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VEC環境のリノセウスエルフは本当に強いのか

始めまして。おいしい水という名前でシャドバをやってる人間です。

この記事は確率的にリノセウスが本当に理不尽に強いのかどうかを計算したものが書かれています。

今回、自然ビショップのナーフや、JCGにおけるリノセウスエルフの数の低下をうけ、個人的に弱いと思っていたリノセウスエルフを大学生リーグにて握らされて2回負けた腹いせにこの記事を作成することにしました。

まず、リノセウスエルフの強い部分として、

①回ったときのキルターンが早いため、相手に時間制限を押し付けられる
②乗じて、遅いデッキや、構造上早いプランを取れないデッキを封殺できる

という点が挙げられます。また、BO3等の競技という観点から見ると、

③デッキタイプ的に苦手な横並べを得意とするアグロタイプのデッキがビショップのデッキにほぼ必ず入っている聖弓の使い手・クルトで採用を抑制されている

以上の事も重要でしょう。

実際、先行8T、後手7Tキルを安定して行える能力を持つと仮定すると、ナーフ前最強のデッキであった自然ビショップが台頭していた環境内であれば、必ず採用しなければならないとも考えられるデッキであったと思われます。

しかし、この安定性、担保されている物なのでしょうか?
正直、その理不尽さとインパクトから、多数のプレイヤーに強いという印象を与えた結果、強いと言われているだけなのではないでしょうか?

もし、安定して先行8T、後手7Tキルができない場合、同じようなリーサルターンを可能にできる自然ビショップや、アグロ要素を持つ機械エルフや自然エルフといったデッキだけでなく、自然ドラゴンにまでも勝率的に不利という結果が出てしまうと思われます。

私はこの部分に相当疑問があってキレたので、今回REV環境のローテリノセウスエルフの強さを、確率の観点から検証したいと思います。

また次の章からは文字しかない面倒くさい確率の話のみなので、面倒くさい方は最後まで飛ばして読んでください。


1.場合分け

確率を求めるにあたって、条件の決定をしないと計算できないので、まずはデッキの決定と、勝ちパターンを簡単に場合分けします。

デッキに関しては、上のような物を考えます。フロートボードマーセナリー、不殺の円陣に関しては、枚数などの話が絡まってしまう為、今回考えません。また、エンジェルシュートなどのドローが含まれるカードの効果についても、今回は無視して話を進めます。

また。カードの確率を考えるにあたって、

A.リノセウス含むリノセウスをサーチできるカードである
「リノセウス相当カード」
ex.豪風のリノセウス、森の女王リザ、ざわめく森
B.バウンス効果を持つカード
「バウンスカード」
ex.機械樹の番人、対空射撃、自然の導き
C.除去など
「他のカード」
ex.アリアの旋風、覇食帝の調理

各カードを以上のように呼ぶことにします。
以上のカードはこの先A,B,Cなどと呼称することにします。

また、先行8キル、後手7キルに必要な条件を決定します。今回は、先手8キル後手7キルをする確率を算出したいので、そのターンまでにリノセウスカウントを5進め、かつ顔に3枚のリノセウスを走らせるため、最終的にリノセウス相当のカードを2枚以上引き、かつ先手はバウンスカードを3枚以上、後手はバウンスカードを2枚以上引く確率をもって、OTKできると仮定します。

細かい条件として、先手3T,後手4T目に森の女王リザ、あるいはざわめく森を引ける事を要素として加える事とし、サーチ相当カード・ドローの効果を持つカードによるデッキ圧縮の影響は考えない事とします。 なお、この時のリザとざわめく森は、最終的なリノセウス相当カードの枚数にもちろん含まれてます。

マリガンのキープや返すカードの判断は対面やプレイヤーによって変わってしまうので、以下のように指定します。

1.リノセウス相当のカードは全キープ
2.バウンスカードは1枚は単キープする
3.リノセウス相当が引けている場合バウンスカード2枚キープ

バウンス単キープアンチの方はすいません。もちろん返すことによる確率的なメリットもあったので、それについても後述したいと思います。

このときにマリガンで帰ってくるカード、初手で持ってるカードの組み合わせにおける確率をまず計算します。細かい計算方法については後述します。

それでは計算方法を考えた上で、それぞれの場合について考えてみましょう。

2.計算方法

計算の複雑すぎる所には、複数のカードのドロー・デッキ存在確率(マリガン対応)というサイトを用いました。ありがとうございます。

細かい計算方法は場合分けなどが面倒くさいので割愛します。
ざっくり書くと、

・マリガンで初手にリノセウス相当、バウンスカードを引けている確率

×

・その後にリノセウス相当、バウンスカードを引いて3リザ4ざわめくなどが置けるかつ、8Tまでにリノセウス相当を2枚、バウンスカードが2枚以上、あるいは3枚以上引ける確率

を、今回の検証で計算しました。

また、計算の際、初手でリノセウス相当を2枚以上持っていないかつ、森の女王リザ、ざわめく森のどちらかを引けていない時に、先手4T後手3Tまでに引き、かつ先8T後手7Tまでにリノセウス相当を合計で2枚以上、バウンスカードを合計3枚あるいは2枚以上引けている確率を、場合分けが複雑すぎる為、手計算では不可能として、「モンテカルロ法」を用いメルセンヌ・ツイスタによる乱数と4000万回の母数をもって数値解析し、確率としています。ざっくりいうと計算しないで順列を沢山列挙して場合に当てはまる個数を母数で割ったものを確率にしたという事です。誤差は0.1%ほど(のはず)なのでそれほど心配はいらないです。

他の部分の計算方法として、反復試行と余事象、場合分けを知っていればほぼ計算ができると思います。しかし、マリガンで引けている、引けていないによる確率の場合分けの処理が複雑な為、後引き以外はサイトの方のみで計算できると思うので上記サイトで計算してみてください。


3.マリガンのパターン

マリガンのパターンには、A、B、Cの3個の組み合わせを考えると、10通り分になりますが、山上から順番に引く以上、順列から確率を考えることになります。結果としては、

AAA:3.4%
AAB:13.7%
AAC:11.0%
ABB:12.1%
ABC:27.2%
ACC:9.1%
BBB:1.3%
BBC:8.4%
BCC:11.9%
CCC:1.9%

以上になります。初手でリノセウス相当が引けている確率は、一部合わせて76.5%、2枚以上引けている確率は28.1%です。

4.最終的な確率

マリガン後のそれぞれの確率が出たので、次は素引きする確率を考えます。
全部列挙しても誰も得をしなさそうなので、少しだけ列挙すると、例えば既にリノセウスが二枚以上引けている場合に、8Tまでにバウンスカードを2枚以上引ける確率は60%以上という結果になり、相当高いですし、逆に1枚もリノセウス相当のカードが引けておらずバウンスカードも引けていない場合となると、8TまでにOTKができる確率は、仮定の通り行くと後手30%先手9%程となります。
結論としては、マリガンを含めた全ての確率を合わせると、先手8キルできる確率は42.5%、後手7Tキルできる確率は60.5%です。後手に進化権を一つリノセウス以外のカードに切ったとしても、42.5%の確率で後手7TにOTKを狙えるといった事でもあります。

強くね?

5.その他の確率

マリガンでバウンス相当カードを単キープするかしないかで何が変わるかといった事を書きます。

もちろん返すことでリノセウス相当カードを引ける確率が上昇し、初手にリノセウス相当カードが手札にある確率自体は高まります。そして、実は後手7Tキルできる確率は全体で1.1%上昇します。しかし、先手8キルできる確率は3.7%下がってしまう、といったことが起こります。つまり、マリガンでバウンスカードを返す行為は、結果的にバウンスカードが必要枚数以上手札に加わる確率を下げる事に繋がる、という事です。自分のプレイスタイルや先手後手で切り替えるべき事なのかもしれません。

また、別途計算を行ったところ、先行9T目、後手8T目にOTKリーサルをすることができる確率はそれぞれ、50.6%、66.5%と、かなり高めであることがわかりました。後手の進化権の一個はリノセウス以外に切っても良いのではないでしょうか。


6.補足

以上の確率は、2コストフォロワーやカイザの激辛料理、愛の奇跡による序盤の削り等+リノセウス2枚による13点バーストによるリーサルや、相手の守護連打に対する回答、横並べに対する回答等に関する確率は含んでいません。なので、勝率は対面やプレイングで上下するため、これら確率がリノセウスエルフの勝率とはなりません
さらに言うとバウンスもざわめく森やリザから最終的にサーチできてしまうため、バウンスは2枚でもOTKを決められるから6割の確率でOTKできると考えても良いのかもしれません。(山上のバウンスを引っ張ってくる可能性も考えるとややこしいですが)
ざわめく森が後手だとエンハンスで置けないことを考えると確率が下がりそうです。気が向いたらその場合の確率も追記したいと思います。

個人的には、リノセウス対面にアグロプランをとらない相手が想像できない上に、その相手に9Tまでライフが保たないような気しかしないし、50%超も勝てない可能性があるかもしれない事を考えると、使いたくないと思ってしまいます。

以上で終わりです。
計算がおかしいなどの指摘は随時受け付けてます。

おしまい。



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