海に挑む縄文人~第二回「ベンケイガイの貝輪の大流行」
貝輪とは貝で作った腕輪のことだ。
縄文時代に女性が用いたとされる装飾品のひとつである。
これを考古学上、貝輪という。
大型の巻貝や二枚貝などの中央に穴を開け、丁寧に磨いたうえで、腕に通し用いた。
骨格が完成する少女の時に装着して生涯にわたり身につけていた装飾品であったと考えられている。
穴の大きな着脱可能なものも発掘されていることから成人や出産など人生の節目に用いられた儀礼の道具でもあったようだ。
貝の種類と時期ごとの出土数の調査により縄文時代の後期から爆発的に大流行する貝輪があることが判明した。
それがベンケイガイの貝輪だ。
8cmほどの大型の二枚貝で貝殻が肉厚で硬く壊れにくい特徴を持つ。
荒天時などに各地の砂浜に大量に打ちあがることもあり手に入れることが比較的簡単だった。
正に貝輪にするにはうってつけの素材と言えよう。
かくてベンケイガイの貝輪は縄文時代の後期から爆発的な大流行を呼び起こしたのである。
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