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食のまちストーリーズvol.11「市民で掲げるキャッチフレーズ おいしく、ひといき。」

鹿児島県のいちき串木野市で取り組んでいる「食のまちづくり」に関連する情報を紹介します。「食」を通じて、いろんなことを楽しむ、いろんなことをやってみる。人がいきいきと輝き、まちが元気になる。それが「いちき串木野市 食のまちづくり宣言」です。いちき串木野市は、海の味、山の味、こだわりの珈琲から蔵元の焼酎まで、心がほっとするおいしいものが身近にある、豊かな食文化を誇るまちです。この食文化をおいしく、楽しく味わいながら、人がいきいきと輝くまちをみんなで育てていきましょう。


まちに対する市民の誇り-シビックプライド-

みなさんはシビックプライド(CIVIC PRIDE)という言葉を聞いたことがありますか?直訳すると市民(CIVIC)と誇り(PRIDE)で、「まちに対する市民の誇り」を意味します。19世紀のイギリスで商工業によって都市が栄えていく際に、都市整備の規範となったのがこのシビックプライドという言葉だそうです。「郷土愛」や「まち自慢」をイメージされた方もいるかもしれませんが、少しニュアンスが違うそうで、「ここをよりよい場所にするために自分自身がかかわっている」という、当事者意識に基づく自負心が意味には含まれています。近年の日本でも重要視されるようになってきていて、シビックプライドが醸成されることで、住民がまちに積極的に関わり、その発展に貢献する意識が高まることが期待されています。

現在進行中の食のまちづくり基本計画(第2期)

本市で現在進められている「食のまちづくり基本計画(第2期)」も、シビックプライドの醸成にアプローチする計画のひとつです。平成23年よりスタートし10年以上も続く計画は、第1期を満了して第2期が作られる際にシビックプライド醸成の観点が含まれるようになりました。食を通して、経済の活性化と健康増進を進め、多くの市民が関わることでシビックプライドが高いまちを目指す計画となっています。様々な事業が進められており、この「食のまちストーリーズ」のシリーズも計画に紐づいたものになります。
計画をつくるにあたっては、市役所の職員だけでなく、「食」や「食によるまちづくり」に関心を持つ市民(食のまちPRパートナー)が協働し、ワークショップ形式で話し合いを積み重ねています。「大切にするべき食の資源」や「食にまつわる解決すべき課題」などの意見が出され、集約されたものが計画へまとめられています。

みんなが気持ちをひとつにできるキャッチフレーズ

ワークショップをするなかで時折耳にした意見に「【食のまち】といってもどんなことを目指しているのかわからない」というものがありました。馴染みのあるフレーズではあるけれど、取り組みや理念が市民に十分に認識されていないのではないか?そのため、第2期の計画実施においては、市民が気持ちをひとつにできるキャッチフレーズが作られています。
制作においては、鹿児島県内で活躍するデザイナーとコピーライターの力もお借りし、考案にあたって市民の【食のまち】に対する理解を広げ深めること、このまちにある豊かな食文化を再認識し、市・市民・事業者が協働して取り組む活動につながるものを考えていただきました。
そして、食を象徴する「おいしく」という言葉に加え、「食を通じて人がいきいきと輝くまちへ」という思いと、いちき串木野市で感じる穏やかでどこかほっとする魅力を重ねた「ひといき」という言葉を組み合わせたキャッチフレーズが生まれました。「食のまち」の意味が、グルメや名物がたくさんあるまちという意味ではなく、食で人を輝かせるまちであることを市民とともに広めていく願いが込められたものになっています。

キャッチフレーズ「おいしく、ひといき。」は、食のまちづくり推進のために、ご活用いただけるようになっています。気になる方は、こちらをご覧ください。
https://www.city.ichikikushikino.lg.jp/c-sales1/shokumachi/catchphrase.html
 
以下、キャッチフレーズ

Text & photo Ryohei ichimura
 
参考文献:伊藤香織+紫牟田伸子 監「シビックプライド 都市のコミュニケーションをデザインする」(宣伝会議)


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