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『本所立川』−資材で奏でる幾何学リズム♪−『富嶽三十六景』

今日は太田記念美術館『河鍋暁斎展 躍動する絵本』を見に行きました!

これまで河鍋暁斎の絵は、あれはなんというジャンルなんだろう、、。美人画とも取れるし浮世絵とも取れるような絵ばかりを見てきましたが、今回は絵本が全て。

北斎漫画のようなテイストかと思いきや写生したものだけでなく浮世絵ちっくな描写、風刺をテーマにしたものもありました。また、どこか前回の国芳の血が流れていると感じるような絵もあり、(暁斎は7歳のころに国芳に弟子入りしていたようです。)さまざまに妄想しながら動きそうな生き物を眺めていました。

後期も楽しみです!ちなみに図録は買いませんでした、、笑。お金ないんで。


暁斎に浸った今日こんな日も葛飾北斎

今回は『富嶽三十六景』の「本所立川」です。

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資材の多さが強烈ですね。さまざまな用途の木材がたくさん積まれて集められています。レンガくらいの短いものから家よりも長く細いものまで集まっていますね。その奥には川か湖の水が流れています。そのまた奥に家々が立ち並んでいています。蔵も入りそう。その奥に富士山。家々と麓の色が同じで、まるで富士山の麓が末広で広くそびえているようにさえ思います。


本所とは現在の東京都墨田区の南側周辺のことであるようです。現在にも本所という住所が残っているようです。

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この周辺には竪川という川が流れていたと言います。隅田川から本所元町本所千歳町を通って東に向かって亀戸村旧中川に合流した川です。

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多分この青い丸々を辿る川です!首都高七号小松川線が通っています。立川とは竪川の表記違いなのですね。


江東区の木場という駅名が今もありますが、そこは木材置き場であることから木場と名前がついて、その周辺は材木置き場がいっぱいありました。

北斎は墨田区に居を構えていましたので、この辺りはよく知っていただろうし、木材ばかりを描くちょっと変わった構図はその面白さを見かけた時に感じたのでしょうね。


絵のように木材や資材を多く描く絵はこれまでに富嶽三十六景で見てきました。

「江都駿河町三井見世略図」(上)や「遠江山中」(下)です。

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北斎はこのように職人たちが資材を用いて作業している様子を描くことが好きだったのかもしれませんね。


そして資材の直線性を用いて奥に聳える富士山の三角形の対比を構図化することで富士山に視線を向けることができたり見ていて楽しい幾何学的なリズムを見ることができるのです。まさに「遠江山中」もそうでしたね。


北斎の遊び心が直線性との対比や、モチーフの目の付け所などに出ていましたね。

今日はここまで!

#葛飾北斎 #北斎 #富嶽三十六景 #本所立川

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