12: 「社会の課題としての視覚障害:支援制度の現状と課題(2)」

12: 「社会の課題としての視覚障害:支援制度の現状と課題(1)」続き

目次

3. 教育と雇用の現状
3.1 視覚障害者の教育
3.1.1 現在の教育制度
3.1.2 インクルージョン教育の課題
3.2 視覚障害者の雇用
3.2.1 雇用状況と課題
3.2.2 職場のバリアフリー
4. 社会的なバリアと差別
4.1 社会における差別と偏見
4.1.1 視覚障害者への偏見
4.1.2 差別解消のための取り組み
4.2 視覚障害者のアイデンティティと孤独
4.2.1 アイデンティティ形成
4.2.2 孤独感とその対策


3. 教育と雇用の現状

視覚障害者が自立して社会に参加するためには、教育と雇用における適切な支援が不可欠です。近年、視覚障害者の教育環境や雇用環境は大きく改善されていますが、依然として課題も残されています。

3.1 視覚障害者の教育

視覚障害者の教育は、彼らの将来の自立と社会参加を大きく左右する重要な要素です。視覚障害者が受ける教育には、特別支援教育とインクルーシブ教育の2種類があります。

3.1.1 現在の教育制度

特別支援学校
視覚障害を持つ児童生徒が、必要な支援を受けながら学ぶための教育機関です。点字の読み書き、歩行訓練、日常生活技能の習得など、視覚障害者に特化したカリキュラムを提供しています。

  • 教育内容

    • 点字教育:点字の読み書き能力を養うための授業

    • 歩行訓練:白杖の使い方や、安全に歩行するための技術を学ぶ

    • 生活技能訓練:日常生活で必要な技能(料理、掃除、衣服の管理など)を習得

    • 音楽やスポーツ:視覚障害者でも楽しめる音楽や体育の授業

インクルーシブ教育
視覚障害者が一般の学校で、他の児童生徒と一緒に学ぶ教育形態です。視覚障害者が一般の教育カリキュラムに参加できるよう、必要な支援を提供します。

  • 支援体制

    • 支援教員の配置:視覚障害者専任の教員が、授業や学校生活をサポート

    • 教材の工夫:点字教材、音声教材、拡大文字教材などを提供

    • バリアフリー環境の整備:校内の点字ブロック設置、手すりの設置など

高等教育への進学
特別支援学校やインクルーシブ教育を経て、大学や専門学校などの高等教育機関に進学する視覚障害者も増えています。高等教育機関では、視覚障害者が学習に専念できるよう、様々なサポート体制が整備されています。

  • サポート体制

    • 障害学生支援室の設置:大学には障害学生支援室があり、視覚障害者への支援を提供

    • 学内サポート:教材の電子化、音声教材の提供、試験時の特別配慮など

課題と今後の展望
視覚障害者の教育環境は改善されていますが、以下のような課題も残されています。

  • 教員の不足:視覚障害教育に精通した教員の不足

  • 個別支援体制の充実:個々のニーズに合わせたきめ細やかな支援体制の整備

  • 高等教育機関におけるサポート体制の更なる充実

これらの課題を克服し、更なる教育環境の改善を進めることで、視覚障害者がより質の高い教育を受けられるよう推進していくことが重要です。
参考情報

情報更新時期: 2024年6月


3.1.2 インクルージョン教育の課題

1. はじめに
インクルーシブ教育は、障害の有無にかかわらず、すべての児童生徒が同じ教室で学ぶことを目指す教育モデルです。視覚障害者にとっても、インクルーシブ教育は、地域の学校で学び、友達と交流し、社会の一員として成長する機会を提供します。
しかし、インクルーシブ教育を実現するには、多くの課題があります。以下では、日本のインクルーシブ教育の現状と課題について、詳細な情報と最新の情報に基づいて解説します。
2. インクルージョン教育の現状
2.1 増加するインクルーシブ教育の取り組み
近年、日本においてもインクルーシブ教育の重要性が認識され、取り組みが進んでいます。文部科学省は、2017年に「インクルーシブ教育推進計画」を策定し、特別支援学校の児童生徒の通常学級への通学を推進しています。また、各地の教育委員会も、インクルーシブ教育の推進に向けた施策を展開しています。
2.2 視覚障害者の学校生活
2020年度の文部科学省の調査によると、視覚障害のある児童生徒のうち、約8割が特別支援学校に通学しています。一方、約2割の児童生徒が地域の普通学校に通学しています。近年は、普通学校に通学する視覚障害者の割合は少しずつ増加しています。
3. インクルージョン教育の課題
3.1 教育環境の整備不足
多くの学校では、視覚障害者が学ぶための物理的な環境が不十分です。具体的には、以下のような課題があります。

  • 点字ブロックや音声案内の設置が不十分

  • エレベーターや階段の手すりが設置されていない

  • 教室やトイレのドア幅が狭い

  • 特別な教材や設備が不足している

これらの課題は、視覚障害者が安全かつ快適に学校生活を送ることを妨げる要因となります。
3.2 教員の専門知識の不足
インクルージョン教育を効果的に進めるためには、教師が視覚障害に関する専門知識を持つことが重要です。しかし、多くの教師は視覚障害者に対する指導経験が乏しく、適切なサポートを提供することが難しいと感じています。
3.3 教材の不足
視覚障害者向けの教材(点字教材、音声教材、拡大文字教材など)が十分に提供されていない場合があります。また、一般的な教材が視覚障害者にとって利用しづらい形式であることも課題です。
3.4 社会的なバリア
視覚障害者が一般の教室で学ぶ際、他の生徒や教職員からの理解不足や偏見が存在することがあります。これにより、視覚障害者が孤立したり、いじめに遭ったりするリスクが高まります。
3.5 親のサポート不足
視覚障害者の親も、インクルーシブ教育を理解し、サポートするための知識や情報が不足している場合があります。
3.6 継続的な支援の必要性
視覚障害者が学校生活を送る中で、継続的な支援が必要です。しかし、一度サポート体制が整っても、時間の経過とともにその支援が減少することがあります。
4. 課題克服に向けた取り組み
4.1 教育環境の整備
文部科学省は、特別支援学校等における合理的配慮の在り方に関する指針(平成28年告示第53号)を策定し、学校施設のバリアフリー化を推進しています。また、各地の教育委員会も、バリアフリー化のための改修工事や設備の整備を進めています。
4.2 教員の専門性の向上
文部科学省は、特別支援教育に関する教員の養成・研修を充実させています。具体的には、特別支援学校の教員向けの研修や、普通学校の教員向けのインクルージョン教育に関する研修を実施しています。
4.3 教材の開発
文部科学省は、視覚障害者向けの教材の開発・普及に取り組んでいます。具体的には、点字教材、音声教材、拡大文字教材などの開発を進めています。また、民間企業も視覚障害者向けの教材を開発・販売しています。
4.4 社会的な理解の促進
文部科学省は、視覚障害者に対する理解を促進するための啓発活動を実施しています。具体的には、講演会やシンポジウムを開催したり、啓発資料を作成・配布したりしています。また、民間団体も視覚障害者に対する理解を促進するための活動を行っています。
4.5 親への支援
文部科学省は、視覚障害児の保護者向けの情報提供や相談事業を実施しています。具体的には、ホームページで情報提供を行ったり、相談窓口を設置したりしています。また、各地の教育委員会も、保護者向けの講演会や研修会を開催しています。
4.6 関係機関の連携
文部科学省は、教育機関、医療機関、福祉関係機関などの関係機関が連携して、視覚障害者の教育支援を行うための体制づくりを進めています。具体的には、関係機関向けの連携協議会を設置したり、情報共有のための仕組みを整備したりしています。
5. 今後の展望
インクルーシブ教育は、視覚障害者を含むすべての児童生徒が平等に質の高い教育を受けられるようにするために重要です。課題はありますが、関係者による様々な取り組みが進められており、今後もさらなる進展が期待されます。
5.1 情報収集
インクルーシブ教育に関する最新の情報は、以下のウェブサイトで収集することができます。

5.2 今後の課題
今後は、以下の課題に取り組むことが重要です。

  • 教員の専門性の更なる向上

  • 視覚障害者向けの教材の充実

  • 社会的な理解の促進

  • 親への支援の拡充

  • 関係機関の連携強化

これらの課題に取り組むことで、よりインクルーシブな教育環境を実現し、視覚障害者が社会の一員として活躍できるよう支援していくことが重要です。
参考資料

免責事項
この文書は、インクルーシブ教育に関する情報を提供するものであり、法的助言を提供するものではありません。インクルーシブ教育に関する具体的な質問については、専門家に相談することをお勧めします。
情報更新時期: 2024年6月


3.2 視覚障害者の雇用

はじめに

視覚障害者が職場で自立し、社会に貢献するためには、適切な雇用機会と支援が必要です。しかし、現状には多くの課題が存在します。
本稿では、視覚障害者の雇用における課題と解決策について、最新の情報に基づいて詳細に解説します。

3.2.1 雇用状況と課題

1. 雇用率の低さ
現状

  • 視覚障害者の雇用率は、障害者全体の雇用率よりも低く、依然として低い水準にあります。

    • 2021年における視覚障害者の雇用率は2.34%であり、障害者全体の雇用率 (5.12%) と比較して約半分です。(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29949.html)

    • 障害種別で見ると、視覚障害者の雇用率は、肢体不自由者 (4.46%)、聴覚障害者 (3.57%) と比べても低くなっています。

  • 視覚障害者の失業率は、障害者全体の失業率よりも高く、厳しい状況にあります。

課題

  • 多くの企業が視覚障害者の雇用に対して消極的であることが、雇用率低下の主要因と考えられます。

    • 視覚障害者に対する理解や知識不足

    • 合理的な配慮の負担に対する不安

    • 視覚障害者向けの業務内容や職場の整備に対するノウハウ不足

    • 採用担当者の採用面接スキル不足

  • 視覚障害者自身が、自身の能力や可能性を過小評価しているケースも少なくありません。

    • 自身の障害に対するネガティブなイメージ

    • 職場で成功できるという自信の欠如

    • 適切なキャリアプランや就労支援情報へのアクセス不足

解決策

  • 企業に対する理解促進と啓発活動:

    • 視覚障害者に対する理解を深める研修やセミナーの実施

    • 視覚障害者の雇用に関する成功事例の共有

    • 視覚障害者雇用に関する法制度や制度の周知徹底

  • 視覚障害者に対する就労支援の充実:

    • 個々のニーズに合わせたキャリアカウンセリングや職業訓練の提供

    • 就職活動におけるサポート (面接対策、履歴書・職務経歴書の添削など)

    • 合理的配慮に関する相談窓口の設置

  • 視覚障害者向けの職場環境整備:

    • 段差や障害物のないバリアフリーな職場環境の整備

    • スクリーンリーダーや点字ディスプレイなどの情報機器の導入

    • 視覚障害者向けの業務内容や作業手順の開発

  • 視覚障害者自身の意識改革:

    • 自身の能力や可能性を認識するためのトレーニングやワークショップの実施

    • ロールモデルとなる視覚障害者との交流機会の提供

    • 視覚障害者向けのキャリアプランに関する情報提供

2. 職場のバリア
現状

  • 視覚障害者が職場で直面する物理的および情報的なバリアは、雇用における大きな課題です。

    • 物理的なバリア:段差、滑りやすい床、狭い通路、視認性の悪い標識など

    • 情報的なバリア:視覚情報に依存した資料やマニュアル、音声案内の不足、点字表示の不備など

  • これらのバリアは、視覚障害者が安全に、かつ効率的に仕事を遂行することを妨げ、職場での孤立やストレスの原因にもなります。

課題

  • 多くの企業が、視覚障害者向けの職場環境整備に十分な投資を行っていないことが課題です。

    • 費用対効果に対する意識の低さ

    • ノウハウや専門知識の不足

    • 法的な義務に対する認識不足

  • 視覚障害者自身が、職場におけるバリアについて声を上げにくい状況も課題です。

    • 不利益を受けることを恐れる

    • 適切なコミュニケーション方法を知らない

    • 支援を受けられる窓口を知らない

解決策

  • バリアフリーな職場環境整備の推進:

    • 段差や障害物のないバリアフリーな職場環境の整備

    • 視覚障害者向けの誘導設備や情報表示の設置

    • 音声案内や点字表示による情報提供

    • 視覚障害者向けの休憩スペースや作業スペースの確保

  • 合理的配慮の提供:

    • 個々のニーズに合わせた配慮を提供する (スクリーンリーダーの導入、点字資料の作成、介助員の配置など)

    • 合理的配慮に関する相談窓口の設置

    • 合理的配慮に関する研修や教育の実施

  • 視覚障害者からの意見収集と反映:

    • 定期的な意見交換会やアンケート調査の実施

    • 視覚障害者代表者による職場環境改善に向けた提案制度の導入

    • 視覚障害者の声を積極的に反映した職場環境づくり

3. 技術的支援の不足
現状

  • 視覚障害者が職場で使用するための技術的支援(スクリーンリーダー、点字ディスプレイ、拡大鏡など)が十分に提供されていない場合があります。

    • 最新機器の導入不足

    • 個々のニーズに合致した機器の選定・調整不足

    • 機器の使用方法に関するサポート不足

  • これらの不足は、視覚障害者が仕事を効率的に行うことを妨げ、職場の負担にもなります。

課題

  • 企業が、視覚障害者向けの技術的支援に十分な投資を行っていないことが課題です。

    • 費用対効果に対する意識の低さ

    • ノウハウや専門知識の不足

    • 法的な義務に対する認識不足

  • 視覚障害者自身が、必要な技術的支援について適切な情報を把握できていないケースも少なくありません。

    • 情報収集能力の不足

    • 支援を受けられる窓口を知らない

    • 自身のニーズに合致した機器を選定できない

解決策

  • 視覚障害者向けの技術的支援の充実:

    • 最新機器の導入

    • 個々のニーズに合致した機器の選定・調整

    • 機器の使用方法に関するサポート

  • 情報提供と相談窓口の設置:

    • 視覚障害者向けの技術的支援に関する情報提供

    • 個々のニーズに合わせた相談窓口の設置

    • 専門家による個別相談

  • 技術的支援に関する研修や教育の実施:

    • 企業担当者向けのスクリーンリーダー等の使用方法研修

    • 視覚障害者向けの機器の活用方法に関する研修

    • 合理的配慮における技術的支援の重要性に関する研修

4. 社会的な偏見と差別
現状

  • 視覚障害者に対する偏見や差別が根強く残っていることも、雇用における大きな障壁です。

    • 視覚障害者は仕事ができないという偏見

    • 視覚障害者は周囲に迷惑をかけるという偏見

    • 視覚障害者はコミュニケーション能力が低いという偏見

  • これらの偏見や差別は、視覚障害者が自信を失ったり、周囲から孤立したりする原因となります。

課題

  • 社会全体における視覚障害者に対する理解不足が、偏見や差別を生み出す根本的な原因と考えられます。

    • 視覚障害者に関する正しい知識や情報が十分に普及していない

    • 視覚障害者と触れる機会が少ない

    • 視覚障害者に対するネガティブなイメージが根強く残っている

  • 視覚障害者自身が、偏見や差別に対して声を上げにくい状況も課題です。

    • 不利益を受けることを恐れる

    • 適切なコミュニケーション方法を知らない

    • 支援を受けられる窓口を知らない

解決策

  • 視覚障害者に対するエンパワメント:

    • 視覚障害者自身が自信を持ち、社会参画できるよう支援するプログラムの実施

    • 視覚障害者によるリーダーシップ育成

    • 視覚障害者同士の交流や情報共有の場

    • メンタルヘルスサポート

5. 法的サポートと制度の不足
現状

  • 視覚障害者の雇用を促進するための法的サポートや制度が十分に整備されていないことも課題です。

    • 障害者雇用促進法などの法律はありますが、実際の運用や支援が不十分な場合があります。

    • 法的な枠組みの強化と実効性のある施策が求められます。

課題

  • 障害者雇用促進法などの法制度の理解不足や周知徹底不足

  • 合理的配慮に関する明確な基準や指針の不足

  • 視覚障害者に対する差別を禁止する法制度の不備

  • 視覚障害者向けの職業訓練や就労支援制度の充実不足

解決策

  • 法的枠組みの強化:

    • 障害者雇用促進法などの法制度の見直し

    • 合理的配慮に関する明確な基準や指針の策定

    • 視覚障害者に対する差別を禁止する法制度の整備

  • 支援制度の充実:

    • 視覚障害者向けの職業訓練や就労支援制度の充実

    • 視覚障害者向けのキャリアカウンセリングや就職活動支援の強化

    • 視覚障害者向けのメンタルヘルスサポートの充実

  • 情報提供と相談窓口の設置:

    • 視覚障害者向けの法制度や支援制度に関する情報提供

    • 個々のニーズに合わせた相談窓口の設置

    • 専門家による個別相談

6. トレーニングとスキル開発の機会
現状

  • 視覚障害者が職場で必要なスキルや知識を習得するためのトレーニングや研修の機会が限られています。

    • 視覚障害者向けのトレーニングプログラムや研修プログラムが不足している

    • 個々のニーズに合致したトレーニングプログラムや研修プログラムが少ない

    • トレーニングプログラムや研修プログラムの費用が高い

課題

  • 視覚障害者向けのトレーニングプログラムや研修プログラムの開発・運営に関するノウハウや専門知識の不足

  • 視覚障害者自身が、必要なトレーニングプログラムや研修プログラムについて適切な情報を把握できていない

  • 企業が、視覚障害者向けのトレーニングプログラムや研修プログラムに十分な投資を行っていない

解決策

  • 視覚障害者向けのトレーニングプログラムや研修プログラムの開発・運営:

    • 個々のニーズに合致したプログラムの開発

    • 最新の技術や知識を取り入れたプログラムの開発

    • 効果的なプログラムの開発 (実践的な演習やロールプレイングなど)

  • 情報提供と相談窓口の設置:

    • 視覚障害者向けのトレーニングプログラムや研修プログラムに関する情報提供

    • 個々のニーズに合わせた相談窓口の設置

    • 専門家による個別相談

  • 企業への支援:

    • 視覚障害者向けのトレーニングプログラムや研修プログラムの導入を支援する制度の創設

    • トレーニングプログラムや研修プログラムの費用助成

    • 企業向けの研修やセミナーの実施

解決策と取り組み
視覚障害者の雇用における課題を解決するためには、以下の取り組みが必要です。

  • 企業の意識向上と研修:

    • 企業が視覚障害者を雇用する際の理解と協力を深めるための研修や啓発活動を行います。

    • 視覚障害者の強みや能力を理解するための研修

    • 合理的配慮の提供に関する研修

    • 視覚障害者とのコミュニケーション方法に関する研修

  • バリアフリーな職場環境の整備:

    • 視覚障害者が働きやすい職場環境を整備し、必要な技術的支援を提供します。

    • 段差や障害物のないバリアフリーな職場環境の整備

    • スクリーンリーダーや点字ディスプレイなどの情報機器の導入

    • 視覚障害者向けの業務内容や作業手順の開発

  • 法的枠組みの強化:

    • 障害者雇用促進法の実効性を高めるための施策を強化し、視覚障害者が平等に雇用されるようにします。

    • 合理的配慮に関する明確な基準や指針の策定

    • 視覚障害者に対する差別を禁止する法制度の整備

  • トレーニングとスキル開発の充実:

    • 視覚障害者が必要なスキルを習得できるよう、職業訓練やスキル開発プログラムを充実させます。

    • 個々のニーズに合致したプログラムの開発

    • 最新の技術や知識を取り入れたプログラムの開発

    • 効果的なプログラムの開発 (実践的な演習やロールプレイングなど)

  • 情報提供と相談窓口の設置:

    • 視覚障害者向けの雇用に関する情報提供

    • 個々のニーズに合わせた相談窓口の設置

    • 専門家による個別相談

  • ネットワークの構築:

    • 視覚障害者、企業、行政、支援団体などが連携して、視覚障害者の雇用を促進するためのネットワークを構築します。

    • 情報共有や共同事業の実施

    • 政策提言や啓発活動の実施

  • ロールモデルの提示:

    • 職場で活躍する視覚障害者を紹介し、視覚障害者にも雇用機会があることを示します。

    • ロールモデルとなる視覚障害者による講演会やイベントの実施

    • 視覚障害者の成功事例の紹介

今後の展望
近年、視覚障害者の雇用環境は改善しつつあります。しかし、依然として多くの課題が残されています。
今後、上記の解決策と取り組みを推進することで、視覚障害者が職場で自立し、社会に貢献できる環境をさらに整えていくことが重要です。
また、人工知能や情報通信技術の発展により、視覚障害者の職域がさらに広がっていくことが期待されます。
視覚障害者一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、誰もが活躍できる社会を目指していくことが重要です。
参考情報

情報更新時期: 2024年6月


3.2.2 職場のバリアフリー

はじめに
視覚障害者は、社会の一員として、能力を活かして働きたいという強い意志を持っています。しかし、職場環境のバリアが、彼らの就労を妨げている現状があります。
近年、職場のバリアフリー化が進められていますが、課題も多く残されています。本稿では、視覚障害者の雇用における職場バリアフリーの現状と課題について、最新の情報を踏まえて詳細に解説します。
1. 物理的なバリアの解消
1.1 点字ブロックと手すりの設置

  • 現状:

    • 点字ブロックは設置されているものの、経年劣化や設置箇所が不十分な場合があり、視覚障害者の移動を阻害している。

    • 手すりについても、適切な高さや位置に設置されていない場合が多く、転倒などのリスクを高めている。

  • 課題:

    • 点字ブロックと手すりの設置基準を明確化し、定期的な点検・整備を行う必要がある。

    • 視覚障害者の意見を取り入れ、使いやすい設計にすることが重要。

  • 参考情報:

1.2 明確なサインと表示

  • 現状:

    • エレベーターのボタンや部屋の番号などの表示が小さく、視覚障害者が認識しにくい場合がある。

    • 点字表示があっても、劣化や汚れで判読できないことがある。

  • 課題:

    • 視覚障害者が容易に識別できるよう、大きな文字や点字、ピクトグラムなどを活用した表示を徹底する必要がある。

    • 表示の定期的な点検・整備を行い、常に視認しやすい状態を維持することが重要。

  • 参考情報:

1.3 障害物の除去

  • 現状:

    • 通路に段差や障害物があり、視覚障害者が転倒する危険がある。

    • コード類が床に放置されていることも多く、視覚障害者の移動を阻害している。

  • 課題:

    • 通路を広く確保し、段差や障害物をできるだけ排除する。

    • コード類は床から離して設置し、整理整頓を徹底する。

  • 参考情報:

2. 情報のバリアの解消
2.1 音声案内システムの導入

  • 現状:

    • エレベーターや受付に音声案内システムが導入されている職場は増えているが、すべての職場に導入されているわけではない。

    • 音声案内の内容が分かりにくい場合や、音量が適切でない場合がある。

  • 課題:

    • 視覚障害者のニーズに合わせた、分かりやすく聞き取りやすい音声案内システムを導入する必要がある。

    • 音声案内システムの定期的な点検・整備を行い、常に正常に動作していることを確認する。

  • 参考情報:

2.2 スクリーンリーダーの利用促進

  • 現状:

    • 視覚障害者がパソコンやスマートフォンでスクリーンリーダーを利用しているが、操作方法に習熟していない場合がある。

    • 最新のスクリーンリーダーが導入されていない場合もあり、情報収集や業務遂行に支障をきたしている。

  • 課題:

    • 視覚障害者向けのスクリーンリーダー操作研修を定期的に実施し、操作方法を習得できるように支援する必要がある。

    • 最新のスクリーンリーダーを導入し、常に最新の情報を入手できるようにする。

  • 参考情報:

2.3 その他の情報バリア

  • 書類や資料が点字や音声データで提供されていない

  • オンライン会議や研修で字幕や音声説明が提供されていない

  • コミュニケーションツールや業務システムが視覚障害者に使いやすい設計になっていない

課題

  • 上記の情報バリアを解消するために、様々なフォーマットでの情報提供や、ユニバーサルデザインの原則に基づいたツール・システムの開発・導入が必要。

  • 視覚障害者と健常者双方の理解と協力を促進し、職場全体で情報バリアフリーに取り組む体制を構築することが重要。

3. テクノロジーの活用
3.1 点字ディスプレイの提供

  • 現状:

    • 点字ディスプレイは多くの職場に導入されているが、すべての視覚障害者に提供されているわけではない。

    • 最新の点字ディスプレイが導入されていない場合もあり、情報収集や文書作成に支障をきたしている。

  • 課題:

    • 視覚障害者のニーズに合った点字ディスプレイを導入し、必要なソフトウエアも提供する必要がある。

    • 点字ディスプレイの定期的な点検・整備を行い、常に正常に動作していることを確認する。

  • 参考情報:

3.2 拡大鏡アプリの使用

  • 現状:

    • スマートフォンやタブレットに拡大鏡アプリを導入している視覚障害者が多いが、機能が十分でない場合がある。

    • 専用の拡大鏡デバイスを利用している視覚障害者もいるが、高価である場合が多い。

  • 課題:

    • 視覚障害者のニーズに合った、高機能な拡大鏡アプリやデバイスを開発・提供する必要がある。

    • 拡大鏡アプリやデバイスの定期的な点検・整備を行い、常に正常に動作していることを確認する。

  • 参考情報:

3.3 その他のテクノロジー

  • 音声認識ソフト

  • 音声翻訳ソフト

  • AIアシスタント

  • スマートグラス

  • バーチャルリアリティ

課題

  • 上記のテクノロジーを職場に導入し、視覚障害者の業務遂行を支援する必要がある。

  • テクノロジーの利便性を活かしながら、視覚障害者と健常者双方のコミュニケーションを円滑にする工夫が必要。

4. 社会的・心理的バリアの解消
4.1 同僚の意識向上

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