肉じゃが
先輩に振られて数ヶ月後、これまでずっと仲良くしていた友達のことを気になり始めてしまった。
先輩とのことも相談していたし、ずっと憧れの気持ちがあることも友達は知っているし、何より自分の気持ちの切り替えが出来てしまったことを認めたくなくて結構その気持ちは封印していた。
でも相手はいつも優しくてそんな封印を解くことなんて簡単だった。もうこれは恋をしてしまっている、ずっと仲良しだった友達のことを好きになる自分が少し嫌だったが日に日に気持ちは大きくなるばかりだった。
気持ちが大きくなり確信に変わった日に丁度ご飯に行く約束をしていた。お互い恋人が欲しいなんて話はずっと前からしていたから、もしかしたら…なんて淡いあわ〜い期待を抱いていた。
約束の数時間前、共通の友達に会い1言目で「彼女出来たらしいよ!」と聞かされた。
あー、またか
それからは頭真っ白!本人の口から聞いたかも今となっては忘れてしまった。そのくらい衝撃的だった。その日のつい3日前とかに出来たらしい。
もっと私が決断を早くしていれば、なんてことを1年たった今でも思う。(それで私が彼女になれてたかは分からないけど)
そんな出来事があってから1年たった今、まだ私は忘れられていない。この1年、まあそれは色々あった。結局私は一途すぎ、忘れられなすぎ、執着しすぎなのである。
この前みんなで飲んだ。誰が来るとか聞いてなかったけどその中に友達はいた。彼女もいた。
飲み始めて数時間大体の人が潰れ始めた頃、その友達と彼女の話になった。最近キュンとしたことは?なんて話になり、私は心臓がそれはそれは痛くて酔ったふりをして寝転がりながらぼんやりと話を聞いた。
「忙しくてしんどかった時、手料理を持ってきてくれた。その時食べた肉じゃがが本当に美味しかった。」
はあ〜それはキュンとしちゃうね〜なんて思いながら話を聞いた。いいなあ、いいなあ
それから数日後、誰に食べてもらうわけでもなく肉じゃがを作った。自分だけが食べるんだから好みの味付けになるし、それはそれは美味しい肉じゃがが出来た。
美味しいけど、なんか虚しい。
多分肉じゃがを作るたび、あの日のあの人の話を思い出すんだろうな
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