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『五百らかんさゞゐどう』−全ての直線は富士に通ず、、。??−『富嶽三十六景』

キョキョ今日は、、体調が、、すこぶる悪いです、、。

明日の午前中に載せることを約束して、今回の『富嶽三十六景』の絵を載せて終わりとさせてもらいます、、。

今回は本編のラスト、「五百らかん寺さゞいどう」。

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さすがラストを飾るだけあって富士山は正面から描かれていますね。人々もそれをばかり見ている。まさに富士山を眺めることができる名所だったのでしょうか。

この続きは明日、、。今日はもう寝ます、、。

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10月26日元気になりましたので昨日の続きを書き連ねたいと思います。


今回の「五百らかん寺さゞゐどう」ですが変換がすこぶる面倒なので”さざいどう”と変換させていただきます。

この絵ではこれまでの35作品の例えば「凱風快晴」「山下白雨」のように真っ正面から富士山を描いているものとは一味違いますが、それでも珍しく正面から描いているものであると感じます。これもまた軒の手すりの直線と絵の上辺の直線相まって絵画の中に絵画があるような描写ですね。それを美術館で絵画を眺めているように人々が鑑賞していいる。そんな位置付けでしょうか。題名からしてこの人々が立って富士山を眺めている場所は五百羅漢寺ですね。ここでは坊主や子連れの女性、男性たちが富士山を見ていますがその右下には疲れちゃったのかな、二人が座り込んでいます。どんな職業なのでしょうか。もっと気になっちゃうのが富士山の右にある黄色い直線状のものが密集しているものがあります。爆発起きたとかじゃない限りこんなに不自然な景色になるのでしょうか。


五百羅漢寺とは当時亀戸村で現在の東京都江東区大島3丁目にあった黄檗宗の寺院のことであると言います。

曹洞宗寺院の羅漢寺は、江東区大島にある寺院です。江戸時代、当地には黄檗宗天恩山羅漢寺がありましたが、明治20年本所区緑町へ、明治42年には下目黒へ移転したといいます(下目黒五百羅漢寺)。明治36年羅漢寺の跡地に、西多摩郡奥多摩町氷川より曹洞宗祥安寺が移転、昭和11年羅漢寺と改称したといいます。

当時は大島にあったようですが、明治時代には下目黒に移転したようです。

堂内の三匝堂の内部が螺旋状の構造をしていることからその形をとってサザエのようであるとされました。そこから”さざい堂”と言われたようです。

当寺の三匝堂は、廊下がらせん状に3階まで続いており、その様子がサザエのようであることから、または三匝とサザエの発音が似ていることから「さざえ堂」と呼ばれ、多くの参詣客を集める江戸名所のひとつでした。区内には、五百羅漢までの道筋を示す道標が2基現存しています。

こちらの記事にも記載がありました。


この五百羅漢寺からの富士の眺めは名所としてとても有名だったようで、かの河村岷雪さんの『百富士』「羅漢禅林」にも描かれているようです。

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おそらく画面から見切れている左下の仏閣が羅漢寺でしょうか。確かに富士山までの中景には田んぼしかなくその麓の森しかないことがわかりますね。


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また、北斎による巧妙な手口として挙げられているのが、この三匝堂の屋根が普通の屋根よりも下に垂れていますね。これが延長していくと富士山に当たるということなのですが、それに加えて先端から垂れている風鐸に視線が送られることでもより富士山に視線がいくようになっているそうです。

確かに普通の屋根だったらもっと富士山ではなく両端の男性どちらかに延長していく傾き具合だと想像できます。そして風鐸の存在はかなり大きいですね。空の広さにも視線がいくことで、画面をいっぱいに使う作用もあるようです。

それだけでなく、一番左の手すりが左下から右上に向かって伸びていますが、それを延長すると富士山に届く。それも加えると三匝堂のいくつかの直線が富士山に集中している透視図法であるようにも感じますね。


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歌川広重『名所江戸百景』 「五百羅漢さゞゐ堂」では小さすぎる画像ですが、三匝堂の軒が相当長いというか、深い印象がありますが、軒先はあまり広くはないですね。

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歌川広重『東都名所』「五百羅漢さゞゐ堂」もまた、同じように軒を描きます。北斎とは違う描き方をしますが、広重の描き方に統一性があるので本当は北斎ほど広い回廊はなかったようですね。違う絵師が描いているものもあればもっと説得力があったのでしょうけど。笑


このようにいくつかの絵画的効果を用いることで富士山を正面からそしてすぐに目を向けることができます。やはり36枚の最後は富士山を立てたかったのでしょうか。次回からは裏富士ですね。どう描かれているのか楽しみです。

今日はここまで!

#葛飾北斎 #北斎 #富嶽三十六景 #五百らかんさ ゞゐどう #五百羅漢寺


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