでていいよ」とイケメンなことを言ってくれた。休みたくない、というよりは今どこかに腰掛けたとしても全く気休めにならないような気がしたので、結局はずっと無休で立っていることになった。
しばらく立っていると、ツナギを着たおじさん二人組が話しかけてくれた。ヒッチハイクをしていると寂しくなってくるので、声をかけてくれるだけでもありがたい。「ボロ車狙うとええで、大体商用車だから。あいつら暇やねん」
ならあなたがたが乗せてくれと思うのだが、彼らはここで一般道に降りてしまうらしかった。悲しい。
仕方なく、手当たり次第に運転手に声をかけ始めた。このナンパこそが正念場で、目を逸らされても苦笑いされても
めげずに繰り返した。
15:40
あまりの脈のなさに心が折れかけていたのだが、強面のおじさんにAちゃんがアタックしたところ、
「トラックやけど、それでよければ」
トラック!?トラックに乗れる!!
写真をお見せできないのが本当に残念なくらい、4tトラックから眺める東名高速の景色は最高だった。まるで自分たちがコックピットに座って操縦しているようなワクワク感があった。
得体の知れない他人を勝手に乗せたなんて会社からバレたら大変だろうに、我々が行き倒れるのを見過ごせなかったのだという。ありがとうございます!!
彼には、守山PAよりも少し大きい
尾張一宮SAまで連れていってもらうことになった。
なんとか日が暮れるまでには運転手を見つけよう、今日中に京都・大阪周辺には辿りつこう、と気合いを入れた。
半時間ほど経つと、
痩せたおじいさんがぽつんと現れた。
「これから牛乳積みに行ってきて6時くらいにまたここにくるから、そのとき拾おうか?」
滑舌の悪いかすれ声で、ヨボヨボとまではいかないが、どこか見ていて不安になるような、おじいちゃん大丈夫?となるようなオーラを彼はまとっていた。
まあでも1時間も立ってれば運転手が見つかるだろう、と我々は微妙な笑顔でおじいちゃんを見送った。
しかし、あっという間に1時間半が過ぎてしまった。
日が落ちかけていよいよ暗くなるかというころで、18時を過ぎて二人とも疲れてくる。
「あのじいさん流石にもう来ないよな」
「うーん、野宿するか」
この辺から、Aちゃんがだんだん言葉を崩してきてることに気づいた。素を見せてきてくれてるのかな?とちょっと嬉しくなった。
でも運転手が見つかる気配はなく、2人とも諦めムードに入る。優しそうな京都ナンバーお姉さんを見つけたのだが、
「仕事中だから無理…プライベートなら乗せるんだけど…ごめんね…!!」
と切実に断られてしまったので引き下がった。そう言ってくれるだけでも本当にありがたかった。
↑ちなみにジュースとか肉まんは通りすがりのおじさんにもらった!
18:00
トイレはわりと広くて綺麗だったので
個室の中とかで夜を明かそうか、とか現実な話をし出したころ、
「牛乳積んできたよ〜」
なんと、ここでさっきのおじいちゃんが現れた。
あなたが神か?
彼は九州のほうに行くので、私を京都で、Aを広島で下ろすこともできるという。
初めて到着の目処がたって、心底ほっとするというよりは、この幸運を信じられないような気持ちになった。
あとこのおじいちゃん、ちゃんと向かい合って話してみると、滑舌はあまり良くないのに不思議と芯があって聞き取りやすい声だった。
20:00
おじいちゃんがトラックに荷物を詰め替えるということで、1時間ほど2人きりで残された。仮眠する予定だったが、2人とも30分くらいで起きてしまった。
ここでAちゃんとまともに会話したのだが、なんとポケモンとイナイレが好き、という共通点をここで初めて見つけた。
キラキラしているAちゃんは自分とは住む世界が違って、ぶっちゃけここで別れたら二度と会わないだろうなと思っていたのだが、思いの外似たもの同士だったとわかり、すごく嬉しかった。
23:00
ついに大津SAに到着した。私のヒッチハイクはここで終了だ。
夜通しで広島へと向かうAちゃんとは、
ここでお別れということになる。
「もうウチらマブだよな!」
とやかましいギャルみたいな台詞を交わした。もう2人とも感極まっちゃって、泣くほど寂しかった。この出会いが嬉しかった。
それからここまで乗せてくれたおじいちゃんと握手したのだが、その握手は、びっくりするほど力強かった。
握力が強いとか、動作が荒々しいとか、
そういうことは全く関係なくて、握手ひとつとっても、強い気持ちを込めてくれてるんだなって思った。
14時間のヒッチハイクを通して、
一番ちゃんと肌感覚として残っているのはこの握手かもしれない。
彼とAちゃんは、いつまでも手を振ってくれた。
無謀すぎる計画でしたが、関わってくれたみなさん、本当にありがとうございました。一生忘れられない経験になりました。
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