見出し画像

嫌だ

嫌だ

「夢か…」

「変な夢を見たな。夢の中でずっと「嫌だ」と言われ続けた。」

「ダメだ…顔を洗ってサッパリしたがどうもあの夢が気になる。嫌だって何が嫌なんだよ。」

「…気分転換に散歩でもしよう。」


「うぅ寒い。やっぱり12月の外は冷える。」

「しかし随分と歩いたなあ。」

「こんな所に公園なんてあったのか。歩き疲れたし少し休んでいくか。」

「なんだ?ベンチに何か置いてあるぞ…。」

「こんな公園は嫌だ…?」

「なんだよこれ、誰がこんなものを置いていったんだ。」

「何のために?わからない。けど…」

「これに答えないとダメな気がする」

「これでいいのか…?」

「…なんか気味が悪いな。ここから出よう。」


「歩いていたら腹が減ってきたな。そろそろお昼ご飯にするか。」

「こんな所にカレー屋があったなんて知らなかった。しかも俺の好きなネパールカレーの店だ。」


こんなカレー屋は嫌だ

「えっ?」

こんなカレー屋は嫌だ

「何だよこれ…頭の中に勝手に」

「答えなくちゃ…」


「何だったんだ。急に頭の中にあの言葉が出てきてそれ以外の事を考えれなくなってしまった…。」

「疲れているのかもしれない…。あったかい飲み物でも飲んで落ち着こう」

こんなミルクティーは嫌だ

「まただ!何なんだこれは!」

「答えなきゃ…答えなきゃ…」

炭酸水

「別の事を…別の事を考えるんだ。本でも読んで別の事を」

こんなニーチェは嫌だ

「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

ニーチェにニチェる(似てる)人

「答えなきゃ…こたえなきゃ」

「コタエナキャ」

こんな読書は嫌だ
後書きに誰のかも分からないしここに途絶えると書かれた家系図が書かれている。
こんなピザは嫌だ
トッピングで魔法陣ができてる 
こんなビールは嫌だ
注いだ時の割合が泡9 グルコサミン1
こんなテレビ番組は嫌だ
大鶴義丹の特番
こんな布団は嫌だ
ワームホールに繋がり海に追い出される
こんな夢は嫌だ
歯がボロボロ抜けてそれを使用しサクラダファミリアを勝手に完成させて処刑される

ずっと答え続けた。夢中で答え続け食事と睡眠もとらずにペンを動かし続けた。
答え続けている内に声が聞こえなくなった。

「なんで…」

「答えなきゃ…」

しかし声は聞こえない。

声が聞こえなくなって1週間が経った。

雪も積もり外はより一層寒さを増す。

僕はというとすっかり腑抜けになってしまった。
いつまでもあの声を追い求めている。

嫌だ

嫌だ

嫌だ

こんな人生は嫌だ

「こんな〇〇嫌だ」で大喜利をやっています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?