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【ネタバレ注意】映画『ノイズ-noise-』鑑賞

原作を知らないまま、映画だけ観てきました。
予告だけ事前に観ました。

※全編ネタバレです。未鑑賞の方は読まずに劇場行った方が楽しめます。絶対。


映像作品を観る時、「タイトルが何処で出てくるか」というのを毎回楽しみに観ている。
タイトルは言わずもがな作品の象徴。
全てを描き終えた最後の最後に、ババン!タイトル!みたいなパターンもある。だいたいそのパターン、私は鳥肌が立って「うおおお!!!」ってなる。(語彙力の欠如)


今回はこの作品の登場人物達が最も大切にしている、黒イチジクのビニールハウスの全体像を映し出したのち、
『ノイズ-noise-』というタイトルが映し出される。


観終わった今となっては、
ビニールハウス自体が閉鎖されたコミュニティ=島そのものの象徴
に見えなくもないななんて思う。
しかも育った成木ではなく、若い木を育てているビニールハウス。私の妄想の域をこえないけれども、このタイトルの出し方はとてもエグい


平和な家族・親友の会話と、死体を隠そうと奔走する緊迫したシーンの美しいコントラスト。
中盤になるにつれてボロボロと崩れていく様が凄まじくリアル。


ほつれるきっかけは勿論、小御坂睦雄が殺されてしまったことでもある。
でも糸を抜いて穴を広げていったのは、信頼しあっているはずだった島民たちの集団意識だったんだと思う。
それに気づいたのは、島民が犯罪者になってしまうことを守ろうとした真一郎と、島の集団意識に恐れを抱いた加奈だった。(気づきの質は違うかもしれないけど)

ほつれた穴が見えてくると、中盤にかけて畳み掛けるように連呼される「島の為」というセリフが、とっても気持ち悪く聞こえてくる。

圭太は黒イチジクの栽培と話題作りでの成功を目の前に、殺人を隠蔽しようとした。島の為に。
純は圭太の功績に傷をつけないよう、死体の隠し場所を提言し、啓太の犯行と知った町長を殺した。島の為に。
真一郎は「全て自分がやりました」とスマホの動画に残し、自害。これも島の為

島の為。

島の為。


畠山刑事が圭太に言い放った、「お前は一体、何を守ってんだ。」
圭太は島の為なら、手段を選ばない。
だが手段を選ばないという選択は、果たして島の為になっているんだろうか。
結果、島の未来がどうなったのかは描かれなかった。お察しの通り、ということなんだろうなぁと思った。


ラストの人間模様、これまでちょこちょこ引っかかっていたシーンの答え合わせになっていたのに感動した。

私の少ない鑑賞経験からではあるが、この映画では会話のテンポというより人間関係の雰囲気を重視して撮っていたような印象を受けた。(テンポが悪いということではないです!)

そして何より、
「もしかしてこの時、純はこう思っていたかもしれない」
「真一郎は何か考えてる、心がここにないな、なんだろう」
と思わせるスキマを考えさせるような。
言ってしまえば終始不気味な感覚があった。

それがキチンとストーリーの進行で全てが紐解かれるし、嫌な予感が嫌な方に的中してしまう虚しさに繋がっていく。

それは前述した島民の集団意識を描く時も同じ感覚で。
真一郎の自害が発覚し絶望と虚しさを感じているところに、無断で現場を撮影する島民。その動画は、余所者の警察たちへの不安を煽る道具として使われる。
お前ら一体なんなんだよ。
本当に不気味で、気持ちの悪い世界を描き出していた。

圭太は純粋な想いで最後のセリフを放ったのだと思うが、これは圭太1人でどうこうできた問題ではないだろうなぁ…と何とも煮え切らない気持ちで鑑賞を終えたのでした。


余談


これ、夫に誘われて夫婦で見に行ったのですが、予想外にカップルが多くて驚き。
決してデートで観るものではなくない?この後の予定とか雰囲気とか大丈夫なんかい?

まあでも、これ観終わってお互い平気な顔していられるならきっと、これからも上手くいくんじゃないかな?と要らない妄想をまた捗らせた私でした。

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