プロは見ているのか?

歌ってみたとかネット声優とかのネット活動が一般的になった昨今、商業プロの人たちはそれをみているのかどうか気になる人も多いと思う。そこで筆者の周辺の人間限定ではあるが、ちょっと話を聞いてまとめてみる。

結論でいうと知っているし名前を隠して同じようなことを同じ土俵でやってる人間もいるし、そこからプロになるルートもあるといえばある。

歌ってみたの場合

これは明確に関係者各位が巡回してる。毎日全てのものを、ではないけど。なので、クオリティ高いとか光るものがあるって大事。ただし、以下の二つに関しては異常に厳しくみられるのであまりお勧めはできない

・ミックスの加減
・ピッチ補正の加減

どっちもやりすぎと思ったら再生をやめることが多い。

ミックスの加減でいうと明らかにダブリングとかリバーブが強いものとか、声が前に張り付いているような「誰でも作れるようなミックス」のものはあまり長時間聞かない模様。歌声とかよりも作りこんでます感を求めていない。あと、音割れしてるものに関しては秒で閉じる。わりとシンプルな方が真面目に聞く。素材がわからない状態のものを聞いても仕方がないという考え方。ぶっちゃけ、丁寧にまとめられたカラオケよりちょっといい感じで十分。

ちゃんとしてないと数字が伸びないじゃない!という意見もあるかもしれないが、数字が伸びて人気が成立しているなら、普通に芸能人コースにチャレンジすればいい。人気動画投稿者枠はテレビ局も今は頻繁に使っている。その狭い枠に向けて勝負するならともかく、いい声を探している人は投稿者の数字をそれほど重要視はしていない。スカウトって人種は売れるのがわかっているものも好きだが、自分しか見出せない才能というものが一番好きなのだから。

ピッチ補正に関してはプロってのは「ここでO箇所使ってるな」ってのがわかる変態技能持ちがそこそこいるので、バレる。そしてプロの人たちはプロじゃない人たちの歌にパーフェクトを求めていないので、ピッチがずれていても「訓練されてないんだから別にいいじゃん」と寛容だったりする。むしろ、それを修正しまくってる方を嫌う傾向がある

まとめると歌としてどうってよりも、とかリズムの捉え方とかの方が知りたいのだ。そもそも、歌ってみた、ってのは声と歌を聞いてもらいたいからやるんだろうし、加工された素材で勝負したいわけじゃないだろうしね^^

ネット声優の場合

これはどっちかというとスカウト的な意味合いは基本的にない志望者だけで有り余っているのでネットから光る人を探そう、とはならない。むしろお金のないコンテンツ制作者がそういう動きメインだ。ネット声優を事務所がスカウトってのは、ものすごく失礼な言い方だけどすでに事務所に入らなくても全く困らない程度にファンがいて活動していてお金になっている人たちぐらいに限定される。つまり、そこまでいけば事務所など気にする必要すらない。人気コスプレイヤーとかになって遊びで声優やらせてもらってるパターン見たことあるでしょ?人気があるなら別ルートの人生で問題ない

コンテンツ制作サイド、特にインディー系だと見て聞いて声を掛ける可能性はある、とはいえる。というか、結構な会社が声をかけている。web広告系動画小さい規模のゲームなどが該当する。

どんなのを聞くかというと、普通の自己紹介。キャラ真似とかは別にそこまで気にされていない。すごく頑張って作ったものよりも普段の声や恒常的に出せる声が知りたいのだ。というのも、ネットで活動している人たちって、わりと演じるキャラが被ってる。つまり「またこれ系のキャラか」となると聞く気にならないことが多い。

ゲーム制作においてお金をかけられない場合は非常に申し訳ないが宅録対応で依頼することが多い。そうなると、ノイズが多いサンプルなどをあげている人は候補から漏れるので、思っている以上に音質にはこだわった方がいい。正直なところ演技よりも重要視することも多い

なお、歌ってみた人たちと違いネット声優の人たちってものすごく辛い部分がある。それはシンプルに「元所属のフリーランス」も同じ土俵にいることが多いからだ。強敵ってレベルじゃない。

ゆるいまとめ

あくまでも筆者の周囲の商業プロ関係者へのリサーチでしかないので、絶対にそうだ!とは言わないしいえない。とはいえ、一部の事実ではある。今後の活動の方向性を考えるときに、多少検討の余地はあるかな、となればいいかな、と。

大事なこととして!

スカウトが一昔前の原宿並みにゴロゴロしてるわけではなく、そういう人たちも一部存在していてちゃんといてみてますよ、って程度に考えておけばいい。そんなの意識してやりたいようにやれなくなるのも窮屈だしね。

教える立場なのでできる限りはワークショップなどで教えた内容を説明していこうかなと。地方の人やワークショップに事情があって参加できない人たちへのサポートが今後もやっていければと思っています。