長い目で見て

チャットモンチーが完結した。
正直、くみこんが抜けて２人になってから、多くのファンがそうなってしまったように私も少しだけ熱が冷めてしまっていた。
だけど２人になってからもリリースされる音楽は聞いていたし、あいかわらず２人らしく前を向いて音楽を作り続けていたので、心の底で安心しきってしまっていたのだ。
そこに、完結のニュース。
「解散」ではなく「完結」。ああ、なんてチャットモンチーらしい表現。しかもラストアルバムのタイトルは「誕生」ときた。それだけでもうしびれる。
高校時代はほとんどチャットモンチーだけ聴いていた。カラオケで友達が歌った「恋愛スピリッツ」を聴いてチャットを知ってから、私の毎日にチャットモンチーの音楽はなくてはならない存在になった。
えっちゃんのように歌いたいと、声まで似せて、おまけにもともと顔の造形が似ていたのか、いろんな人から「チャットのえっちゃんに似ているね」と言ってもらえるようになり、私は素直に嬉しかった。
そしてくみこんが脱退し、今月チャットモンチーが完結に至るまで、チャンスは何度もあったはずなのに、私は一回もチャットモンチーのライブに足を運ぶことはなかった。ツアーやフェスが発表されるたびに、今度は行こう、また次のチャンスに。と見送ってきた。２人がチャットモンチーじゃなくなる日がくるなんて、夢にも思っていなかったのだ。
最後のワンマン、武道館でのライブは全国の映画館でライブビューイングを行っていて、私は最後の最後まで悩んでいた。こんなに大好きだったバンドなのに、今まで一度もライブに足を運んでこなかった私が、「最後だから」なんて理由でライブを見に行っていいのだろうか。もちろんそんな人たくさんいるだろう。そんなちっぽけなプライドで最後の勇士を見に行けないようじゃ、本当のファンを名乗る資格もないのだろう。
だけど私はライブには行けなかった。
くすぶっていた高校時代、辛い受験シーズンを支えてくれたチャットモンチー。青春もクソもなかった私の10代を一緒に歩んできたチャットモンチー。ありがとう。本当にありがとうございました。
「長い目で見て」、またあなたたちの音楽に触れられる日がくることを祈っています。
その時は必ず、この足で会いに行きます。
チャットモンチー（済）の皆様へ、愛を込めて。